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11 魔力のめぐり、一杯のスープ①

「お」


 今の季節は日本でいうと、冬と春のあいだ。

 ええと、三月くらい? 気温で考えると。

 そんなに寒すぎはしないけど、たまに寒い時もある。


 魔力──、あっちでいう、気に近いだろうし。

 血のめぐりも良くして免疫力アップ!

 ってことで薬膳スープ。いいんじゃない?


 畑……というよりは、森と庭の境目らへんにて延びたつるを確認し、根元を探る。


「やーまーいーもー」

「?」


 山芋。やまいも。ヤマノイモとかナガイモの総称。

 なんか粘り気とかで色んな名前あるみたいだけど、正直違いがよく分からん。

 山だと所有者に掘っていいか聞かないとだし、前世ではふつうにスーパーで買うのがメインだった。


 ムカゴがついてたら、ほぼヤマノイモ。

 まれに食用に向かない仲間もいるみたいだけど。

 

 山芋は……なんだったかな。

 気虚(ききょ)、エネルギー切れに効くんだったっけ。


 ふつうだったらつるから根本まで見極めて、さらに採るのには地面を掘り進めないといけない。

 しかも慎重に。


 しかし……ふふふ。

 わたしは、大地に関してはチート魔女。

 ほら、この通り。

 地面に手を触れれば、土を操れるのですよ。

 

 横方向に、放射状にのびた根をみて山芋だと安心。

 特徴とかちゃんと調べずにテキトウに採って食べると、大変なこともあるからね。

 気を付けましょうね。

 これはちゃんと自分で把握してたものだから、大丈夫だけど。


 また採れるように、根に接した部分を少し大げさに切り離して、埋めなおす。

 すまんね、美味しく頂くからまた元気に育ってね。


「と、ねぎ!」


 今度は庭の畑。きれいな緑色。

 ねぎは辛みもあるし、気のめぐりに良いんだったよね。

 同時に血もめぐる……お腹も温めるから、解毒作用にも期待。

 いいじゃん。


 肉や魚も使いたいけど、今日はとりあえず庭のチェックも兼ねて。

 この辺を使うか。

 あとは、キノコ系いれて出汁とろう。

 ほんとは昆布とか、かつお節とか。

 その辺がいいんだろうけど、ま、いいでしょう。


 朝兼昼ごはん……ブランチ? をこのスープと家のパンにして。

 夜はスープの残りと他も考えて作ろう。


「傘はあんまり開いてないやつがいいかなぁ」

「かさ?」

「うん、キノコの話」


 歯ごたえ、噛む回数を増やす重視でコリコリっとした小さめのしいたけが良いな。

 しいたけってなぁ、美味しいよね。

 バターで炒めるだけでも相当うまい。

 バター炒めなら、傘が大きめの方が好きだけど。

 火に通すとちょっとトロっ、ぬめっとしてきてさ。

 口当たりがツルツルしてるのに、噛むとジュワッとバターのうま味がキノコのうま味とコラボしてね。

 傘が小さ目だと……そうだなぁ。

 お雑煮とか、茶碗蒸しに入ってると、テンションがあがった。

 

 ……おっとよだれが。

 これもこの森に生えてるのは把握している。

 毒をもったキノコに似てるみたいだから、前世ではワイルドなキノコは遠ざけてたけども。

 農家さん、食用栽培ありがとう。

 

 ……というか、アレなのよね。

 わたしの魔力のせいか、毒を含むような……、食べちゃだめぇ! な危ないやつ生えないのよね。

 すごい限定的だけど、一応これもチート?


「あ、持っててくれる?」

「もちろん」

「助かる~」


 山芋とねぎを入れたかごをダオに渡して、両手フリー。

 採るぞぉ。

 山芋があったところより、もう少し森の中に分け入る。


 前世の記憶がもどる前。

 倒木にしいたけが生えているのをみた時は、「あ、キノコ生えてる~」くらいだったけど。

 今となっては、見た目からザ・しいたけ。ってのが分かる。

 野生でも生えるもんだなぁ。


「うん、おいしそう」

「食べれるのか?」

「わたしの敷地で危ない食材はないよ」

「それは……また便利だな」

「でしょ」


 わたしも理屈は分からないから、すんごく不思議。

 わるいことじゃないから、……いいよね?


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