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第61話 ✳︎どうしてお姉ちゃんといるの?

「ふふーん♪ ふーふーふーふーん♪」


 私は鼻歌を歌いながらショッピングモールの中を歩く。


 学校が終わって1回家に帰って着替えたから、人混みのピーク時を避けて来ることができたと思ってたんだけど、あんがいまだ人がいるなぁ。


「(さてさて、もう来週の今頃はライブの日か。 今か今かと待ち侘びていたけど、いざ日にちが近づいて来ると早く感じるなぁ)」


 私はそんなことを思いながら薬局へと入る。


 カゴを持って店の中を歩き、目当ての商品を探した。


「(酔い止めと吐き気止めはいるかな? うーん……最近寒くなってきているし、風邪薬も買っとこうかな??)」


 私は悩みながらも、少量の薬を買って店を出る。


 あんがい薬って高いんだよなぁ。


「(常備薬は買った。 後は化粧品とか服見ときたいな)」


 私はゆっくり歩きながら行きつけのお店へと向かう。


 向かっている途中に新しい雑貨屋が出来ていることに気づき、私はちょっと顔を覗かせてみた。


 うん。 これは私の良さげな店リストに追加しても良いな。


 また暇な時にじっくりとお邪魔させてもらおう。


 そんなことを思いながら、行きつけのバライティショップへと入る。


 いつもの化粧品の在庫があることを確認して、私は新作コーナーへと向かった。


「(あ、これ可愛い。 でも、値段がなぁ……。

 いやいや、でも泉との泊まりがけのデート。 一緒に過ごす時間はいつもの倍だ。 ここは勇気を振り絞って買うのもアリなのでは!?)」


 私がウンウン悩んでいると店員さんが話しかけてくれた。


 私は店員さんと少し話し、結局自分の意思でいつもの化粧品と可愛いと思った化粧品を購入。


 店員さんにお礼を言って店を出た時に、荷物は少し増えたけど、財布の中身は結構減っていた。


「(うへぇ……今日の予算を大幅に削って買っちゃった……でも、これは必要投資だったんだ、うん、そうに違いない。 泉に可愛いって思ってもらうためだもん!!)」


 私は自分に言い聞かせて、気持ちを奮い立たせる。


 その後はいきつけの服屋に行って服を見て、どんな新作が出ているのかを確認。


 服屋を出た頃には結構時間が経っていて、飲食店エリアは晩御飯を食べる人で賑わっていた。


「(晩御飯は家で食べるからいいや。 でも、歩き疲れて喉は渇いたな。 カフェに寄って飲み物買おう)」


 私はフラフラ〜と何も考えずにカフェへと向かう。


 しかし、私はカフェに着いてある光景を見て意識が覚醒したのだった。


「(!?!? なんで!? なんでお姉ちゃんと泉が2人でカフェにいるの!?)」


 私は物陰に隠れて2人を見つめる。


「(お姉ちゃん達ってあんなに仲良かったっけ? お姉ちゃんも、泉もなにも言ってなかったけど……)」


 私は胸をギュッと握る。 頭には"2人は付き合っているのでは?"という文字が浮かび、心臓は音が聞こえそうなぐらいバクバクしていた。


「(2人ともこうみると大人っぽくてお似合いだよな……ううん! 私と泉だってお似合いだもん! 負けないもん!)」


 と、心の中で思っても私の心には曇天が広がる。


 お姉ちゃんの凄いところ、良いところは妹の私がよく知っている。


 優しいし、綺麗。 みんなの中心にいるタイプで、お姉ちゃんと関わる人はいつも楽しそうだ。


 確かにお酒に酔うとダメだと言う点はあるけど、それを補えて余るぐらいお姉ちゃんは素敵な女性。


 そんなお姉ちゃんが、もし泉に異性としての好意を持っているとしたら、私が勝てることなんてーーーーーーーー


「(あぁ、もう! ダメだダメだ! こんなこと考えても良いことなんてない!! きっと、なんか色々なことが巡り合って、今の状況ができてるんだきっと!! そうだ! 帰ったらお姉ちゃんに聞いて、泉にも連絡取ってみよう! そうしたら、2人とも笑ったりしながら『偶然会ってね〜』とか言って、真実を教えくれるはず! うんうん。 早とちり、ダメ、絶対! よし! さっさと私はこの場から去ろう!!」


 私は物陰から出て、早歩きで2人を視界から外そうとする。


 しかし、後少しで視界から2人が消えるというところで、お姉ちゃんが顔を泉に近づける姿が入ってしまった。


 えっ! もしかしてキスーーーーーーーーってか、なんでお姉ちゃんは泉の頭を撫でてーーーーーーーー!!!


 私からの角度だと本当にキスしているのかは分からない。


 でも、顔を真っ赤にしながら顔を上げる泉は、どう見てもキスされたようにしか私には見えなくてーーーーーーーー


「あ、灯!?」


「ち、違うのよ灯! これはねーーーーーーーー」


「う、うぁぁ……ぁ」


 キスした? キスしたの? いや、2人にバレた方がヤバい? どうしよう? あれ? なんで私ここに来たんだっけ? 逃げた方が良い? いや、でもここで合流したところでーーーーーーーー


 私の頭の中に色々な考えが流れ込んでくる。


 そして、私は考えるよりも先に身体が動いてしまい、落とした荷物を置いたまま全速力でその場から逃げてしまったのだった。

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