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何故まだ戦争は続いているのか

何故まだ戦争は続いているのか


まず、大前提としてウクライナ戦争はロシアにとって全面戦争ではありません。

これが国家や民族の存亡を賭けた戦争なら、プーチンでなくとも、あらゆる手段を使って、勝利を得るまで闘い続けるでしょうし、如何なる国家もそれを否定することは出来ません。まぁ、それが今回のウクライナな訳です。

プーチンや閣僚がNATOの侵略だの何だの幾ら言い立てたところで、真面目に騙す気すらない。本当にNATOとの戦争ならロシアは法に則り戦争を宣言し、総動員令を発し、核でも何でも使うでしょう。


ウクライナとの戦争は、どこまで行ってもプーチンの夢想に過ぎない。

最初から、ロシアにとって得るものは少なく、失うものは破滅的でした。

圧倒的な勝利で軍事的被害はほぼ生じなかったクリミア侵攻でさえ、クリミア併合によりロシアは年金問題にまで波及する巨大な経済的ダメージを被っているのです。

何度も同じことを言いますが、ロシアにとっての最善手は、クリミアまで含めて即時全面撤退し、可能な限り長期間での戦後賠償に持ち込み、その見返りとして経済制裁を解除させ、ウクライナ復興事業にも食い込む事です。


これだけでもソ連崩壊以来、未曾有の危機ですが、このまま戦争を続ければ、ソ連崩壊時など比較にならないダメージを負うことになります。

プーチンはソ連崩壊後の危機を自分が立て直したかのように言い、ソ連崩壊を西側の所為であるかのように言いますが、ちゃんちゃら可笑しい。


ソ連崩壊は8割方自業自得。

そしてソ連崩壊による経済危機を乗り越えたのも、その原動力が石油やガスであったにしろ、西側の技術協力や経済支援が無ければ成り立たなかったでしょう。


それは現在においても大きくは変わっていません。

石油やガスの採掘はコストとの闘いです。

近年、アメリカの産油量が増加しているのは新たに油田が見つかった訳ではなく、原油高と採掘コストの低下(所謂シェール革命)によるもの。


ロシアの原油採掘コストは公表値で1バレル(約159ℓ)当たり44ドルとされていますが、これはそこそこの高コストです。

ちなみにシェールオイルは高コスト鉱区で30ドル、サウジアラビアなどでは2〜3ドル、低コスト鉱区では1ドルを切ります。

まぁ、サウジアラビアは異次元なので余り参考になりませんが、、、

実のところ、ロシアの採掘コストにはプーチンやオリガルヒなどの懐に入る分も含まれていると考えられるので、コストの実態は30ドルを割り込んでいる可能性も無くはない。


しかし、ロシアの採掘コストは西側の資本と技術があって成り立っています。

広大なロシア領土内でも屈指の優良鉱区であるシベリアに西側の資本と技術を注ぎ込んでの話。

しかも、優良鉱区は産油量の低下が顕在化しつつあり、今後はコストや埋蔵量などの条件が劣後する油田鉱床を開発して行かなければならない。

技術も知見も足りないロシアが単独で油田開発するなど金をドブに捨てるようなものです。

そもそも油価の上限設定により注ぎ込む金など何処にも無くなるでしょう。

掛け値無しに戦争なぞしている場合ではないのです。


普通の国なら戦争しようにも出来ない状況。これが戦時体制に移行した総力戦であれば不可能ではありませんが、ロシアは未だ「特別軍事作戦」などという欺瞞を続けている。


それで何故、戦争が終わらないかと言えば、一つには、ロシアが曲がりなりにも軍事大国を標榜するだけあって、重火器や戦車などの備蓄が膨大であった事が大きい。

二つ目は、ロシアがやっているのは現代戦ではなく、百年前の戦争をやっているということ。

兵は主権者たる国民ではなく、権力者の駒に過ぎず、生命の値段がおっそろしく安い。

「軽い」という比喩だけで無く、字義どおり「安い」。

ロシアやソ連、もっと言えば共産カルトの伝統でもありますが、連中にとって人は騙して使うものと相場が決まっています。

人を人扱いしなければ金をかけずに戦争する方法を幾らでも思い付く連中なのです。

そのやり口は、ロシア革命や独ソ戦などで世界が知ることとなり、今まさに現実のものとして世界が目の当たりにしている。

弾薬は攻撃力である以上に防御力に直結します。戦争で敵一人倒すために体重以上の弾薬を消費するようになったのは、敵の攻撃を防ぎ、行動の自由を確保するためには、先ず弾をばら撒く必要があるからです。

それをロシアは弾薬ではなく肉の盾で代替している。

せめて、これが侵攻を受けた側で、追い詰められた末の苦肉の策なら理解もできるのですけどね。

これで未だにドンバスで虐げられているロシア人を救うため、とか言えるのだから、面の皮がバチクソ分厚いのだと思います。


そして三つ目、ある意味で最も厄介と言えるのが、この戦争が一面において抑制された戦争であることです。


タワーディフェンスと呼ばれるゲームジャンルがあります(以下「TD」)。

TDはプレイヤーが防衛側となり、陣地にユニットを配して敵の波状攻撃を防ぎ、敵が目的地に到達するか攻撃を防ぎきるかで決着が付きます。

戦争をゲームに例えるのは不謹慎かとも思いますが、この戦争の構造はTDによく似ている。

TDでは、プレイヤーは自陣内に侵攻してきた敵をユニットで攻撃することしか出来ない。

敵の大元を叩くことも敵陣に足を踏み入れることも出来ないのです。


戦争はルール無用の何でもアリ、、、では、ない。

戦争犯罪を屁とも思わない山賊が核兵器を使わないのは、極論すればアメリカが抑止力となっているからです。

同時に、ウクライナも供与を受けた兵器ではロシアを攻撃することを禁じられています。

自国内にしか戦場を設定出来ないのは、戦略的にかなり厳しい。

これ即ち、戦争そのもののイニシアティヴをロシアが握っている事に他ならず、言い換えれは、最悪、ウクライナ領土内からロシア軍を完全に駆逐しても、それで戦争の終結ではない。という事。

ウクライナも、それを理解しているからこそ、ロシア軍の阿呆な消耗戦術に応じている面が少なからず有るように思えます。


現実的には、このTDめいた戦争も一旦国境線まで戦線が押し上げられれば、ロシア軍も足掛かりを失い、一から再侵攻するのは戦力面・経済面から見て不可能に近い。


この一年に及ぶ、底無しのロシア軍の猛攻を凌ぎ切りつつあるウクライナ軍の粘りは驚嘆と賛辞に値いします。

ひたすら耐え抜くしか無い、悪夢の様な非対称戦を戦い抜いたウクライナ兵士達の献身は報われつつあり、おそらく、春までのロシア軍の攻撃を凌ぎ切れば戦争終結の形も見えてくるでしょう。


現時点で最も必要なのは、防空能力。

F16やペトリオットは間に合いません。

対空戦車ゲパルトなどロートルであっても供与中の装備に期待が集まっています。

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