表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

49/61

48 来訪者

「あ、ダ──」

「俺から、離れるな」


 な、なんですとおおおおおお!?


(ちょ、ま、え)


 美形がそんなこと言ったら、ドキドキするに決まってるでしょうが!


 ……と、おふざけはここまでにして。

 いや、ふざけてはないんだけど。


「……だれ?」

「分からない。だが、この感じは──」


 ダオが落ちていた時のように、はっきり魔力を感じる訳ではない。

 けど、土地に満ちたわたしの魔力は違和感を告げる。

 ナニかが居る、と。


「!」


 手に持ったカゴが勢いよくこぼれ落ちる。

 すまん、あとで拾う。

 今は、大地に手を付き土を隆起させ、刃から身を守る方が優先だ!


「っ」


 っと、今度は逆側から。

 たぶん、周りの木々の合間から気配を消して攻撃してきている。

 ダオはとっさに剣で飛んできた鋭利なものを打ち払った。


「な、なんなのよ!」


 魔物との戦闘に慣れていてよかったのかは分からないけど、今は経験が非常に役立っている。

 ……とはいえ、魔物以外に命を狙われるようなこと、したか!?

 あれか、次の大魔女候補を始末しろ! って誰か企てたか!?


「──なるほど」


 ダオが打ち払った刃物を見て、妙に納得している。


「俺に用があるんだろう、出て来い」

「……?」


 あ、そっち?

 ダオに用事って……、まさかテオレムの……?


「……」


 そうダオが挑発すれば、木々の合間から一人の男の子が出てきた。

 真っ黒な髪、真っ黒な衣装。

 闇に溶け込むような見た目はまるで。

 イメージはそう、……暗殺者?


「君を寄越すとは、よほど王は俺が憎いと見える」

「知らない」

「どの道、どちらかは死ぬ。……そういうことだろう?」

「ど、どういうこと!?」

「彼にも呪いが掛けられている、ということさ」


 な、……なるほどね!?

 

「──どうでもいい。さっさと……死ね!」

「は、はやっ」


 風の魔法、だろうか?

 小柄な体躯を生かして、さらに加速を見せる。

 なるほど、影の仕事を担うには逸材と言う訳だ。

 だが……甘い! 甘いねぇ!

 ここは、わたしの庭なのだよ!


「とっまれえええ!」


 土魔法であれば彼のスピードには及ばないかもしれない。

 ので、彼が通るであろう道筋。

 ダオに至るまでの間にある植物すべてを、成長させる。

 もう、なりふり構わず、全部。


「なっ!?」

「ほーら、大人しくしなさい」


 植物たちは、伸ばせる葉、茎、根、全てを総動員して少年を止めてくれた。

 ……ち、違うからね!? ショタコンじゃないし、触手プレイの趣味はないですからね!?

 ちょっと、ちょーっとだけ……拝んだけど。


「……レト」

「っ、ダオ、レン」


 レトくん、というのか。

 キィルとは違って、なんだろう。

 ツンツンしたところがまた可愛い……、ショタコンではないです。

 というか命狙われていて冷静なのが、我ながらすごい。


「見ろ」

「……?」

「俺達が知る世界は、ほんの一部だ」

「──!? 呪い、が……?」

「彼女はハニティ、地の魔女だ。彼女の、魔力は……。俺達が知るものとは違い……、あたたかい」

「……魔力などっ、この世に不要なものだ!」

「え、ええと」


 彼はテオレムの暗殺者? で、ダオに止めを刺しに来て。

 仮に失敗したら、レトくんが呪いで死ぬように仕向けられた……でオーケー?


 でも呪いは解けないにしても、わたしの料理で軽減できるので……。


「えーっと、レトくん。だっけ? 争う必要、ないんじゃない?」

「なっなにを」

「もし呪いが掛かってるなら、死んじゃうことはないと思う、……多分」

「!? 貴様、治癒魔法が……?」

「いや、そんな大したものじゃないんだけど……。あー、というかダオ。状況説明して?」

「ああ、すまない。恐らくだが……、呪術をつかった魔女。王の愛人が俺がまだ生きていることを王に進言したんだろう。奴らの計算では生きていない日数だろうからな。それで、俺が留まっている地に彼を寄越した訳だ」


 なるほど……。

 呪術を掛けた人は、追跡というか。呪いの対象の場所が分かるのかな?


「レトくんは、その……。テオレムでいうところの、王直属の魔法使い?」

「そうだな。それと……、俺の弟だ」


「お、おとうとさん!?」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ