冬季戦
冬季戦
ウクライナの戦線は間もなく冬季に入ります。
以前、私は、ロシアの補給物資は早ければ2023年末には払底するので、悪あがき出来るのは今冬厳寒期まで、とする見方を示していました。
その後、ハイマースによる物資の破壊や部分的動員による費消ペース上昇により、ロシアの兵站は悪化しています。
動員兵に装備や物資を自前で用意させるとかちょっと何言ってんのか分かんないマネをするわ、北朝鮮やイランから弾薬や装備を調達するわ、瀬戸際ムーブで取り繕っていますが、既に悪あがき出来るレッドラインを超え、戦線を維持出来ない状況にあるのは明らかです。
ロシア軍がドニプロ川西岸から撤退した事により、河川が強固な防衛線になるとの見方もありますが、程なくしてドニプロ川は要害としての力を失います。凍結するためです。
冬季に入りドニプロ川が凍結すれば、歩兵は元より機甲部隊の渡河すら可能な箇所も有るでしょう。
そうで無ければウクライナ軍は橋の多くを破壊したりしません。
尤も、ウクライナ軍が凍結したドニプロ川を渡って進行するとは限らない。
凍結を待って進行するとロシア軍が認識して待ち構えているなら、正面から当たるなど下策です。
ウクライナ軍は、北側から進行するかも知れないし、海側?かも?一周回ってヘルソンから正面突破してくるかも知れませんね。
つまり物理的に可能な範囲で後出しジャンケンするのです。ロシア軍の兵站が崩壊し、ウクライナ軍が不可視の戦域において優位にある現状が可能にします。
と言うよりヘルソン州に拘る必要すらない。
現在の戦線は、ウクライナを南北に分断する長大なものになっており、兵站が崩壊したロシア軍に維持することなど出来ません。
イジューム解放戦は出来過ぎでしたが、同様にロシア軍の柔らかな横腹を探し当て、食い破って行けばいいのです。
ウクライナ軍はそうするし、しない理由はありません。
これから始まる冬季戦が過酷なものとなるのは確実です。
ただでさえ兵站が崩壊しているところに寒さと降雪が重なれば、悲惨を通り越し、凄惨な光景を至る所で見ることになるでしょう。
酷寒は補給物資の必要量を増加させますが、それを理解していてもロシアは対応できないし、しないでしょう。
温かい糧食があるかないか、熱い白湯があるかないか、それだけで兵士の戦闘能力・行動能力は段違いになります。それを理解していてもロシアがどれだけ実行できることやら。
厳寒期にはウクライナの反攻は鈍化するとの見方がありますが、私は逆だと考えています。
凍結した河川は進行を容易にし、凍える兵士は戦闘能力を損ねますが、その度合いは完全にロシアに不利です。
冬季戦こそ、ウクライナの望むところでしょう。
対するロシアはどう出るか。
と、言っても、どうにもならんよ。としか言いようがない。
どうにもならんから、なけなしのミサイルでインフラを攻撃しているのです。
馬鹿馬鹿しくて情け無くなってくる。
そんなんで勝てるくらいなら、アメリカはベトナムでもアフガンでも負けてはいない。
ロシアの最善手は全面撤退ですが、この戦争を続けるつもりなら戦線を縮小しなければ保ちません。
最低でも東部か南部のどちらかを放棄して戦力を集中し、補給線を再編すべき、、、なんてのはスロヴィキンも分かりきっているハズ。
それができないのは独裁者の面子がたたないというつまらない理由でしかない。
仮に放棄するとしても補給面を考慮するなら南部を放棄すべきところ、プーチンはクリミアを死守しろと言うだろう。
ソ連時代を含め、ロシアは独裁者に都合の良い国だとつくづく思います(諦めの境地)
ロシア国内に留まるなら勝手にやってろ、って話なんですけどね、、、
ロシアが継戦可能なレッドラインを超えた影響は、ウクライナだけではなく、中央アジアなど各所で顕在化しつつあります。
今や、プーチンは二重、三重に世界の安定を脅かしています。




