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プーチン何考えてんの?

プーチン何考えてんの?


プーチンの主張はヤクザの因縁も真っ青な言いがかりですが、それならプーチンが戦争で得ようとしているもの、即ちこの戦争の落とし所をどう考えているのか?


NATOの拡大阻止ではない


勿論、東方拡大を防ぎたいとするインセンティブは間違いなく存在します。

で、あれば現状のままで充分。

明らかにロシアの手先ですよって連中が騒いでる限り、加盟の目はありません(でした)。

しかし、今回の戦争で風向きはガラッと変わるでしょう。

NATOもロシアの周辺国家も対応を変えざるを得ません。その変化がロシアに有利となる可能性は極めて低い。

ウクライナの抵抗、国際社会の反発が想定以上であったにしろ、相応のリスクを踏まえての開戦であり、拡大阻止などというニュートラルなレベルであるはずがなく、一段、二段階先の目的があると考えるべきです。


ウクライナ解体

結論から言えばこうなります。


日本のメディアで「傀儡政権樹立が目的」とする分析が紹介される場合、キエフを制圧したロシア軍が大統領の身柄を確保し、ロシアに都合の良い人物にすげ替える。くらいのイメージで表現される事例が結構見受けられます。

ウクライナに対して(悪気は無いのだと思いたいですが)「さっさと降伏すれば良い」と発言する方もそのくらいのイメージなのだと思います。


しかし、シンクタンクなどが想定している傀儡政権樹立とはもう少し苛烈で、ロシア軍と親露派武装勢力がウクライナ全土を掌握し、「ウクライナ市民」により大統領と議員が選出される。というものです。

何が違うんだ。と思われるかもしれませんが、ロシアがウクライナ大統領を立てるのとロシアが選んだ人物を「ウクライナ市民」が選出するのでは、政権の正統性と維持に大きな差異が生じます。


ロシアは「西側のロジック」を充分に理解し、最大限に利用してきました。

一例が「民主的に選出された政権」は国内で多少問題があっても看過される。というものです。

なので、プーチンは政敵を暗殺し、投獄し、追放しようとも、終身「民主的に選出された大統領」たろうとしています。中国共産党が「中国独自の民主」などと滑稽な主張をするのも同じ理由です。


クリミア半島の併合においても、このプロトコルに沿って「クリミア議会で90%の賛成」を得た形を採ったことにより、正式に認められこそしませんが、事実上、力による現状変更が実現しています。


逆に言えば、ロシアが勝手に大統領を立てても国際社会が認めません。

戦争を仕掛けても西側は参戦しないし、結局はうやむやになるんじゃないの?と思われるかもしれませんが、開戦にあたってもプーチンは「自国民の保護」という西側のロジックに沿った理由を持ち出したからこそ、NATOやアメリカの参戦をギリギリのところで防いでいるのです。


プーチンが、自分が紛争地に送り込んだ兵士や工作員の保護なんて、本気で考えてるとでも思いますか?旧ソビエトで権威主義にどっぷり浸かり、事実上の終身皇帝となった後も選挙で選ばれた大統領のフリをしているのは何故でしょうか?


どれだけ強気に見せていても、西側のロジックを無視して生き残ることは出来ない(ロシアが、ではありません。プーチンが、です)と百も承知だからです。


ウクライナは民主主義国家です(民主主義指数は低いですけど)。大統領選出には全土を制圧して「ウクライナ市民」に選挙をさせる必要があります。

選挙までの暫定政権だとしても様々な障害があるでしょう。

そういった手順を無視して傀儡政権樹立を強行した場合、西側が「ウクライナ正統政府」なるものを作って対抗することも目に見えています。


ちなみに1部でちょっと話の出たイラク戦争では、開戦してから暫定政権が立ちあがるまで、1年余りの期間を要しました。かかった費用も莫大な額にのぼります。


プーチンは西側のロジックを無視できない的なことを言っておきながら恐縮ですが、プーチンがこんな大変な真似をするとは思えません。

プーチンはあくまで西側のロジック、言い換えれば民主主義的考え方を利用しているだけで、民主主義を嫌悪しています。


KGBの工作員は民主主義が大嫌い。権力者がコロコロ変わって大変だし、なにより裏で暗躍するより表から堂々と金を使ってロビー活動する方が効果的なので立場が無い。なんてジョークもあるくらいです。


まぁ、ジョークはさておき、民主主義は自身の地位を脅かす西側の悪しき思想であり、民主主義の手先がウクライナで親露派の大統領(ヤヌコーヴィチ)を追放したのはウクライナの過ちだと思っているのは間違いないでしょう。


では、どうするつもりなのか


私が1部で述べたように20万規模の兵員でウクライナ全土を制圧するのは困難です。しかも当初の目論見では短期決戦であったハズ。

この兵員で、親露派武装勢力の拠点である東部、キエフを制圧するための北部から侵攻するのは理解できます。

しかし、南部から侵攻する意図を考えたとき、本来軍事目標とならないチェルノブイリの廃炉を制圧し、ザポリージャ原発で戦闘するのは、プーチンが、一番手っ取り早い手段に出たのだと思いました。


それがウクライナを分割して複数の独立国家を親露派武装勢力により立ち上げ、民主主義国家ウクライナは消滅させる。即ち、ウクライナ解体です。


手順は傀儡政権樹立など比較にならないほど簡易かつ短期間で実行可能です。

北部からはキエフとチェルノブイリを制圧。南部はザポリージャを制圧。東部は親露派武装勢力と共に侵攻。

キエフで大統領ら政府関係者を抑え「ネオナチの首魁は確保した。後は『ウクライナ市民』に任せる」とでも発表して表向きロシア軍は撤兵。


親露派武装勢力は全土制圧ではなく分散して要衝を制圧、複数の拠点でウクライナから独立して独自の政権を立てる。その中には「自称ウクライナ人」による独立国家も作られるでしょう。


ウクライナ政府は空白のままとし、民主主義的な選出行為は武力で封じる。


基本はこれだけです。

ロシア軍としての行動はプーチンの頭の中では10日ほど、冬季オリンピックには意気揚々と参加するつもりだったかもしれません。


後は原発などの重要施設を抑えた独立国家が「内戦」を経て元々のウクライナ領土をじっくりと支配下に置くだけです。

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