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ブラックホーク

ブラックホーク


4月6日16時頃、陸自保有の多用途ヘリ、ロクマルが宮古島沖に墜落しています。

自衛隊や海保が捜索に当たっていますが、搭乗していた10名の安否は不明のままです。

非常に厳しい状況ですが何とか無事であって欲しいと願うばかりです。


本件について様々な憶測や疑念が生じるのは当然でしょう。私としても色々と思う所はありますが、妄想と現実を混同してはいけません(自戒)。


台湾、そして沖縄周辺で起きていることについては、一度まとめてお話しすべきですが、今回の状況がある程度明らかになってからの方が適当かと思いますので、本稿ではヘリについて幾つかの点を解説していきます。


ロクマルは映画「ブラックホークダウン」に登場したUH60=ブラックホークのライセンス生産版です。


航空機は固定翼機、所謂ふつーの「飛行機」と呼ばれる機体とヘリコプターなどの回転翼機に大別されます。

ちなみにヘリコプターはヘリ・コプターではなく、ヘリコ(螺旋の意)・プター(翼の意)です。この辺のネーミングはダ・ヴィンチのヘリコプターこと「空気スクリュー」のデザインから来ているようです。昔のANAのロゴマークのアレね、、、、、、見たことないの?さよか、、、


固定翼機が機体を前進させることにより、翼で揚力を発生させて飛行しているのに対し、ヘリは(ローター)そのものを前進(回転)させることで揚力を得ます。このため、ヘリは機体自体を空中に静止させることも出来るし、後退することも出来る訳です。


ヘリはローターを回転させ、揚力を得ますが、同時にローターが機体を反対方向に回転させようとするトルクが生じます。これを相殺するため、ヘリの尾部にはテイルローターが設けられています。

ヘリはこの二つのローターの出力を調整し、(メイン)ローターの軸の傾きを変化させる事で、垂直離着陸は元より、空中を前後左右に移動し、その場で静止・方向転換するなど、通常の固定翼機には不可能な機動が行えます。


この機動性の高さこそ、ヘリの最大のメリットと言っていいでしょう。

エンジンで発生させた出力の多くを揚力として費消するエネルギー効率の悪さも、ローター機構の空力特性のため音速の半分も出せない(超音速攻撃ヘリ=エアーウルフとかは当然無理←ロマンが無い)低速度の航空機であることも、この機動性故に固定翼機に取って代わられる理由となりません。


しかし、ヘリの機動性の高さは空力的に不安定であることの裏返しでもあります。


固定翼機の場合、飛行中は大きな主翼やスタビライザーが機体を安定させますが、ヘリは二つのローターを回転させることで動的に安定させています。

このため、操縦の難度は高く、どちらかのローターにトラブルが生じるとヘリは容易くコントロールを失ってしまう。


ヘリの事故の多くは人的ミスによるものです。

ヘリは機構上、二つのローターを上手く協働させなければ真っ直ぐに飛ぶことすら出来ません。

人間は慣れる生き物であるため、ベテランのヘリパイロットともなれば、ヘリの複雑な操縦も感覚的に行えるようになり、手足の様に扱えるでしょう。しかし、そうなるには時間がかかるし、そうなった後も「感覚」というものは何かの機みで失われる事があるのです。


その外によく問題となるのは(メイン)ローターではなく、テイルローターの方です。極端な例ではありますが、(メイン)ローターは動力を失っても空気抵抗により、ある程度回転するため、不時着に成功する場合もあります。

しかし、テイルローターは動力を失うと一瞬にして機体が回転を始め、コントロールを取り戻す事は困難です。

このため、二重反転ローターなど様々な方法でトルクを打ち消す仕組みが考案され、実際に実用化もされていますが、技術的な問題から完全に取って代わる方法のものは現れていません。


機動性の高さからヘリは多くの場面で使われます。当然、軍事利用は最たるもの。

そこで問題となるのが信頼性です。

戦場という過酷な条件での使用に耐えるヘリが求められ、厳しい要求スペックを満たした軍用ヘリの一つがブラックホークになります。

陸自のロクマルもブラックホークとほぼ同じものであり、信頼性の高い機体であることは間違いありません。


しかし、ここで述べてきた様に、ヘリは高い機動性と同時に不安定さも有しています。軍用ヘリと言えど完全に解消することは不可能であり、人的ミスによるものを含め、ブラックホークにも様々な事故が起きています。


陸自のロクマルに何が起きたのか。

自衛官10名の安否と共に解明が待たれます。

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