ポスト・プーチン
ポスト・プーチン
プーチンの凋落が著しいので、後釜がどうなるか、が取り沙汰されるのをよく見かけるようになりました。
その中で、候補の一人として一躍表舞台に躍り出たのがプリゴジン、、、って誰がそんなことを言ってんのさ。
うん?週刊誌系サイトの記事?引用は大学の先生?
う〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん。
まぁ、まずは、プーチンが皇帝位を失うシナリオから探っていきましょう。
以前にも言っていますが、選挙などの正当な手段でプーチンを退陣させるのは事実上不可能です。
可能性のあるものは、大別して軍事・宮廷クーデター、禅譲、プーチンの死、に絞られるでしょう。
注意すべきは、クーデター=プーチンの死、とは限らない事です。
クーデター後の始末の付け方として処刑の可能性はありますが、いきなりプーチンを殺害して政権を奪取するクーデターというのは可能性が低いと思います。
その上で、可能性の高い順に言えば、プーチンの死が6割、禅譲が3割、クーデターは1割未満と見積もっています。
これは、結局のところ、プーチンが寿命で死ぬか病気で死ぬかで無ければ玉座は空かない可能性が高いという事です。
なぜか?簡単に言うとプーチンの権力基盤が軍でもオリガルヒでも、ましてやロシア国民でもないからです。
プーチンに限らず、イワン雷帝の時代からロシア指導者の権力基盤はKGBなどの秘密警察にありました。
現在、その任を担っているのは、KGBの流れを汲むFSBとロシア国家親衛隊です。
ロシアにおいて登極するには、この二つを掌握する必要があります。
ロシア国内で最大の軍事組織は言うまでもなく国軍です。
しかし、軍を掌握していてもクーデターを起こす事は容易ではありません。情報はFSBが握っており、軍内部にも入り込んでいるからです。
そして国家親衛隊です。
その規模は30万人とも言われ、一部はウクライナ戦に従軍していると考えられますが、主力は温存され、ロシア国内の要所を抑えています。
彼らはエリートであり、食い詰めて軍人やってるロシア兵とは練度が違うのです。
市街戦や近接戦、要人確保が主となるクーデターでは、国軍が勝つ事は困難でしょう。
ちなみに、ウクライナで国軍兵士が死亡した際の見舞金は1万数千円、国家親衛隊の場合は1千万円とも言われています。
オリガルヒらが宮廷クーデターを起こそうとしても難しいでしょう。
そもそも、今、オリガルヒとして権勢を誇っている者の多くは、プーチンからおこぼれを貰うことで大きくなった連中です。
プーチンにして見れば幾らでも替わりの居るオリガルヒが単独で騒ごうともクビが飛ぶ(物理的に)だけ。
プリゴジンもその内の一人に過ぎません。
記事では、オリガルヒを味方に付けたプリゴジンが、プーチンを訴追しない事と引き換えに大統領代行に指名を受け、最終的に選挙で大統領となる、、、、、、、、、って、なんじゃそりゃあ!
ロシアンジョークどころか与太話じゃないか。
事実を下敷きに、実現し得る可能性を検証するのは意義があるし、色々と想像を逞しくするのも悪くない。
しかし、これは前提となる事実が余りにも空虚で話にならない。話の触りを聞いただけで記事とやらを読む気が失せました。
まず、オリガルヒ自体にプーチンを追い落とす力などありません。
そして、ロシア経済を破綻させつつあるプーチンをすげ替えたいとは思ってはいるでしょうが、それは西側と上手く話を付けて制裁を解除し、自分たちに金を回してくれる「賢明」な新たな指導者を望んでいるのです。
プーチンをインテリヤクザとするならプリゴジンは武闘派ヤクザです。このロシアの超難局をプリゴジンに託して乗り切れるなどと考えている阿呆なオリガルヒが居るなら顔を見てみたい。
現在のロシアに本当に必要な指導者として名前を挙げるならナビウリナ中央銀行総裁くらいですが、可能性としてはプリゴジンの方がまだ有りそうなくらいなので虚しい話は止めておきましょう。
で、プーチンを訴追?訴追って何を?
ロシアにおいて大統領及び大統領経験者は、その家族に至るまで生涯訴追を免れるって(とんでもねー)法律をプーチン自ら作ってるんですけどね。
少なくともロシア国内においてプーチンを通常の手段で裁くのは非常に困難です。
プリゴジンは一体何時から大統領訴追を左右できるスーパーパワーを手に入れたんです?
ハッキリと言っておきますが、プリゴジンは悪目立ちしている(俺はやるぜ!)だけで、オリガルヒの中でも上位の存在ではありません。
余り調子に乗ってハスキー犬ムーブが過ぎると粛正される可能性もあるでしょう。
まぁ、プリゴジンは完全に汚れ役なので、カディロフやスロヴィキンと同じく、なんちゃってクーデターで何らかの役回りは有るかも知れません。
では、プーチンが死亡したり、禅譲により皇帝位を譲る場合、ポスト・プーチンは誰になるのか?
現時点で、誰か特定の個人名を挙げるのは困難(候補はいますが)です。
それでも一つ言えるのは、先に示している通り。
FSBと国家親衛隊を掌握した者が次期ロシア皇帝に登極します。




