logistics is mathematics
logistics is mathematics
まぁ、兵站は算術、くらいの意味です。
プーチンは部分的動員令を発し、予備役の30万人を召集するとしました(一説には100万人を召集可)。
もう、完全に100年前のソ連に逆戻りしているようです。
スターリンはナチスドイツに勝利し、第二次世界大戦の功労国として共産主義でありながら国連常任理事国となり、世界を二分する共産圏を築き上げました。
しかし、これは別にスターリンやソ連が戦争に強かったわけではありません。功労国とは即ち死者の数が2000万人を超える歴史的に見ても未曾有の被害を出したという意味でしかない。
負けたドイツの倍以上の死者を出した独ソ戦では、物資も装備も無く只々ひたすらドイツ軍の弾薬と時間を消耗させるだけのため、前線に兵士を送り込んで督戦隊が後ろから兵を追い立て、砲弾が飛び交う中で戦車に剥き出しの兵士を掴まらせて突撃するなど、戦争と処刑を同時にやってのけたのです。
この現代においても全く同じ事をしようとしている。
独ソ戦においてはスターリンの決めた「反革命分子」を前線送りかシベリア送りとし、ウクライナ戦争ではプーチンにとって「不要」或いは「邪魔」な人間を前線か監獄に送る。
結局、プーチンは民主主義に基づくロシア大統領ではなく、ソビエト最後の世代、スターリンの尻尾という事。
願わくばこの尻尾がプーチンで最後となって欲しいものです。
さて、ソ連軍トップは馬鹿でも出来る。ではなく、正気では出来ない。としましたが、ロシア軍トップは馬鹿のようです。
独ソ戦、ソ連は畑で採れると揶揄されるほど兵卒を前線に注ぎ込みましたが、物資と装備は完全に不足していました。
ソ連もロシアも絶対に認めませんが、兵士の生命で壁を築き、血肉を以ってドイツ軍の弾薬を消耗させてもソ連単独ではナチスドイツに勝つことは出来なかったでしょう。
首都モスクワまで攻め込まれたソ連が、ドイツ軍を撃破してベルリンまで攻め上れたのはアメリカのレンドリースによる物資と装備の供給が有ったからこそです。ベルリンに意気揚々と現れたソ連兵の装備は戦車から靴下に至るまでアメリカ製でした。
ロシア軍の前線は、この戦争の序盤においてさえ既に物資の不足が囁かれていました。
ウクライナ軍の反転攻勢に対抗するため、ヘルソンに兵を集中させても、補給線の繋がらない状況下では足枷となり、前線の瓦解を早める要因にもなりかねないのです。
そこにきて兵士を30万人増強?一説には100万人?阿呆なのかと言いたい。
部分的動員令とか考えたのは誰だよ。
事の良し悪しは別にして、これがウクライナとの戦争に勝つためなら理解はできます。
しかし、この部分的動員令は自らの首を絞める行為に等しい。誰一人幸せにならない愚策。
単に兵士を徴発する部分的動員令と総動員令は次元が全く異なります。
戦時体制となる総動員令は、国家レベルで軍需物資の生産やそれに必要な労働も命令し、統制下に置くことを可能にします。
戦時経済体制の稿でも少し触れましたが、軍需物資の価格を一定以上下げるには、軍需物資だけの統制では不可能です。軍需産業は裾野が広く、資材調達に係るコスト、労働に対する対価は継続性を考慮する必要があるからです。
現時点における部分的動員令では兵站の主要三要素、人員・装備・補給物資の内、人員しか手当て出来ない。
予備役の兵士に現代戦は実行不可能です。ウクライナ軍は半年以上かけて100万人の軍を編成するための訓練を(アメリカなどが)行い、装備を(アメリカなどが)整え、物資を(アメリカなどが)準備しています。
現状のロシアには訓練を行える人員も訓練に使える装備も物資も無い。
訓練もろくに受けていない兵士を装備も物資も持たせずに戦場に送って何ができると思っているのだ?ロシア軍トップは独ソ戦から頭の中身が変わっていないのか?
正直、部分的動員令により30万人を確保できるかは非常に疑問に思うところです。それでも現在の前線戦力を維持するには最低でも10万人の後方部隊が補給線を繋ぐために必要だと思います。
そうなるとその10万人の後方部隊のための装備と物資が必要となります。兵站は兵士の増加により加速度的に負担が増加していくのです。
当面、動員令により徴発された人員は兵站関連の比較的危険度の低い後方に配置されるのかも知れませんが、それでも兵士は食事もするし、日用品も消耗する。何もしなくても10万人の兵士は日に約700tの物資を消費するのです。前線部隊ではこれが約4,500tになり装備も必要とします。
10万人の動員を行なって補給線を繋いでも補給する物資が無いという事態が目に浮かぶのだが。
10万人が捨て駒になるとしか思えないのだが。
ロシア軍トップは高校生レベルの数学で証明できる兵站の崩壊をプーチンに説明する能力も無いのか?




