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戦時経済体制


戦時経済体制


ロシアを戦時経済体制に移行する法案が議会を通過しました。

主な目的は二つ。

プーチンの言う「特別軍事作戦」に必要な物資及びサービスに、国が定めた価格で提供する義務を課すこと。

そして、国が指定する企業における労働者の勤務時間や休日を国が定める権限を持つこと。


表現は穏当ですが、事実上、国家による徴発と強制労働です。

民主主義国家では私権の制限に該当するため、先ずは戦時国債(ウクライナも戦時国債を発行しています)などで凌ぎ、いよいよ切羽詰まってから実行する場合が多いのですが、攻めている側のロシアがアッサリ踏み切ってしまうあたり、なんちゃって民主主義国家の面目躍如(違う)って感じ。


エンクロージャーにまでは至りませんが、前稿でいうドラスティックな変化に片足を突っ込んだ状態になります。

前稿の続きを兼ねて今後どうロシア経済が変化していくか考察していきましょう。


まず、最大の外貨獲得手段である石油等の輸出は日額1千億円程度で、しかも今後の減少は確実です。日額2兆円が過大な見積りであるにせよ、ロシア経済の地力では莫大な戦費は賄えません。

今は過去から蓄積してきた装備・弾薬がありますが、底を突くのは時間の問題です。おまけにロシアは未だインドなどに武器を輸出すらしています。

この期に及んでロシアが装備・弾薬を調達する方法は概ね二つ。一つは、インフレ覚悟でルーブルを刷る。

そして、もう一つ。買い叩く、です。前述の法案通過により実現しました。


現在は「特別軍事作戦」に必要な物資及びサービスに限定していますが、それだけでは経済が成立しません。対象の規模が大きいため範囲を軍需産業に留める事は事実上不可能なのです。

いずれ生活必需品にまで価格統制は及びます。

ロシア経済はソ連時代に逆戻りするのです。

経済はシュリンクしますが、継戦能力は一気に高まります。

経済が縮むのに戦争し易くなるって何かおかしい。と思った貴方は健全です。

シュリンクはオーソライズされた表現ですが、この場合は「スクィーズ」と評した方が適当かもしれません。


またもや経済を湖に例えますが、ロシアという湖には流入する真水も栄養素も激減することが明らかになりました。一方、流出は莫大です。これが前提条件、動かせません。雨は降りますが、相応に蒸発もするので、このままでは干上がります。

ここでの対処法は奇策でもなんでもありません。流入する真水と栄養素でも潤う程度に湖そのものを小さくし、蒸発は抑え、なるべく雨が多くなるようにするのです。

端的に言うなら国家のリストラ。

それも生半可なものではない。極一部のエリート以外は生きていられるだけマシ、最底辺は搾り上げられ、消費は限界まで制限され、生産のため生命を削られる存在になります。


第二次世界大戦後、ソ連は400万人の捕虜を要求しました。独ソ戦のドイツ兵捕虜はもとより、シベリア抑留日本人、ユダヤ人もウクライナ人もロシア人さえもなんとでも理由をつけて強制労働を科せられ凍土に果てました。人権?なにそれおいしいの?


ウクライナ侵攻で連れ去られた民間人がどうなるか言うまでもありません。

そして、ロシア人も多くがスクィーズされます。最終的には戦争で死ぬより凍土で死ぬ方が間違いなく多くなります。

当然ながら民主主義なんてやってられないので、公職選挙は停止(事実上廃止)です。


ロシアの戦時体制とはこういう事。

そういう事態に片足を突っ込んだという事です。

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