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第39話 ✳︎女子お泊まり会 ①

「えぇ〜では、女子お泊まり会を始めるぞ〜! みんな、準備はいいか〜!?」


「「「イェーイ!!」


「それじゃあ、乾杯〜!」


 グラス同士がカンッと当たる音が部屋に響き、各々好きなジュースを飲んでいく。


 テーブルの上には沢山のお菓子と飲み物があり、周りを見渡すとお泊まり用のカバンや袋が置かれていた。


 今日は前々から計画をしていた女子お泊まり会の日。


 場所はななちんの家で、メンバーはななちんと私、都ちゃんと晴ちゃんだ。


「あ、このお菓子美味しいよねー」


「あ、それ私が持ってきたんです!」


「まじ!? みやちんセンスいいねー!」


「晴ちゃん、グラスに飲み物ないけどなにか飲む?」


「あ、お気遣いなく! 自分で入れますんで!!」


「いいからいいから。 さっきと同じでみかんジュースでいい?」


「あ、じゃあぶどうジュースでお願いします!」


 女の子が4人も集まると場は賑やかになる。


 あそこのカフェのパンケーキが美味しい、最近ハマっている芸能人など、話すことはいっぱいだ。


 でも、女の子が集まるとほぼほぼ確実と言っていいほど、恋バナというものは始まるわけでーーーー


「みんなはさ、好きな人とか恋人はいないの?? せっかくの夏休みなんだからさー」


 胡座をかきながらパジャマ姿のななちんが、上機嫌に話す。


 いつものツインテールは解かれ、長い髪をおろしていた。


「私はいないですねー! 欲しいって気持ちはありますけど、今は部活を頑張りたいって感じです!」


「みやちんって吹奏楽部だっけ?」


「そうです! 練習はきついけど、楽しいんですよ?」


「部活に打ち込む。 それも青春だよね〜」


「灯さんはなにか部活はしてないんですか?」


「私? 高校では部活には入ってないなぁ。 中学時代はテニス部だったよ」


「ちなみにうちもねー!」


「灯さんと奈々さんがテニスって、なんだか似合ってますね」


 晴ちゃんの言葉で少し照れる。 テニスは今も好きだし、時々ななちんとやったりはする。


 でも、日焼けするのが嫌だし、なによりうちの高校のテニス部ってかなり強くてガチ勢だから、テニス部には入らなかったんだよなぁ。


 もし、テニス部がエンジョイ勢だったら入ってたかもしれないな。


「はるちんはなんか部活入ってないの?」


「私は文芸部に入ってます。 本を読んだり書いたりするのが好きなんですよ」


 晴ちゃんは正座をしながらチビチビと飲み物を飲む。 大人っぽい晴ちゃんだけど、飲んでいる姿はなんだか子どもっぽくて可愛かった。


「文芸部!? なんだか意外だね。 身長も高いし、バスケとかバレーとかしてそう」


「あ、それはうちも思った! 後は運動部のマネージャーとかしてそう!」


「それよく言われるんですけど、やってないですよー。 興味がないわけではないんですけどね」


「晴ってこう見えて運動オンチなんですよ?」


 都ちゃんが悪戯っぽい笑みを浮かべながら、ニヤニヤと晴ちゃんの方を見る。


 晴ちゃんは都ちゃんにムカついたのか、都ちゃんのパジャマに着いている猫耳をぐぃーと引っ張った。


「恥ずかしいからやめてよね〜!」


「えー! 運動できそうな見た目なのに、運動ができないってのはギャップ萌えになると思うよ? ねっ! 先輩方っ!」


「「なるなる!」」


「そ、そうなんですかね……?」


 黒を基調にした大人っぽいパジャマを見事に着こなしている晴ちゃんが、少し照れながらコテンっと首を傾げる。


 その姿はあざとく、とても可愛かった。


「そうだよ〜。 はぁ、みんな可愛いなぁ」


 思わず私はため息を吐いてしまう。 可愛いっていいなぁ。


「灯さんスタイル抜群じゃないですか! それに親しみやすいですよ! そこ、とっても素敵で強い武器になると思います!」


「都ちゃん……」


「灯さんって明るいし、年上の人特有の怖さや緊張感が少し薄いんですよね。 だから、灯さんのこともっと知りたいって思うし、仲良くなりたいって思うんです! その人柄は素敵ですよ!」


「晴ちゃん……!!」


 私は思わず2人を抱き締める。 こんなに良い後輩達は今までいただろうか? 今後も是非仲良くしたい。


「そうだよ! あかりんはさいっこうに可愛いよ!」


「ななちん……」


「靴下を裏表に履いてても気づかなかったり、手にシュシュ着けてるのに、シュシュ無くしたって焦るようなドジっ娘はあかりんぐらいしか見たことないよ!!」


「ななちん……!!」


 私は2人を離して、ななちんの頭をグリグリする。


 ななちんは目を瞑って、アウアウと変な声を出していた。


「イダダダダっ! なんかうちにだけ対応が違う!!」


「ななちんのは揶揄ってるだけでしょ!!」


「くっそー! 気づかれたかぁ!」


 そんな私達を見て、都ちゃんと晴ちゃんはクスクスと笑う。


 不思議だ。 まさかまったく関わりがなかった中学生と、こんな楽しい時間を過ごせるようになるとは。


 これは出会うきっかけになった泉に感謝しないといけないな。


「いてて……まぁ、話戻そっか。 みやちんは好きな人や恋人はいない。 それはうちも一緒だから、次ははるちんにいこうかな」


 ななちんがそう言うと、晴ちゃんに視線が集中する。


 私達に見られる中、晴ちゃんは口を開いたのだった。

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