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2日目

川崎は案の定、会いに来てくれた。やっぱりわたしを好きでいてくれているんだ。わたしが好きだという眼差しを送り続けた結果が、いい方向に転がったんだと思ったら、わたしはとても嬉しくなった。今日も昨日と同じようなお花畑で、ベゴニアの花が野原一面を真っ赤に染めていた。それに対抗するように空は快晴で、青のグラデーションが最高に気持ちが良い。そして川崎は笑顔をこちらに向けてくる。それもまた、たまらなく眩しい。ああ、なんと美しいのでしょう。わたしの恋心もこのように美しいのだろう。ずっと追い続けた相手とこんな素敵な場所にいられるなら、最悪夢であっても覚めてほしくない。ずっとこのままここに居続けたい。ここにいたい。わたしの欲が一気に溢れ出る。どうせならここで2人で朽ち果てたい。でも残念ながら終わりは来る。どうしても目覚めてしまうのが人間なのだ。現実が嫌なのに、体は学校に行く時間を覚えて、現実を突きつけてくる。なぜ現実が嫌なのに、夢から覚めてしまうのか。嫌なこともやらなければならないなんて、人間は哀れな生き物だ。いいな。人生が楽な人は。


学校では最近、わたしをいじめる風習ができた。地味でブスで学年1のイケメンに恋をしたわたしに、人権はなかった。殴る蹴るなどの暴行、罵詈雑言の雨、窃盗など、殺人以外はなんでもありだった。教室という広めの拷問部屋はやっぱり無法地帯だった。川崎は加担もせず、助けることもせず、遠くから傍観していた。わたしの生きがいは救いの手を差し伸べてくれなかった。


わたしは知っている。人間は集団でたった1人を罵るのが快楽なんだ。1人がやられているところを見れば、そこには甘い蜜がたくさんあることに気づいて、蜜をたくさんの人が啜る。ああ、現実は愚かだ。人間は愚かだ。やっぱりあのまま夢の中に閉じこもったほうが良かったんじゃないのか。でもわたしは後悔しなかった。心の細胞が壊死して、もう何も感じられなくなったからだ。それでも1番厄介な、痛みと、恋心だけは宿っていた。いっそのこと全て壊死して仕舞えば、何も感じなくなっていたのに。はぁ。現実ダル。


今日も現実逃避しよう。

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