49 美形兄弟
「母は違うがな」
「いや、……いやー。それにしたって……」
たしかに、レトくんも綺麗なお顔立ちの少年だ。
肌も白くきめ細かい、ダオに似ていると言えば、……似ている?
それは置いといて、兄弟で殺し合わせるって……王様、ひどすぎない!?
「……ん? 待てよ」
テオレムは、魔法使いを徹底的に王家が管理すると。
ダオに呪いをかけた魔女は、王の愛人。
王は女好き。
ということは、魔女は否応なく……基本愛人?
「つ、つまり……?」
先祖返り的な要素がなければ、基本的には魔法使いから、魔法使いが生まれると。
……ってことは?
「君たち……、王のお子さん……?」
「……ちっ」
「そういうことだな」
ま、マジですか!
「テ、テオレムって、……想像以上にすごい所なんだね……」
ダオも、いくらかマシな待遇とか言ってたけど、本当にちょっとだけマシって程度だったんだね?
ってことは、ダオに嫉妬した同僚って、一応は王の血筋にどえらいことしでかしたんだ?
「閉鎖的な国だからな……、それに」
「それに?」
「テオレムの魔法使いの祖は、魔力のない人に唯一反抗した勢力だからな」
「……? ……あ!」
あれか、魔法使いが差別され始めた時に、反抗した一部の人達。
その人達の、子孫なのか。
「王の血がどうとか、関係ない。魔法使いというだけで、存在を否定されるのさ。……生きるには、力を示すことだけ。それだけが、必要だ」
使えない奴は要らないってことで、レトくんにも呪いを……?
仮にも、自分の子供に……?
「は、はらたつ~!」
「ははは! ハニティはやっぱり面白いな」
「……なんだ、この女」
「この女じゃない! ハニティ、よ」
「っち」
レトくんもさっき言ってた、「魔力は必要ない」って言葉。
きっと、わたし達では分からない、沢山の想いが込められている。
わたしではきっと彼の気持ちは分かってあげられないから、せめて……示してあげよう。
誰かの助けとなる。地の魔女としての、使い方。
「よーーし! ダオ、レトくんのために作るよ!」
「おう!」
「……?」
「あ、一応ローズさんに見張っててもらうからね」
良く世話になっている薔薇の精霊、ローズさんを具現化する。
それまで拘束してくれていた植物たちは元に戻して、代わりにローズさんに縛ってもらった。
「レトくんからしたら、変な魔法だなって思われるかもだけど。わたしの修行、見せてあげるよ」
大地に魔力を注いで、そうして出来た植物で作る料理。




