表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

22/61

21 ゆる薬膳コース、ふるまいましょう①

 一旦おやつに持ってきていたクッキーで買収……いや、手なずけ……これも違う。

 和解? して、互いに自己紹介をして、警戒心が少しほぐれたところ教えてくれた。


「なるほど、妹のためにか」

「う、うん……」

「危険を承知で来る勇気は認めるけど、勝算がないなら無謀っていうのよ。街の人が心配するでしょっ」

「っ……」


 おっと、これ以上言うと泣いてしまいそうだ。

 いじめダメ、ゼッタイ。


 どうやら、病気の妹のために薬が欲しいらしい美少年キィル。

 薬も扱う商人から、腕のいい薬師は魔法使いの集落に居ると噂を聞いて、いても立ってもいられず単身街をでたらしい。


「魔法使い、恐くないの?」

「正直、こわい……けど」

「それよりも妹を助けたい気持ちが上回ったのか。……いい兄だな」

「泣けるぜ……」


 しかし、いくら魔法使いにぼったくりの精神はないとはいえ、薬はある程度高価なもの。

 子供がそんなお小遣い持ってるのかな……?


「ハニティさんは、……」

「ハニティでいいよ」

「は、ハニティは、……魔女……なんだよね?」

「ん? まぁ、そうね。魔法みたでしょ」

「っ! あの! だったら! ……ぼくを、リースに連れて行ってくれませんか!」


 あー、そう言われるとは思った。

 困ったなぁ。

 親御さんとかのことを考えたら、早くラドリスの街に帰した方がいいんだけど……。

 それに。


「連れて行ったとして、お金……あるの?」


 いくらわたし達が人を助ける使命があるからと言って、それは『魔物』の存在からだ。

 魔力がなくても薬そのものはつくれるし、魔力がない分、医療の心得は医師の方がもちろんある。

 無理して魔法使いと関わらなくても、医師を呼ぶお金に回した方がいいと思うけど……。


「魔女は……、おとこが好きと聞いています。特に、若いおとこ。……お金はないので、……ぼくのことを好きに、してもらうつもりです……」

「ええええええ!?」

「そ、そうなのか……?」


 ちょっと!

 魔女のイメージ戦略、間違った方向にいってるんだけど!?

 だーれがショタコンだよ、確かに癒しだけども!

 ダオ引いてるじゃん。


「えーっと、キィル? それは……少し違う……かなぁ?」

「ぇ……?」

「う、うーん。上手く言えないんだけど」


 あんまり否定すると先人の努力が報われないので、やんわり訂正する。


「でも、……ハニティとダオさ……ダオも、そういう関係、……ですよね?」

「──はああああああああぁぁ!?」

「ははは!」


 笑いごっちゃない。

 あまりにもダオがかわいそう過ぎる。

 彼にだって選ぶ権利あるでしょうに。

 魔女ってどれだけ節操ないと思われてんだ。


「ち、ちがうねぇ」

「違うのか?」

「ちがうでしょーが!」


 悪ノリのダオが始まる。

 こいつ……、無垢な子供を騙すんじゃない!


「そ、そうなんですか……? でも薬師さまはお好きかも……」

「いや、知り合いだけどそんな子じゃないよ」

「え、そんな……」


 あああ、まずい。

 希望をなくすこと言ってしまった。

 うーん、どうしよう。

 ……そうだ。


「薬ってほどじゃないけど、すこし元気になるものなら、わたしが力になれるかも」

「ほ、ほんとうですか!」

「おいおい、ハニティ。若い方がいいなんて……ひどいじゃないか」

「ダオは黙ってて!」


 これじゃどっちが子供だか分からん。


「うん、お金も要らないよ。じっけ……じゃなかった、わたしの魔法で育てたものが、魔力のない人にも効果がアップするのか気になるし」


 それらをもっと効率良く体に効くよう調合した薬の方が、良いんだろうけどね。

 まぁ、原料だし大差はないでしょう。

 前世の東洋医学の考え方で、『薬食同源』……口から入る食べ物はすべて薬になるって考え方あるし。

 テイクアウトできそうな薬膳料理、作ってあげよう。


「あ、お腹空いてない? せっかくだし、どういう感じかキィルにもふるまってあげるよ」

「い、いいんですか……?」

「へぇ、楽しみだな」

「ダオはごはん抜きね」

「ハニティ、ひどい」


 ひどいのは、お前じゃあああ!



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ