思考し、検証し、実証せよ
思考し、検証し、実証せよ
唐突ですが質問です。
これまで幾つかの稿で核についての説明をしてきました。
核利用とは、核分裂や核融合により質量が失われる事で得られるエネルギーを利用する事。
そう理解していただいていると思います。
では、TNT爆薬換算15ktとされる広島型原爆で失われた質量はどれくらいでしょう?
ざっと、で良いですよ。
TNT換算は一般的ではないので、そこは数字を出しましょう。1ktは4兆2千億ジュールとしてください。
後は、あの有名な数式を使えば計算できます。
光速も30万キロメートル/秒でOK。
、、、、、、、、、
では、答え合わせをしましょう。
E=mc^2
15×4兆2千億=質量×30万k×30万k
質量=63兆/9京kg
0.7g
桁が凄まじい事になっていますが、計算自体は小学生でも出来るレベルです。
高校生なら仕事量としてのジュールを学習するので、TNTのエネルギー量さえ与えれば容易に導き出せるハズです。
なのに何故?君達はそれほど意外そうな顔をしているのかね?
広島型原爆で質量欠損が1gに満たない事が意外かな?
しかし、E=mc^2に当てはめれば、1gの質量は90兆ジュールに相当すると高校生レベルの知識で導き出せる。
ちなみに、90兆ジュールは日本の使用電力に換算すると2日から3日は賄えるエネルギー量になります。
付け加えるなら、0.7gの質量欠損を起こすウラン235の反応数量は約766g。広島型原爆に使用された濃縮率90%程度のウラン核燃料が約64kgとされている事から、実際に核分裂を起こしたのは投入量の僅か1.2%程度に過ぎない事が分かります。
君達は、基礎的な教育により世界の根幹にすら関わる知識を充分以上に備えているというのに、現実の世界に置き換え、当てはめ、活用するという思考が、驚くほど働いていない。
100万tの処理水中に20gも存在しないトリチウムが、質と量の両面においてどれだけのリスクを有するか、多大に見積もる事も過小に見積もる事も問題だ、と「正しく恐れるべき」と、私は繰り返し伝えてきた積もりです。
ワクチンにしてもそう。
ワクチンとは、言い換えればウイルスの毒性・悪影響を「抑えて」感染させる行為だ。悪影響、即ち副作用がゼロにはならない。
接種せずに済むなら接種しないに越した事はない。当然の事と言える。
しかし、何の抗体もなくウイルスに感染したなら、ワクチンの副作用を上回る悪影響を及ぼす事も当然にして間違いない事実だ。
コロナでは日本でも万単位の方が亡くなられている。ワクチン接種がなされていなければ死者数は少なくとも4倍になっていたであろうと試算される。
ワクチンに反対するブロックはこう言う「ワクチンを接種して具合が悪くなり、そのまま亡くなった方もいる」とね、事実としてその様な実例は存在するだろう。
しかし、それはワクチンを接種「した事による」死亡と必ずしもイコールではない。
日本では、心臓突然死で年間9万人が亡くなられているとされる。
元気にしていた方が、前触れも無く(実際には予兆はあるハズ)急死される事は、確率として決して低く無いのです。
まぁ、ワクチンは人類をゾンビに変える云々の陰謀論は論外だが、それすら信じてしまうブロックは少なからず存在するし、それで飯を食う連中が絶滅する事は無い、というのは悲しい現実です。
オカルトで飯を食う連中は色んなとこに湧いて来るし、オカルトに染まった方々に言葉を尽くしてもほとんど意味が無い事は社会的・歴史的実例を見るまでもなく明らかです。
とあるオカルト論説に依れば今月頭には西日本は壊滅的大災害に見舞われていたハズですが、特にそんな事実は見当たりません。言わずと知れた世間を騒がせた例のアレ。
勿論、トカラ列島群発地震で被害に遭われている方々には喫緊の事態であり、収束が認められない状況下での避難は当然かつ必要でしょう。
しかし、それとこれとを同列にしてはならないし、関連の無いものを関連付ける行為はオカルトの走りと評さざるを得ない。
トカラ列島で地震が起きると日本のどこかで大地震が起きるトカラの法則と言うのがある様ですが、これなど正にオカルト。
思わず「関係あるかいっ!」と大人気なく突っ込み入れてしまった程あたまのわ、、、オカルト法則で頭痛い。
地震や噴火に連動性が有るのは事実です。
しかし、外の地震層に影響を与えるにはマグニチュード8クラスのエネルギーが必要。トカラ列島から日本のどこかの地震・噴火の引き鉄となるだけのエネルギーが放出されるとしたらM9クラスになるハズです。
トカラ列島で起きている地震は震度に対してマグニチュードが比較的高い方ではありません。最大のものでM5.5。決して小さな規模ではありませんが、マグニチュードは1上がれば√1000倍になります。マグニチュードが2つ上がればエネルギーが千倍になるという事です。M8には桁が3つ程足りません。
日本は世界でも突出した地震大国と言えます。火山も多く、トカラ列島は破局噴火リスクのある鬼界カルデラとの関連性も否定は出来ません。畢竟、地震が起き・噴火するのはある意味日常の事と考えるしか無い国です。
そんな国で、夢に見た地震が実際に起きたとしても「何の関連性も無い」と断じざるを得ない。
以前から言ってきた様に、不安は人の思考を容易に奪います。これは危機に対する防衛反応・本能でもあるため、頭の善し悪しには関係ないし、必要な機能でもある。
加えて、思考というものは想像以上にエネルギーを消耗する。即ち、思考すると疲れるし、思考を放棄すれば楽になる。思考しなければ幸せすら感じるかも知れない。
だからと言って思考する事を止めないで欲しい。
君達は小学校で習う国語・算数・理科・社会などが本来ならどれだけ自身の社会生活に資するか、本当には理解できていないと思う。
社会に出たら微分・積分など使う事は無いといった類いの言い回しを聞く度に、こんな教育を施した阿呆をぶん殴ってやりたい、と怒りが湧く。
微積分は予測するツールだ。朝のなんちゃらとかいうオカルティストのなんちゃら占いより遥かに確実かつ精緻に現実世界を「占う」事を可能にする。私の仕事の70%〜90%は微積分というアルキメデス以来積み上げられた叡智が無ければ機能しない。ぶっちゃけ仕事にならない。
スマホに当然の如く付されている関数電卓にどれほどの価値が有るか、どれだけの方が理解しているだろう?
これは、特殊な仕事だから使っているのでは無い。断じて無い。
少々感情的になってしまった事は恥ずかしい限りだが、参院選は予想どおりの展開を迎えている。不満、そして不安が国政を動かしつつある。
どこに肩入れしているかを投票前に言う積りはないが、ロシアが日本を含む他国の選挙に介入している事は紛れもない事実だ。寧ろしていないと思う思考の方がおかしい。
それでも、今はまだ日本の民主主義は辛うじて機能している、と評価している。
しかし、参院選の結果から民主主義の構造そのものに変化が起こる可能性は決して低くはない。
本稿は、私からの細やかな警鐘とご理解いただきたい。




