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CIS

CIS


約30年前の1991年、ソビエト連邦は名実共に崩壊しました。

ソ連崩壊と同時に成立したのがCIS。

即ち、独立国家共同体です。


旧ソ連構成国12ヶ国からなるCISは「(ソ連崩壊で独立したのは良いけど、単独ではやってけないから)皆んなで色々協力して頑張って行こうぜ」という至極真っ当な主旨の共同体ですが、ソ連崩壊の一因でもある構成国間のトラブルや経済問題が表面化、しかも、それぞれの独立国家はクセの強い独裁者ばっかで互いに衝突するなど丸っきり安定しませんでした。


ぶっちゃけ、盟主であるロシア自体がトラブルの元凶であったり、経済危機で青息吐息の状態なのです。

そもそもの話、ロシア(クレムリン)に力が有ればソ連崩壊も構成国の独立も起きてはいない。


幾つもの火種が棚上げされ、燻り、時に破裂しては惨事となることを繰り返して30年余りが経過したのです。

ある意味、このウクライナ戦争もその一側面という見方も有ります。

しかし、プーチンやロシア、そのプロパガンダがどれほど自己正当化の言葉を並べ立てようと、この戦争の本質はプーチン個人の夢想、自己満足に過ぎない。

自ら撒いた火種を煽り、破裂させておいて愛国だ何だとちゃんちゃら可笑しい。


遠からず、ロシアはプーチンというチンピラ皇帝をのさばらせたツケを払わされることになります。


その時、CISの国々が助けになるとは思えません。

CISの12ヶ国は既に2ヶ国が脱退状態ですが、その2ヶ国とはウクライナとジョージア。脱退の理由など言うまでもない。

残る10ヶ国(内、トルクメニスタンは正式な加盟国ではありません)に対しても、ロシア(プーチン)のスタンスはウクライナやジョージアと大きな違いがある訳では無い。

犬の様に忠誠を尽くすなら肉を切り分けてやるが、逆らうなら暗殺を含めたあの手この手の陰湿な嫌がらせを実行し、最後は武力でシマ(土地)を荒らす。


CIS各国のトップはプーチン20年の治世で、この丸っきりマフィアなやり口を知り尽くしているし、逆に利用してもいる訳です。

マフィアの掟の様なプーチンの軛を憎悪しながらも、自らの独裁を維持するためにプーチンを利用もしている。

ベラルーシのルカシェンコは、その一例に過ぎず外の国々も似たり寄ったりの関係です。

CISでは無いがチェチェンのカディロフやシリアのアサドも同様で、歯の浮くような忠誠の言葉など当のプーチンが最初から信用などしていない。


カディロフなどは、チェチェン人悲願の独立を阻み、陰湿な嫌がらせで民族の誇りを踏み躙ってきたプーチンの犬となる事で首長の座に在るのです。

心からの忠誠心など誰も信じていないし、プーチンのロシアと正面から戦っているウクライナに対しては、さぞかし複雑極まりない想いを抱いているだろうと想像もつく。


その、チンピラ皇帝にしてマフィア国家のボスたるプーチンの凋落。

巨大な軛であると同時に、比類なき後ろ盾となっていたロシアの窮状。

事ここに至って、この現実が見えない政治家なぞ国際社会で生き残れはしない。


、、、、、、日本の元総理?、、、知らんがな。


CISの国々では、ロシア本国の一般市民などより、この現実を肌で感じているハズです。

プリゴジンは半ば公然とCIS各国を含む世界の(貧しい)国々で傭兵を集め(←違法)、これまで戦略的に重視されてきた地域から兵士と装備を引き上げ、ロシアからは若い男達が逃げ出してくる。


世界の趨勢は、既に「勝ち馬に乗り遅れるな」。

イランや北朝鮮などそもそもが負け犬同盟に等しく、ロシアが頼っていること自体、負け戦の証明の様なもの。


この世界最大の国土を有する何ちゃって軍事大国が上げる悲鳴は、既に周辺各国の不安定化を招いています。


シリアでは、トルコが本格的に侵攻する懸念が高まっていますが、これもロシアというタガが外れた結果と言えますし、内戦が再発する可能性も、、、まぁ、無いこともない。


チェチェンでは、表向き、ロシアの一員として頑張るぞー!と言ってますが、独立を志向する勢力がウクライナと結び付きを深めており、この戦争を千載一遇の機会ととらえている事は間違いない。独立の機運が高まるとチェチェン内部での内戦となる可能性が高く、流血は避けられません。


そしてCIS各国。


ルカシェンコは徹頭徹尾、付かず離れず。プーチンに良い顔をしつつ一線は超えないよう立ち回る。これは、未だ統一ロシア大統領の座を諦めてはいないという事でしょう。


モルドバは「ウクライナの次」という恐怖から解放されつつあると同時に、目の上のタンコブ、トランスニストリアを排除するという漁夫の利を得ようと画策しているでしょう。これは上手くいく可能性がありますが、排除を望まない勢力も多いので少なからず遺恨を残すことになります。


アルメニアとアゼルバイジャンは昨年9月にナゴルノカラバフを巡って衝突し、アルメニア側はロシアという抑止力の不在を批難しています。ナゴルノカラバフの問題は根が深く、正直なところ、両国間で決着がつくなら、それもアリではないかという邪念が湧いてきますが、おそらく色々なところへの飛び火は免れないでしょう。


カザフスタンでは、昨年11月、現職のトカエフ大統領が前倒し選挙で再選を果たしています。任期を2年残しての前倒し選挙は憶測を呼びましたが、徐々にその意図は明らかとなりました。即ち、ロシアの不安定化を見越して、早期に自身の権力基盤を堅めると共に、ロシアに太いパイプを有し退任後も権力を振るうナザルバエフ元大統領とその一族を排除する事です。


きりがないのでこの辺にしておきますが、ロシアを含め、周辺各国の不安定化は顕著です。

時期で言えば、昨年9月あたりから各国の動きはロシア凋落を前提にしたものに変わり始めています(カザフスタン大統領選前倒しも発表は9月)。

今後、破裂するであろう火種も多い。


当然ながら、不安定化は善い方にも悪い方にも転がる可能性があり、そもそも善悪の二元論で語るものではない。

しかし、少なからぬ血が流れる事は避けられない。


せめて、流れた血に見合う未来を掴み取って欲しい。

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