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第9話 お宅訪問

 放課後になり、俺達3人は俺の家へと向かう。


 まずは駅まで行って電車に乗る。


 そして、数十分電車に揺られて最寄駅に着き、そこからまた歩くと俺の家へと着いた。


「へぇー高山ん家一軒家なんだ」


「洋風でなんだか可愛い家だね」


「けっこう俺の家見た奴、永吉さんと同じような感想を言うんだよね」


 外観はシンプルな白色で、デザインコンクリートでかっこよく造形が仕上げられている。


 奥には母さんが趣味でしているガーデニングが綺麗に整えられていて、見た人は口を揃えてお洒落で北欧のお家みたいと言ってくれることが多い。


「まぁ、入ってよ」


 俺は玄関のドアを開けて2人を家に招待する。


 ふと玄関を見てみると、都の靴が置かれていた。


 都、吹奏楽部の練習今日なかったのか。


「おかえりーお兄ちゃ……ん」


「おう。 ただいま」


 少しすると都がピョコとリビングから顔を出す。


 最初はどこか眠たそうにしていた目はパチっと開き、俺の後ろにいる片桐さんと永吉さんを見ていた。


「おっ! 妹ちゃん? こんちはー!」


「こ、こんにちは」


 都は片桐さんのフレンドリーな声掛けに少しタジタジだ。 片桐さん凄いな。 コミュ力ハンパねえ。


「こんにちは。 高山君の友達の永吉 灯です。 よろしくね?」


「あ、よろしくお願いします。 妹の高山 都です」


「みやちん何年生なん? あ、うちは片桐奈々。 よろしくね〜」


「よ、よろしくお願いします。 中学2年生ですけど……み、みやちん??」


「中2か〜! 若いねぇ!」


「いや、うちらも高2だから十分若いって!」


「あはは! 片桐さんの言う通りですよ永吉さん」


「確かに言われてみればそうだね。 あ、私たちのことは普通に灯とか奈々って呼んでよ!」


「うーん……歳上ですし、お二人のことは灯さん、奈々さんって呼ばせてもらいますね」


「りょ」


「りょーかい」


「…………もう話終わった感じ?」


 女の子が集まると賑やかになるとはよく言うけど、まさかこんなに早く仲良くなるとは思わなかったよ。


「あ、お兄ちゃんいたんだ」


「いや、いたが」


「すっかり高山の存在忘れてたんだけど! うける!」


「うける要素なんてないが」


「わ、私はしっかり覚えてたよ!」


「永吉さんが俺に視線を合わせてくれないんだが」


 招待した俺を忘れて、2人とも都との会話を楽しんでやがったな。


 ま、2人が都と仲良くなったのなら、別にそこまで目くじらを立てることじゃねーか。


「とりあえず俺の部屋に行ってライブDVD見ようぜ」


「あ、灯さんと奈々さんが家に来た理由それなんだ」


「おう」


「お茶菓子とか持って行こうか?」


「いいの? なら頼むわ」


「はいよー」


 俺がそう言うと、都は2人にごゆっくり〜と声を掛けてから、リビングへと戻る。


 俺達はそれを見届けてから、俺の部屋へと入ったのだった。


「高山の部屋ってあんがい綺麗だね」


「もっと男の子の部屋ってゴチャゴチャしてるのかと思ってた」


「まぁ、俺の部屋物が少ないからゴチャゴチャしにくいんだよね」


 本棚と炬燵。 後はベットとクローゼットぐらいだ。


「皆さんお茶菓子持ってきましたよ〜」


 都がチョコやクッキー、麦茶が入ったボトルなどをお盆に載せて持ってくる。


 そして、炬燵の上にお盆を置くと、リビングへと戻って行ったのだった。


「お茶菓子食べる?」


「食べる食べるー! ってか、なんで春なのに炬燵出てんの?」


「冬から出してるんだけど、片付けるのがめんどくさくなってそのままなんだよ」


「あーその気持ち分かるわ。 出したのはいいんだけど、片付けるのがめんどくさいんだよね〜」


「そうそう」


 俺が1番最初に敷布団へと座る。 次に座ったのは片桐さんだった。


「ズボラだな〜」


 片桐さんはそう言って、ゆっくりと女の子座りをする。 ギャル系の片桐さんが女の子座りをすると、ギャップがあって良いな。


「失礼しまーす。 どっこいしょ」


 永吉さんは丁寧な言葉を言った後に、おじさんくさいことを言う。 片桐さんと同じ女の子座りなのに、動作が少しおじさんくさかった。


「ちょっとあかりん。 それやめなって」


「?? なんのこと?」


「座る時、『どっこいしょ』って言ってたよ」


「えっ!! うそ!? まじ!?」


「まじまじ!」


「うわぁ……やっちゃったぁ……いつものやつ出ちゃった……」


 永吉さんはショックを受けたようで、両手で自分の頬を包んだ。


「あかりん。 こういうおじさんくさい言動が時々あるんだよね」


「うぅ…………」


「そういうところがあるから、あかりん『残念美少女』とか言われるんだよ」


「うぐぅ……!?」


 永吉さんは体操座りをし、膝に頭を埋める。


 人差し指で床に渦巻きを書き始めた。


 ってか、パンツ見えそうだからそれはやめなって! 無防備だなぁ。


「とりあえず永吉さんは体操座りやめなよ。 女の子座りの方が、永吉さんの魅力が上手い具合に伝わるよ!」


「そ、そうかな?」


「そうだよ!」


 俺の意見を聞いた永吉さんは体操座りから女の子座りになる。


 良かった。 それとなく体勢を変えることができて良かった。


「ま、まぁそういうおじさんくさい言動も、親しみや親近感がわくから一概に悪いこととは言えないよ! むしろ俺は永吉さんに好印象持ったよ!!」


「ほ、本当……?」


「本当本当!」


「うわっ。 高山良い奴かよ。 うちの中で高山に対する好感度ちょびっと上がったわ」


 俺たちはそんなことを話しながらお茶菓子を食べる。


 そして、ダラダラと雑談を楽しんだ後、俺たちは歌手のライブDVDを見て盛り上がったのだった。


 片桐さんはライブDVDを見れたことでテンションが上がり、永吉さんはライブ特有の雰囲気を映像から楽しんだ。


 帰る頃には片桐さんはホクホク顔になり、永吉さんの手にはCDや雑誌が入った袋が握られていたのだった。


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