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とあるVtuberへのプロローグ

作者: あきら

 私の通う学校には、王子様がいる。


 と前置きはしたが、一般市民の私が通える女子校である。

 どこかの王族であるとか、異世界転生して貴族学校に通っている訳でもない。そんな都合の良い事は起こらなかった。


 ただの比喩表現である。が、彼女に対してこれ以上のものは私の中には存在しなかった。

 周囲がキャアキャアと色めき立てば中心には彼女が居るし、艶やかでショートボブの黒髪から覗く整った顔立ちの切れ長の目で見つめられると、石化したかの様に固まってしまう生徒も多数。


 だけど私には興味が無かった。クール系よりゆるふわ系が好みだからだ。

 そして私は今、一人のVtuberにはまっている。沼っている。心酔している。何なら信仰している!


 一言で言い表すならば、森ガール。だけど彼女の魅力を語るならば、森を越えて樹海が生まれる。何なら地球が生まれる。

 胸元まで伸びるアッシュグレージュの髪は見るからにふわふわで包まれたいし、垂れ目で且つ、泣きぼくろなんてso cute!小さなアヒル口なんて、マシュマロしか入らないのでは無いだろうか?何がとは言わないが、大きな膨らみには挾まれたいし、あやかりたい。


 彼女のアーカイブを見ながら、魅力を再発見していると、林が、いや王子様が取り巻きを引き連れて移動している様子が横目に映る。君なんて彼女の魅力には到底及ばないからね。精々林が生まれる程度さ。

 しかし、すれ違いざまに動きが一瞬固くなった様な…私も移動教室なのに呑気に座りっぱなしだからかな?王子様らしく一声掛けようとしてくれたのだろうか?取り巻き女子に睨まれたくは無いので、スルーしてくれてありがとうございます。


あー、早く放課後にならないかなぁ



 と言うわけで放課後になり、帰宅部である私は一目散に教室から立ち去り、自宅へと辿り着いたのである。我ながら簡素な自室であるのだが、彼女のグッズが出ないのだから致し方ない。さて、自宅へのRTAをして配信まで幾ばくか時間があるので、彼女について少し語らしてもらいたい。


 半年前Vtuberとして降臨した彼女は、個人勢であり主に雑談配信をしていて、たまにゲーム配信まで行ってくれる天使である。いや、神か?

 ともかく、先述した容姿に可愛らしい少し間延びした声色。素で喋っているのが伝わって来るのにこの可愛さは犯罪級、彼女が悪い訳が無いので犯罪をしているのは私です。

 切っ掛けは、父親に譲ってもらったパソコンに配信に必要な物が大体あり、興味本位で始めたらしい。あなたも神か?父親はきっと娘の可愛さを自慢したかったに違いない。良いぞ!もっとやれ!

 きっと可愛すぎる容姿をそのまま晒してしまうと尊死が続出してしまうことを危惧して、彼女の可愛すぎる容姿をデフォルメした姿が今私が拝めているご尊顔なのだろうと推察している。


 髪の毛1本分位は彼女について語ったので、ひとまず落ち着き待機所でいつメンに挨拶を済ませる事にしよう。


 よし。今日は雑談配信の枠を取っていたけど、どんなお話が聞けるのだろう?楽しみすぎる。

 配信を全力で楽しむ為、既に課題と予習復習は終わらせている。彼女の配信を見始めてから成績が上昇しているが、きっと彼女の声が私の脳の栄養となり、活性化させているのだろう。ありがたやありがたや。



 今日も収益化されていないのが悔やまれる、素晴らしい配信だった。私は一体どれだけの徳を前世で積んだというのだろうか。これだけの配信を生で見ることが出来るなんて。素晴らしい!エクセレント!ハラショー!


 「彼女の声質、どこかで聞いたことあるような気がするんだよなぁ。まぁ、リアルで聞いたことあれば私が気が付かない訳が無いかぁ」

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