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34 とぅるっとぅる、ネトルスープ①

「いや、なんか疲れたな」


 リースから帰った次の日。

 予想はしていたけど、リチアナと会ってしまったことで思った以上に疲弊。

 エボニーと話したことで中和されたと思っていたが、……意外とストレス感じていたらしい。

 まぁわたし、平和主義なところあるからな。

 人と言い争うのとか得意ではないし、負の感情のようなものを向けられるのも得意ではない。


 わたしは、どちらかというと他人に無関心。

 ちょっとイラッとするけど、まぁいっか。……みたいな。

 メンタルがリチアナみたいに強くないので、根がまじめな分一つ一つを気に病むときりがない。

 自己防衛ってやつだ。


「大丈夫か?」

「ん。気にしたら負けってやつかな~」

「……たまには、俺が料理を作ろうか?」

「…………えええええぇぇ!?」


 美形の手作り料理だなんて……!

 前世だったら、ぜったいタダじゃ無理。

 いや、分かんないけど。

 なんか尊すぎてお金払いたくなりそう。


「あ、ありがとう。き、気持ちだけで十分だよ」

「そうか……」


 あ、また肩落としてるな。

 今日は妖怪手伝いクレーの日なのか。


「あー。じゃ、じゃぁ……。手伝って、もらおうかなー」

「──! よしきた」


 ああぁ。そんな目を輝かせて。

 分かりやすいったら。

 ……というか、わたしがダオを拾ったことへの恩にはもう十分に報いたと思うんだが。

 そんなにお手伝いを欲しなくても。


「なんかちょっと疲れて血が足りない気がするから、お昼ご飯……ネトルをスープにするかなぁ」

「ねとる?」

「そっ、ネトル」


 ちょっと名前がややこしいので、あまり連呼しないでおこう。


 ネトルはどこにでも居る、ポピュラーなハーブ。

 親戚ふくめたら、それこそ世界中に自生するような。

 わりと真っ直ぐに伸びる茎に、段々となるように葉が生える緑のよく見るやつ。


 触るとチクッとしてかゆくなる、トゲというかふわふわというか……。

 ふわトゲ? を持っていて、一見厄介だけど意外と様々な薬効を秘めたハーブ。


 血流促進のような血管まわりに効果的。

 ミネラルも豊富で、利尿作用……老廃物の排出にも。


 その相乗効果で、アレルギー体質の改善に一役買うらしく、特に花粉症対策で一時期流行った気がする。


 生だとふわトゲが厄介なので、ドライネトルが確か在庫にあったはず。


「洋風なスープって感じよね、きっと」


 イメージは、コンソメスープにドライネトルが「ちょっと失礼」って入浴しに来た感じ。

 元がふわトゲだし、ポタージュ風がいいのかな?


「んー。ダオ、スープと言ったらどんな具材?」

「? そうだな……。タマネギ、ニンジン……ジャガイモ?」

「カレーかシチュー食べたくなってきた……」


 定番中の定番、ありがとう。


「ポタージュっぽくするなら……そうねぇ。にんじんかじゃがいもは、どっちかだけにしようかな?」

「なら、ジャガイモで」

「その心は?」

「心? いや、なんとなく」

「まぁ、確かに良さそう」


 ダオにミキサーの如くポタージュにしてもらうのに、じゃがいもの方が潰しやすそうだ。

 ……ミキサー要員確定ですまない。


「じゃぁ、ドライネトル以外の材料を作業台に持ってきてくれる? あ、あと調理器具も」

「任された」


 寝取……じゃない、ネトルのスープ。

 いざ、調理開始!



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