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プーチンちょっとおかしんじゃね?

プーチンちょっとおかしんじゃね?


先にこの戦争の目的がウクライナ解体であるとしました。

傀儡政権樹立といった手法に比べ、ほぼメリットしかないからです。


4部でも少し述べていますが、この(プーチンにとっての)メリットについて、もう少し解説します。


プーチンにとって最大のメリットはウクライナが民主主義国家でなくなること。

ウクライナの民主主義は、2014年のヤヌコーヴィチ追放により、ロシアのウクライナ工作をご破産にし、プーチンに屈辱を与えると同時に心胆寒からしめる思いをさせたと考えられます。

民主主義国家ウクライナである限り、手間ひまとお金をかけて傀儡政権などを作っても、市民に追放される悪夢に怯えなければなりません。


次に大きいのがロシアの関与を否定できること。

ロシア側は 「ロシア人を虐殺していたネオナチ政権を打倒しただけ。後の事は『ウクライナ』の責任」と言っていれば良いのです。


ふざけんな!全部ロシアの差し金だろ!

なんて言っても意味はありません。

実利面ではコレに勝るメリットは無いと言ってもいいでしょう。


なので、国際社会に対しても自国民に対してもロシア政府は「戦争」をしている何て一言も言っていません(いませんよね?)。戦後処理なんて面倒なことをするつもりがないのです。


親露派武装勢力が独立するのも

「虐げられていたロシア人が立ち上がっただけ。ウクライナ国内の問題だし、ロシアは関与していない」


独立した親露派武装勢力がウクライナ国内で戦闘行為を繰り返しても

「ウクライナ国内の内紛でしょ。他国が介入する話じゃないし、ロシアは関係ない」


ウクライナで民主的な選挙を行おうとすれば、何処からともなく現れた武装勢力に襲われるでしょうが

「やったのはウクライナ人だろ。ロシア人のせいにするな」


治安が悪化しても

「治安の責任はウクライナ政府にある」


冬季パラリンピックにも参加していたでしょう

「戦争なんかしてないよ。ウクライナで内戦の元凶だったネオナチを粉砕しただけ。むしろ世界はプーチンを讃えるべきだね」


全部この調子で済ませられるのです。

それでもウクライナ憲法や法律に縛られ、人命財産に責任を負わねばならない傀儡政権を立てるメリットがあるでしょうか?


もう一つ大きいのが西側の介入をある程度制限できること。

ウクライナとロシアの戦争ではなく、ウクライナ国内の民族闘争や内紛にされると西側は関与しづらい。


治安の悪化に国連安保理を動かしてPKOなど行おうにも常任理事国がアレなのです。

現在取り沙汰されている「当事者は決議から外すべき」という(極めて当然すぎる)論議も、採択は難しいでしょう。

かつ、ロシアが「ウクライナの内紛でロシアは当事者じゃない」と言い張るのも目に見えています。


このように考えれば、プーチンの戦争目的は傀儡政権樹立といった半ば直接的なウクライナ支配ではなく、多少迂遠ではあってもウクライナ解体という手法でウクライナ支配を進めて行くのではないかと推察します。


ではなぜメディアなどであまり取り上げられないかと言えば、やり方が余りにも悪辣で「そこまでやるか?」という思いがあるからでしょう。

単にウクライナ政府を解体するのではなく、ウクライナ全土を内戦、それも短期間では終わらない中長期的な内戦状態に置くことを意味するからです。


しかし、プーチンにとって内戦で苦しむ市民なぞ躊躇う理由になりません。

合理的だと判断したら実行するでしょう。

侵攻時期、規模、ルート、親露派武装勢力を虎の子のように扱いあまり前面で戦闘させない印象からみても、この考えはあながち的外れではないと思います。


そして、ウクライナ解体が実現していないのは、作戦の最重要目標であるゼレンスキー以下政権幹部確保が為されていないからです。


これが今回の「プーチンちょっとおかしんじゃね?」に繋がるわけです。


この戦争が始まり程なくして、ロシアがウクライナの対空施設を全て破壊したとする報道がなされました。

これを見て私は「ウクライナも開戦早々に終わりが見えてしまった。下手をすると本当にパラリンピック開会までに方がついてしまうかも」と思いましたが、あっという間に雲行きが変わります。


ロシア側が制空権を確保できていないのです。

今回ロシアはウクライナの倍以上に及ぶ航空戦力を準備したとされています。

装備面でもロシアが優位にあることを考慮するまでもなく、対空施設が一定以上健在で、ロシア機が思うように展開できない状況を示しています。


これは、攻撃能力の不足もさることながら、攻撃目標を把握できておらず、目標設定の段階から問題が生じている可能性が高い。

一方、地上部隊においても60余kmに及ぶロシア軍の車列が撮影され、補給線の停滞が顕となりました。


これが電撃的に攻められた側なら理解できます。

しかし、ロシアの部隊展開は数ヶ月前に完了しており、ウクライナへの侵攻そのものは2014年には意識しているはずです。


準備に充てられる時間が有ったのに、準備不足が疑われる事象が散見される事態は異常です。

機密性を考えれば、前線の徴募兵が演習だとしか伝えられないのは理解できます。

戦略から戦術にブレイクダウンしていく過程全てにおいて全体像を認識する必要は無いからです。


しかし、軍事目標設定やロジスティクスなど軍事活動の根幹部分は、軍事作戦全体像を理解した将官が時間をかけて入念に準備(一般的に実作業は佐官以下で行い、将官クラスは査閲を行います)するものです。


短期決戦想定だから疎かにできるものではなく、短期決戦とするためにこそ事前の詳細な準備が必要とされます。


戦争のGOサインは、将官らが準備し「いつでも開戦可能です。○日後には当初の目標を達成可能でしょう」という報告に対してトップが決断するものです。

現在、開戦から1ヶ月を経過していますが、このような戦況はロシア側には想定外、とりわけプーチンには到底受け入れられない事態のハズ。


ロシアは何故このような事態に陥ったのか。


ロシア軍が無能でウクライナが精強だった、というのも一面的にはそうでしょう。西側の間接的支援も大きいに違いない。

もともとロシアの軍事力には張子の虎ではないかとする見方がありました。

もちろん核保有だけでも充分以上の脅威ではあるが、通常戦力は久しく定員割れが続いており、軍の精強化を図ってプーチンが進めようとした徴兵制廃止も経済的理由で頓挫しました。

今回侵攻してきたロシア軍から接収した糧食が期限切れであったとか、死亡した兵への補償が1万2千円という話から見ても、本来軍事費であった国費が適正に使われていないのは確実と言っていい。


しかし、こういった軍事力の低下だけでは説明の付かない事象が発生している。

作戦計画とは、低下した軍事力を前提に、多少のサボタージュも考慮に入れて策定すべきものだからだ。


実のところ何が起きているかは概ね判明していると言っていい。

同じような事例は世界中至る所に有り、特に旧ソビエトでは慢性化して崩壊の遠因ともなった。

陳腐過ぎる結論で目新しさなど無いが、独裁者に権力が集中し過ぎて誰も意見を言えなくなったのだ。


このロシアの状況とプーチンの異常さを端的に表した報道がある。

ロシアの安全保障会議において、ウクライナ東部で親露派武装勢力が独立することを支持するか閣僚へ詰問するプーチン。

踏み絵を踏ませるように閣僚に問いかけ、しどろもどろになる側近を詰る姿は、自ら独裁者であり、何者の意見も赦さない。との宣言に等しい。


多少なりとも「閣僚も支持しているとおり、ロシアの総意であり、正義である」との「演出」をしようとする意識が有れば、このような場面が報道されることは有り得ない。

この報道がウクライナなどのフェイクではなく、ロシア側からなされ、誰も待ったをかけ(られ)なかった。

この時点で、もはやプーチンの異常(本性が出ただけかもしれない)は明らかと言ってもいい。


独裁者に意見が言えなくなったとき、どのような事が起きるかはハッキリしている。

事実と異なる報告がなされ、事実と異なる報告に基づき判断がくだされる。

この悪影響についてプーチンは理解しているハズだ。


旧ソビエトでは、上から下まで都合の悪い事実を報告しなくなった。

かく言うプーチン自身、東ドイツでKGB支部のナンバー2を務めていたなら、東西の壁が崩壊する直前まで、せっせと毎日「友邦ドイツに異常無し、全ては党指導部の意思のままに。共産党万歳」とやってたのは想像に難くない(そうでなければ出世はできない)。


壁崩壊に先立ち、そのような状況を憂慮していたゴルバチョフが1986年に荒療治グラスノスチを実施したが、ソビエト崩壊を早める効果しかなかった。


プーチンはプーチン朝ロシア帝国の終身皇帝だ。

言うまでもなく独裁者であり、小粒なスターリンといった印象が強い。

独裁の弊害はソビエト時代に目の当たりにしているのに、結局、独裁者として猜疑心に苛まれながら生きている。


奇しくも、中国で小粒な毛沢東が皇帝位にあり、台湾で同じことをしようとしている。

私は、ロシアのウクライナ侵攻、中国の台湾侵攻は、(ほぼ)同時に行われるか台湾侵攻が先行すると考えていた。


中国共産党における台湾侵攻・中国統一は国是であり、避けられない。

習が党規を曲げてでも続投できるのは中国統一を果たすためで、出来なければ皇位を追われるだろう。


それと比べるまでもなく、ウクライナ侵攻はプーチンの気分次第だ。やらなくてもプーチン朝は安泰で、やるリスクは比較にならない。


なぜこの戦争を始めたのか。


コメディアン上がりのゼレンスキーが大国ロシアに歯向かうのが気に食わない?

それもあるだろう。


側近が報告する薔薇色の未来図にうっかり乗ってしまった?

これも理由の一つだろう。


アメリカが世界の警察を降り、バイデンがアフガン撤退で大失態をしでかしたから?

まぁ、これが一番大きいとは思う。


しかし、閣僚を詰るプーチンの姿を見返して、なんでこんなものを公開したんだ。との疑念が解消されないのです。

公開が止められないことより、なぜプーチンは公開したのか。


先日、クリミア併合を祝う式典でロシア市民の歓声に包まれ、演説するプーチンの姿を映した映像が公開されました。

どうもこの映像は合成のようですが、わざわざ合成してまでロシア市民の支持をアピールするプーチンが、独裁者として振る舞う姿を公開するチグハグさは何なんでしょう。


民衆派だが政府エリートには厳しく指導するリーダー像?

分からなくもないですが違和感が残ります。


プーチンちょっとおかしんじゃね?

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