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超限戦

超限戦


超限戦という戦略が中国で発表されて、もう20年以上が経ちます。

超限戦とは即ち、手段を選ばず使える全ての手を使って勝て。って事です。


これは、戦争に勝つためには手段を選ばない、というレベルの話ではありません。戦争という前提すら排除し、戦時であるか否かの区分も無くなるという事。

さらには、軍事的手段・非軍事的手段の別、国内・国外の別、正規・非正規の別を問う事なく、一切の制限をかけず遂行せよ、と言っているのです。


超限戦は中国軍部の勝手な机上プランではありません。中国では実現に向けて法整備が行われており、事実上、中国は砲火を交えていないだけで戦時にあると言って過言ではない。

これは常在戦場という意識レベルの話ではなく、現実レベルの話です。


戦時?どの国と?

別に台湾やアメリカに限った話ではありません。中国にとって他国とは東夷・西戎・南蛮・北狄の何れかに過ぎない。

邪魔であれば全て敵国であり、邪魔かどうかは共産党、習近平が決める。 


小粒な毛沢東は終身皇帝への道を着々と推し進んでいます。

新たな共産党指導部の顔触れは、正にナンバー2不在、次回党大会において習近平の座を窺う事ができる人物は全て排除されました。


そしてロシアです。

2月24日まで習近平など比較にならない程安泰だった終身皇帝の座は大きく揺らいでいます。

それでも未だプーチンが大統領でいられるのは、これもナンバー2不在だからでしょう。

強いて言うならパトルシェフが相当しますが、「盟友」「最側近」と言われるパトルシェフに対しても(だからこそ、かも知れません)、プーチンはその座を脅かす地位には就けませんでした。


プーチンは、このままズルズルと何時まで戦争を続けるつもりなのか?どの様な勝ち目が有ると考えているのか?それが問題です。


ロシア軍の現行ドクトリンが超限戦を意識しているのは間違いないでしょう。

実のところ、超限戦の思想は表面的には特異なものではありません。何せ「手段を選ぶな」と言ってるだけなのですから。

ただ、まぁ、大っぴらに口にはし辛い事を佐官名義とは言え公表しちゃうのが中国人の凄いところ、いやマジで、、、それはさて置き、この超限戦の厄介なところはオールウェポンズフリーを謳いながら、それを正当化することまで織り込んでいる点にあります。

むしろ、ゴリ押しより搦手に重点を置いていると言っていい。攻めるべき目標は軍隊ではなく国民。民主主義の最大の弱点である民意にこそあると言外に示唆しています。


幸い(?)な事にロシアのドクトリンは中国のそれ程には徹底されていません。

それでも、2014年のクリミア侵攻が余りにもロシア軍の一方的勝利に終わったのは、直接的な軍事力の優位性に因るものでは無く、不可視の戦域における圧倒的優勢がウクライナ軍を無力化したところに最大の要因が有ります。

これはロシアのドクトリンが完璧に機能した証です。


しかし、今回、その圧倒的な優勢は失われ、完全に逆転しています。

さらには、不可視の戦域だけでなく、正面きっての軍事力においてもロシア軍はウクライナに敗北しつつある。

プーチンとて、この期に及んで通常戦力で勝てるなどとは思っていないでしょう。


電力インフラへの攻撃は、ロシア軍がウクライナを軍事力で撃ち破ることを、少なくとも現状のままでは半ば諦めている証左の様に思います。

だからと言って、プーチン君をサタンと闘う戦士とか言い出すのは、幾ら超限戦やハイブリッド戦であっても見るに耐えないので止めて欲しい。いや、まぁ、ウクライナ正教もクリミア侵攻の時はプーチンを悪魔に取り憑かれたとか言ってたけどさぁ、、、


、、、さて、プーチン君がラスプーチンな超限戦はオカルト時空に置いといて、現実的に効果が見込まれるロシアの手は何でしょうか?

おそらく、ロシアとして最も期待を掛けているであろうイベントがあります。


アメリカ中間選挙です。


ロシアがこの戦争に勝利するほぼ唯一と言っていい事態が、アメリカが手を引く事です。

そして、11/8中間選挙ではアメリカ共和党が上・下院とも勝利し過半数を握ると考えられます。

共和党はウクライナへの支援をダメとまでは言わないでしょうが、国内のインフレなどを理由に制限する可能性は高い。


この中間選挙にロシアがどこまで介入できるかは全く分かりません。しかし、ロシアは少なからぬリソースを費やし、都合の良い結果を引き出そうとコージーベアらを活動させているでしょう。


ロシアにとって理想の展開は、共和党勝利によりバイデン政権が機能不全に陥り、勢いづくトランプと支持者らによりアメリカの分断が加速。

NATO諸国らとの足並みも乱れ、支援は先細りになる。

相対的に息を吹き返したロシア軍を見て中国やインドも対応を変える。

ロシアとしてもウクライナに再侵攻は困難であり、併合した4州とクリミアを支配下に置いた状態で停戦。


それまでは電力インフラ攻撃だろうが追加動員だろうがラスプーチンだろうが何でもやって時間を稼ぐ。


こう考えているのではないかと推察します。


実現可能性?

共和党の勝利はほぼ確実です。

ウクライナ支援に一定の制限がかかるところまでは有るとも考えられます。

しかし、そこまででしょう。

そこから先は情報戦や世論操作の域を超えています。

中間選挙で変わる可能性があるのはアメリカ国内だけです。

ロシアの敗北に変わりは無い。

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