いざ、お城へ!!
なんと、マロンくんが王子様だとわかった。さらに、ルルルンと一緒にお城まで招待されてしまった。
そんなわけで、城門前まで突然ワープっと。
「ちょっと。ワープするなら先に言ってよ。あたし、そういう急な魔法に慣れてないんだから」
っていうかすぐ乗り物酔いしちゃうんだよね。ワープは乗り物じゃないけど、やっぱり酔いそうで怖いんだ。
「これを」
まだ信用できないぞ。マロンくんは門番に確認を取って、あたしたちふたりを城の中へと案内する。
白亜のお城はとっても綺麗だけど、お掃除大変そうだな。
渡り廊下もとても上品な造りで、感動しちゃう。
だってっ、ルルルンにとってもよく似合うんだもの。
「なにを鼻息を荒くしているのだ? リティシア」
「いや。ここでルルルンがドレス着たらすごく似合うだろうなって思って」
「え? なんでわたし? リティじゃないの?」
「あたしはそういうの、似合わないもん」
「そんなこと、ないぞ」
え?
なぜ断言したの? それってどういう意味なのっ!?
「ともかくも、先を急ごう」
なんだかなぁ。廊下を歩いている途中で、マロンくんがあたしたちふたりを正式に生まれてくる赤子の専属侍女にしたいと言ってきた。
なぜ、と聞いたら、リティシアの考えていることがわかったから、なんて知ったふうなことをのたまう。
またしても、なんだかなぁ。
結局、ふわっとした説明しかないままに、侍女さんと合流。その足で王妃様のお部屋へと向かうことになった。
柱一本取っても美しい装飾の施された芸術さを目のあたりにしていると、王妃様が孤立するような感じには見えなくて戸惑ってしまう。それに、もしかしたらマロンくんが本当に第一王子シエトロン様だったとしたらどうしよう、って今頃になって恐ろしくなってきた。
それはなるようにしかならないとしても、あたしなんかが赤ちゃんのお世話をするというのも難しいんじゃないのかしら?
だって、王妃様の胎内ではすでに魔力がダダ漏れだなんて。
そんなの、あたしたちが抑えられるなんてとても思えないもの。
年若い侍女さんと合流してからのマロンくんは無口になった。だからと言って、侍女さんがなにかをたくらんでいるようにも見えないんだけどなぁ?
ねぇ、本当にあたしたちを侍女にするの?
つづく




