8日目
今日は散々だった。人を殺したと疑ってきて、冷たい目線を浴びせてくるし、挙げ句の果てには川崎にもバレたし。最悪だ。これから先どうやって生きていけばいいのだろうか。明日は休みだから、とりあえず気が済むまで寝よう。寝たら何か変わるかもしれない。
目が覚めた。時計は午前7時を指す。朝早くに目覚めてしまった。もうちょっと寝たかったのに。そう思いながら、やることもないけど、自分の部屋を出た。
ピンポーン。
インターフォンが鳴った。また警察か?もしかして川崎がバラしたとか。怖くなって、ドアスコープをのぞいた。そこにいたのは、警察ではなく川崎だった。私は警察ではないけど、少し警戒していたので玄関を少しだけ開けた。
「おい、お前出てこい。もう警察はそこにいる。」
やっぱりバラしたんだ。
すると奥から警察のような人がきて、
「葵さん。あなたには逮捕状が出ています。」
と言った。
は?逮捕状?証拠となるものは全部捨てたはず。今の所の証言は川崎の言動だけ。逮捕状なんか証拠がなさすぎて出せないはずだ。逮捕状が出るにはもっと段階がある。まだ夢か。夢ならこんなおかしいことがあり得る。
「とりあえず、署まできてください。」
捕まりたくない。覚めろ。夢なら覚めろ。さめろ。さめろ。さめろ。
ガバ!
「あれ、家のベッド...」
気がつくとベッドにいた。時計は朝7時を指している。でも私さっき起きたよな?妙にリアルな夢だったな。川崎にばれ、家に警察を連れてやってくる。普通にあり得るんじゃないか?どうにかしなければ。
今日は父も母もいない。誰もいない。父はどうせパチンコかキャバクラ、母は何処か入ってしまった。その方が気が楽だからありがたいけど。
バレるかな。バレるならいつだろうな。川崎がチクった時だろうか。それとも警察にばれるのだろうか。未だ、刺した感覚が残ってて気持ちが悪いし、血の匂いも鼻の奥に残る。私が今見てるのは夢なのか、現実なのか。現実ならどこまでが夢の中の出来事なのか。その境すらもわからない。徐々に自分の何かが崩壊していくのがわかった。だから
「お前が殺したのはいじめの主犯格、そして夢の中で川崎にいちゃついた罪を犯した人間、死んで当然だ」
と自分に言い聞かせて、今日の休日を終えた。