23 赤と緑の共演サラダ
コース料理といえば、前菜、サラダ、メインに締め、最後にデザートが定番だと思うけど。
懐石料理とかだとまた違うんだろうなぁ。
あぁ、食べたい……。
「まぁ、ゆるーくいきましょ」
一応の献立は頭の中で出来た。
先にサラダを作ろう。
「それは何てやつだ?」
「うーん、……水菜?」
「ミズナ?」
ミスター何それが指さす緑の葉物。
同じアブラナ科のクレソンかと思ったけど……。
どう見ても、日本の水菜。
前世を思い出す前はふつうに育ててたんだろうけど、今となっては面白い。
やっぱりここ、漫画とかゲームの世界なのでは?
まぁ栄養もあるし、好きだし。ありがたく使わせてもらおう。
「まずは、サラダを作ります」
「おう」
「じゃあ、ダオは野菜を洗って水気を切ってくれる?」
「水気を……? ああ、なるほど」
最近わたしの料理のおかげか、呪いとは……? となっているダオ。
魔法を使っても、ぜんぜん疲れないらしい。
いやほんと、むしろここに来るまで相当大変だったろうに……泣ける。
水と風が得意な彼は非常にやくだ……助けになってくれる。
水で洗って、風で水気を飛ばす。
便利。いや、訂正。頼りになる。
タダ飯は彼もイヤらしく、最近はミスター何それと共に『妖怪手伝いクレー』を襲名している。
……自分でもなにを言っているかたまに分からない。
「その間に調味料混ぜとこ」
と言っても非常にシンプル。
マリネ風にしようかと。
「オリーブオイルに、お塩。……あとは酢で、はい完成~」
レモン汁とか、砂糖とか入れるとまた違った味わいになるんだろうけど。
ちょっとね、今日は気合い入れて量が多いんでね。
「──出来たぞ」
「ありがと~」
もういつでも食べれます! な状態のきれいな野菜たち。
トマトと水菜。
大地の恵みに感謝、ありがとう。いただきます。
「切って混ぜるだけだから……、あとはダオにお願いしていい?」
「! いいのか?」
「? いいけど」
「……よしっ」
そんなに任せられるのが嬉しいのだろうか。
あ、あれか。
料理の仕上げもわたしがしないと、効果がうすいって思ってるのかな。
そんなことないでしょう!
……ないよね?
「……食べる人のこと考えながら、おいしくなぁれってすれば大丈夫だよ」
一応、次期恵土の魔女らしいことを言ってみる。
断じて不安になったからではない。
「やってみよう」
まさか、魔法使いって無意識に魔法使ってるとか……そんな、まさかねぇ!