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25 ぷるぷると震える白

ブクマ、★評価等応援ありがとうございます。

とても励みになります!



(そういえば、薬膳料理って季節も関係あったんだっけ)


 いつもどおり誰にとは言わず謝っておこう、申し訳ない。

 趣味で本を読んだりしてたけど、全部は頭に入っていない。

 体質と一緒に、その日の体調、季節を考慮してなんとか……ってあったもんな。

 プロだとそこもカバーしてるのかな、すごい。

 わたしは、ゆるーくいかせて頂きます。


「使いすぎは良くないよね」


 杏仁。キョウニン。食材的に言うとアンニン。

 杏──アンズの種子の中にあるやつ。保存用に庭のアンズで加工してた。


 一番有名な効能は、肺を潤す咳どめ効果。

 咳どめのデザート?

 これも妹ちゃんのテイクアウト用にいいかな。


甜杏仁(テンキョウニン)……よね?」


 我が庭では食べちゃだめぇ! というか、有害になりそうな植物は自分でわざと育てない限り生えない。

 もともと杏仁自体、少量の毒素は含まれるけど多量にしなければ大丈夫だし。

 市販の杏仁豆腐は、杏仁のパウダーで少量にとってるか、アーモンドパウダーを使ってるかでまっっったく問題はないんだけども。


 杏仁にも二種類があって、もう一つは効くけど量の取扱い注意の漢方薬用って感じだ。

 わたしのは薬効が弱いけど無毒、って感じ。苦味も弱い。

 どっちにしろね、摂り過ぎはね、何事も気を付けないとだ。


「寒天もあるのよね」


 天草のような海藻を凍らせて乾燥させたやつ。

 これは魔法使いの集落──リースにきた、行商人から買った。

 他の文化はともかく、食文化だけで言えば近世に近いのよね。


 やっぱりこの世界。

 魔法使いがいる分、発明の機会って多かったのかな。

 人口が少ないから、普及してないことはいっぱいあるけど。

 食品でいえば、過去に製法分かってたら自然の力を使って時間かけても作れるもんね。


「うーんどうしよう」


 迷う。

 粉末にしてそのまま混ぜるか、絞った汁で作るか。


「量少ないし、粉末でいいか」


 もともと効果が薄いものを使ってるし。

 そのまま摂った方がいいでしょう。


「ダオ」

「なんだ?」

「今度はこれ、バジルみたいに細かくしてくれる?」

「了解」


 べんり……じゃなかった、頼りになりますなぁ。


「出来たぞ」

「はっや」

「量が少ないしな」

「それもそうか」


 種の中の一部。元も小さいし。


「じゃぁこれを~」


 器に移してもらい、牛乳と一緒に混ぜて溶かす。

 杏仁豆腐の、あの艶めいた白を演出する要素だ。

 

「あ」


 前世で良く使っていたのは、粉寒天。

 工場で作られたであろうそれは、事前にふやかしたりしなくていいから便利な代物。


 今うちにあるのは、天然の産物。

 大きい棒のやつよりかは、幾らかほぐれている糸状のやつ。

 ちょっと海藻っぽさ出るだろうけど、まぁいいでしょう。

 成分もきっと体に良いはずっ。


「いける……!」


 ちょっと力技だけど、これもダオにお願いすれば……粉寒天といっていいのでは!?


「ダオごめん、これもお願い」

「任せろ」


 ごめんよ、美形をミキサー代わりにして。

 でも、非常にやりやすい。


「これを……えーっと。水を火にかけてから……、溶かすっと」


 溶かす工程なら、砂糖もここで入れちゃっていいのかな?

 以前作ったのは遥か昔のことだから、手探りすぎる。


「お、溶けた。ダオ、ちょっとずつこっちの中身、移してくれる?」

「少しずつでいいのか?」

「うん、お願い」


 しっかり混ぜるために、寒天の方に白い液体をちょっとずつ入れてもらう。

 

「こんなもんかな?」


 混ぜ終わったら、あとはもう固める作業だけだ。

 平たい器に流し込んで、ちょっと粗熱をとっておく。


「ダオ、粗熱がとれたら、冷蔵室に入れてくれる? あ、それと氷足しといて」

「ん」


 最近は水の魔法が得意なダオに製氷係もお願いしている。

 魔法を使っても、体調は変わらないし呪いも大丈夫らしい。

 

「シロップは砂糖と水ですぐ出来るし……」


 ひととおり終わらせておけば、メインを作ってご飯が食べ終わるまでには固まるでしょう。


 白の杏仁豆腐、完成!



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