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海津葵よる連続殺人事件:葵について

事件の担当、洞戸隆より

①現場で起きたこと

通報があったのは午前2時16分。隣の家から叫び声がすると110番通報。

犯人は現行犯逮捕。名前は海津葵。17歳。

事件現場に到着したのは午前2時20分。

現場にかけつけた警察によると、ベットには2人の遺体があり、もう1つの遺体は葵が食べていたそうだ。逃げようと焦ることもなく、とても辛そうに、でも幸せそうに食べていたとのこと。

警察の命令にはすんなり応じたが、手錠をかけようとした時に、邪魔しないでと対抗したらしい。しかし半分くらい食べ終わったところで、手錠をかけられることをすんなりと受け入れたらしい。


②現場にあったもの

現場からは犯行に使われたであろう包丁とノートブック一冊があった。ノートブックには、10日間の夢や現実で起きたことが、日記としてまとめられていた。山に埋められた藤崎のことや、さらにその後同じ場所に埋められた、警官のことが書かれていた。さらに日記の中で、夢が現実かわからないというようなことが書いてあった。夢日記は精神異常を引き起こすと言われており、葵も夢と現実の区別がはっきりしていないため、それが原因だと思う。


③取り調べ

私は葵と話をした。

「あなたが葵さんですか?」

「はい」

「単刀直入に聞きます。この7人は全てあなたが殺しましたか?」

「はい」

「1人ずつ殺した理由を話してもらえますか?」

「わかりました。1人目の藤崎は私が夢の中で、私の川崎と付き合っていました。なので腹が立って殺しました。2人目の警察官は毎朝、インターホンを鳴らしてきて、ノイローゼになりそうだったので、殺しました。3.4人目の私の両親は、ただ単純にいない方がいいので殺しました。5.6人目の川崎の両親は、騒がなければ殺さないと言ったのに、あまりにもうるさかったので殺しました。7人目の川崎は、私のものにしたいという欲のもと、食べるために殺しました」

「なるほど、ありがとうございます。あなたが行った事について、何か思うことはありますか?」

「川崎を自分のものにできたのは嬉しいかったですが、どこで人道を踏み外してしまったのか、どうして人を殺すなんて思いついてしまったのか。後悔が大きいです。ただ普通に川崎に告ればよかっただけなのに」

葵の目からは涙が溢れた。情状酌量の余地はないが、人は好きな人ができれば、こんなにも心に支配されてしまう人間がいるんだ、と衝撃を受けた。取り調べの一部始終を聞いていた心理カウンセラーによると、他の犯罪者とは違う、狂気と恋心が混ざった、ドス黒い真理と大きな後悔の塊が見えたそうだ。


④裁判

結局、葵はすんなりと罪を認め、裁判で死刑が宣告された。控訴することはなかった。


⑤面会

私は葵本人と面会をした。

「あなたにとって恋ってなんですか」

すると葵は俯いた。そしてこう答えた。

「欲を満たすもの。くだらないもの」

「死刑を受け入れたのはなんで」

「川崎と一緒になれたから、もう人生諦めた

わたしは何も返せなかった。


恋の形はさまざま、時に残酷で無様で愚かだ。

わたしはこの事件に携わって、価値観が変わった。

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