イリーガルファンクション
イリーガルファンクション
ロシアという国は、イリーガルファンクションの多い国です。
イリーガルファンクション。即ち、非正規機能。国家における非合法活動や明確に法違反では無くとも表立っては実行出来ない諸々の活動を担うものです。
法治国家においては、国権は法の規定に基づき行使され、立法府などがチェックしたり、法に違反する場合は司法が処罰します。
国権や国家財産は主権者(民主主義においては国民)のものであり、執政者はこれを託されているだけで、私物化することは(本来)許されません。
改めてロシアを見てみましょう。このウクライナ戦争はロシアの法に照らし適正でしょうか。
ヴォイナ(戦争)するときはお辞儀をするのだプーチン。ロシア憲法にもそう書いてある。
ロシアでは、戦争したけりゃちゃんと宣言して手続きを踏みなさい、と憲法以下に定めがあります。
しかし、ご存知の通りプーチンは戦争を宣言せず、それどころか国民が「これ戦争でしょ」と言ったら投獄される。
他国に軍を進めて市民の生命財産を害し、ここは俺の国だ、と言ったら戦争以外の何ものでもない。
それを特別軍事作戦だからセーフとか、フザケた論理が罷り通るのは、ロシアが法治国家ではなく、未だ恐怖とダブルシンクに支配された専制国家に過ぎないからです。
この様な国で大きくなるのがイリーガルファンクションです。
余りにも堂々とやってるものだから誰もツッコミを入れませんが、このウクライナ戦争は手続的に憲法違反であり、超巨大なイリーガルファンクションによるものです。それが今や「戦争だ」と正しい指摘をする方が投獄される逆転現象まで起きる始末。犯罪者はどっちだよ、と溜息が出ます。
馬鹿馬鹿しく、そして呆れるほどワンパターンな話ですが、こういった国の指導者ほど自己正当化と美化、神格化に驀進します。
まぁ、ある意味、当然と言えば当然の話。専制政治には、往々にして支配の裏付けが薄い。
近代以前の王や領主の支配力の源は、根源的には武力です。国土の領有者ではあっても重税や徴兵などの重い賦役は領民の反乱や離散に繋がります。
軍事力とは潜在的に国内への抑止力でもあるのです。
しかし、武力のみの支配は非常に効率が悪い。
そのため、脅し賺し、の賺しの部分が大事になってくるわけです。
ソ連時代、支配者が被支配者を革命の「同志」と呼び、被支配者に支配者を「同志」と呼ばせていたのも、支配・被支配の関係では無く、志しを同じくする仲間であるという滑稽な欺瞞であり、賺しのテクニックに他ならない。
現在も、中国や北朝鮮でトップに対し支配者を想起させる肩書きを用いないのはそういう事です。まぁ、それはまだ良いとして、一々「敬愛するなんちゃら」みたいに呼ぶのはバチクソ気色悪いので止めて欲しい。
こういう共産カルトの伝統的手法の一つが「清貧の偽装」です。
共産カルトの支配者層、即ち「赤い貴族」は、汚れ仕事を経てのし上がるパターンが多く、下層階級出身者の役回りになりがちです。
まぁ、革命をうたうカルトなので、被支配者層が主となるのは当然ではありますが、共産化により下層階級出身者が支配者層になると途端に豪邸、別荘、ヨットなどの贅沢に突っ走り、愛人を囲い、「同志」を搾取し、国権を弄び、国家財産を私物化します。
愛人囲って贅沢したい、なんてのは極めてプリミティブな欲望ですが、共産主義社会の担い手として大っぴらには出来ない。それ故にイリーガルファンクションが深く関わってきます。
ソ連の支配者層ノーメンクラトゥーラはソビエト社会の中では比較的高給を支給されていましたが、そもそも社会主義国家において金で手に入るものなど高が知れている。
ノーメンクラトゥーラはイリーガルファンクションにより、エネルギー資源で得た西側の金で嗜好品・贅沢品を資本主義のブルジョワも顔負けするほど買い漁り、国家財産名義で豪邸を次々におっ建て、国家が育成している女子体操選手などをむにゃむにゃする訳です。
その手口はビックリするほど大胆で、本当に隠す気が有るのかすら疑わしい限りですが、実態がどうであろうと、彼らを批難すれば批難した人間が反革命分子になるだけ。
共産主義は人の欲望を前提に資本主義を否定するカルト宗教に他ならない。それでいて、人の欲望が存在しては成立し得ない共産主義社会を人の欲望を原動力に築こうとするのだから、こうなるのは当然の帰結です。
このソ連とプーチン朝ロシア帝国に本質的な違いなどありません。プーチンの愛人が体操の金メダリストなのは様式美とさえ言えるでしょう。
ロシアという国はソ連時代から伝統的にイリーガルファンクションと親和性が高く、どちらが裏で表の存在なのか分からなくなります。
まぁ、この状態こそがダブルシンクな訳です。
もはや伝統の域に達したイリーガルファンクションは、この戦争を様々な局面で支えています。
日陰者のハズだったワグネルは公然と戦果を主張し、民間人に一切危害を加えていないと公言するロシア軍は今日も民間人と民間施設にミサイルをぶっ放している。
イリーガルファンクションお得意の、ブラックマーケットを経由した軍需物資の密輸は相当な規模に登っている事が推測されます。
ロシアは戦時経済体制に移行しており、軍需物資の国内生産を増強してはいますが、人的な動員で可能となる増産は3倍までが限界でしょう。現状から類推される弾薬類の消費は賄えない。
ワグネルが弾薬の補給不足を訴え、瀬戸際ムーブの様相を呈していますが、それでも未だ相当量の火力を発揮していられるのは、ほぼ間違いなく北朝鮮やイランから弾薬類の供給が行われているからです。
、、、、、、余り考えたく有りませんが、共産党の指示の下、中国から弾薬類が提供されているとしたら、この戦争の戦略が根本から変わってくる可能性もあります。
中国の方は現時点においては、大きな影響を持つレベルとは思えませんが、懸念されるのは地理的に近接しているイランです。
さすがに大っぴらに弾薬類を送り込むことは出来ないでしょうが、ロシアとイランはカスピ海で結ばれています。
イランが弾薬類の策源地となるのは何としても防がなければならない。
 




