夏季攻勢
夏季攻勢
さて、イスラエルは非常にややこしいシリアにまで手を出してます。
両国の係争地、ゴラン高原の帰属を確固たるものにする、その為には暫定政権下で安定していない今を除いて好機はない、、、ってのがイスラエル内のコンセンサスと思われます。
まったく、、、息一つ入れる事もできんのか?死ぬの?ラムジェット換水しないと死んじゃうの?このマグロは。
もの凄くやゔぁい事態なんですが、状況の整理に今少し時間が必要です。
そんな訳で(どんな訳?)本稿はウクライナの戦況についてです。即ち、ロシアによる夏季攻勢について。
ロシアはウクライナ東部への攻勢を強めています。2025夏季攻勢という事ですが、5月頃からコスチャンティニウカで兵力を再編していたので、その延長線上にあると言えます。
現在までのロシア側攻勢を総括するなら「ウクライナ防衛線を喰い破れていない」
ロシアは、例によって人的損耗を無視した攻勢を仕掛けていますが、ウクライナの防衛線に対する打撃力はむしろ時を追うごとに弱まって来つつある、と評価すべき内容です。
ロシア軍は一定程度進んでいるものの、実際には主要な防衛拠点を避けて戦略的に価値の低い村落などへ多大な被害を出しながら駒を進めている状況。ありていに言うとズタボロになりながら大して価値の無い村落を落として勝った勝ったと騒いでいるって事。
おまけに幾つかの戦線ではウクライナ側が反攻を仕掛け、前線が抜かれている箇所すらある。
正直、アメリカがロシア寄りになった時点で、ウクライナの防衛には相当以上の困難がある、との認識だったので現状には良い意味での驚きがありますが、これにはドローン、それも前線付近で哨戒から攻撃まで様々な場面に多種多様なドローンが投入され、しかも高度に機能している事実が大きく貢献している。
ウクライナ戦争では両軍共に大量のドローンを投入しているが、ここに来てウクライナ側のドローンが質・量の両面で明確にロシア側を上回っている。
両軍はドローンの生産競争を繰り広げており、昨年はチンピラ皇帝自ら生産拡大の号令をかけている。
しかし、おそらくチンピラ皇帝の方針と考えられるが、ロシア側は前線ではなく後方の都市部を標的としたドローンの生産に重点を置いており、前線の戦術レベルで使用されるドローン生産数はウクライナ側に劣後している。
そもそも、ロシアのドローン生産には二つの足枷が掛かっている。
一つは半導体。
民生用の転用や密輸・迂回入手で凌いでいるが、ゲラン2(イランから供与されていたシャヘド136の国内生産版)レベルのドローンはロシアが主張している程の数は生産できておらず、簡易なシミュレータードローン(囮ドローン)で数合わせしている実態が確認されている。
前線に投入されるランセットは月産数百機程度。これも当初から大幅に増産されているが、前線の要求水準には満たないだろう。
そして二つ目、マンパワーの問題だ。
ロシアではほぼ全面的に人員不足が表面化している。
軍事ブロックも例外ではなく、兵員不足を北朝鮮などから傭兵して何とかやり繰りしてるのは最早隠す気すらなくなっている。
まぁ、傭兵を公言する様になったのは北朝鮮が強く要求したからだろうが、ロジスティクスセクション・アドミニストレーションセクション・ベースオペレーションズなど所謂後方部隊にも疲弊の状況が顕著となっており、兵装生産現場に影響無し、とは到底考えられない。
そんな中、このところ懸念点として浮上してきたのが中国の動き。
もともと中国はロシアの苦境を奇貨と捉えており、政権が転覆する様な事態にならなければ問題無い、とするスタンスであった。戦争そのものには一歩引いたところで鷹揚に構えていたのだが、風向きが変わって来た感がある。
中国がロシアの戦争にコミットするかの様な発言が共産党上層部から漏れ聞こえてきているのだ。
中国は色々と問題を抱えてロシアどころではないハズなのだが、、、だからこそ、なのかも知れない。
中国の動きには欧州諸国も懸念を示している。引き続き注視して行く必要がある。
マンパワーの問題は、ドローンの運用においても影響が大きい。
ウクライナでは無人システム軍がドローン生産から運用まで関与し、オペレーターを組織的に育成している。ドローンはハードウェアだけでなくソフトウェアにも日々手を入れ、ハイスキルの人材と相まってドローン運用力において世界トップの地位にあると称されている。
対して、ロシアのそれはほぼ戦場という現場任せだ。改善の余地が大きく、改善すべきとゲラシモフやベロウソフあたりは痛感しているだろう。しかし、ロシアは改善し育成しフィードバックする人材を開戦から2年程で使い果たしてしまった。
ロシア軍がワグネルを必要としている理由もここにあるが、流石に軍を支えるには力不足が過ぎる。
夏季攻勢は今も続いている。チンピラ皇帝は最低でも東部2州を支配下に置く事を目指しているが、現状不可能と評価する。
欧州からの支援がアメリカ抜きでも機能する所までようやく漕ぎ着けた、と言えるからだ。
ロシアはもう一波、攻勢を強める動きを見せているが、現状を大きく変更し得る力は既に無い。
ロシアはチンピラ皇帝の意地だけで戦っている。が、それも限界を迎えようとしており、永遠に闘えるという大言壮語は失笑ものでしかない。
ロシアの2025夏季攻勢は失速している。




