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SBU

SBU


SBU、お前だったのか

お漏らしする問題児とかウクライナのアカン組織代表格とかディスってごめんな


ウクライナによるロシア航空宇宙軍の戦略爆撃機などへのドローン攻撃についての話です。

ウクライナ側からの発表では40機もの戦略爆撃機や輸送機、超稀少な早期警戒管制機を攻撃・破壊したとしている。

これは、ロシアが保有する戦略級航空戦力の実に1/3に相当する。当然ながら発表された戦果を鵜呑みにする事はできないが、衛星画像を見る限り、少なくとも10機は完全に破壊され、周辺に見られる焼痕などから小破以上のダメージを受けた大型航空機も10機以上に登る事はほぼ間違いない。

画像から確認できるだけでも驚異的な戦果と言えます。

戦略爆撃機は一機一機が国家戦略に組み込まれ、存在自体がプレゼンスに直結する。

小破級でも修理しなければ作戦行動に支障をきたしかねないし、中破していれば飛行すら困難です。更に、ロシアは各種禁輸措置により碌に修理することも出来ない。

アビオニクスが損傷していればまず修理は無理でしょう。


そもそもの話として、ロシアの航空戦力は禁輸措置などのため稼働率が20%から60%は低下している事が確実視されている。

ロシアの軍事リソースは逼迫しており、アルメニアやシリアなど軍事支援から溢れ落ちた国の離反を招いているのはこれまでも述べてきた通り。

そこに来て今回の戦略級航空戦力への痛打は1兆円ともされる被害額と相まってロシア軍の苦しい台所事情を直撃する。

補充はおそらく長期計画での調達になるだろうし、現実的にはほぼ無理と言える。


ロシアはウクライナに対する戦略だけでなく、中長期的な国家戦略の見直しを余儀なくされる。

ベロウソフとかゲラシモフとか頭抱えてるだろう。


これほどの大戦果を何故成し得たのか。

技術的なものは後述するとして、ウクライナには大きな危機感が三つ有った。

一つには、まぁ、当然の話ではありますが、ロシアとの戦力差の問題です。

特に、海上戦力・航空戦力の差は比較するまでも無いレベル。

厄介なのはやはり航空戦力です。F16などの供与で明確に改善されてはいますが、ウクライナ側の射程外から戦略爆撃機がローンチする巡航ミサイルは、その無差別性から完全な防衛は不可能。そのため、安全圏に存在する航空戦力を叩く攻撃手段が求められていた。


ゼレンスキーは今回の「パヴティナ(蜘蛛の巣の意)」作戦を一年半前から計画してきたとしている。

2023年末頃ですね。

その頃、ウクライナにとって厄介な周辺事態が発生しています。ハマスによるイスラエル大規模攻撃です。

世界の目が中東に向き、ウクライナ戦争が日常に埋没する事は、独力ではロシアに抗し得ないウクライナには死活問題となる。

戦況も芳しくは無い。期待されていた大反攻は事実上失敗に終わり、立ち込める嫌なアトモスフィア。

これが二つ目の危機感。

「このウクライナに必要なのは勝利」そう考えるのは極自然な流れかと思いますし、非対称戦の解法に則り「勝てるところで勝つ」戦域としてドローンを選んだのでしょう。

実際、ウクライナは2024年2月頭に無人機部隊、即ちドローン部隊を新たに創設している。この無人機部隊の機能には不明点も多いのですが、単なるドローン運用に留まらず、ウクライナ軍全体のドローン調達・訓練・研究開発などを総括するものと見られ、後に無人システム軍に昇格しています。

元々、この戦争ではクリミアのサキ航空基地やクリミア大橋への攻撃などに海上・飛行ドローンを使用して一定の戦果を挙げていた。

しかし、ドローンは試験導入に近い面があり、必ずしも戦略的な運用が為されていたとは言い難く、事態を駆動せしめるパワーたり得なかった。

無人機部隊創設はドローンを戦術レベルから戦略レベルへと組み込む動きであり、軍種への転換はウクライナのドローンに対する期待の高さを示すものと言える。


三つ目は中国。

中国が軍事的にロシアを支援している事実を明確に示すものはない。

しかし、民間レベルでは軍事転用可能な物資が中国(無論、中国以外のルートも複数存在している)を経由してロシアに流れ込んでいる事はロシア側ドローンの残骸などから明らかになっている。

また、民需においても中国の物資が大量にロシアに流入し、インフレを抑え込む大きな要因となっている事は間違いない。

中露が対等でないにしろ、少なくとも経済制裁に加わらず民間レベルでは事実上フリーで交易できている現状は、欧米の経済制裁をかなりの規模で緩和している。

これにはウクライナも中国に再三是正を求めており、今年に入ってからも申し入れを続けているが、反応は非常に素っ気ないものとなっている。

トランプのアメリカと違い、中国は簡単に意思を曲げる事はしない。アメリカの離反もクリティカルな危機ではあるが、意思を曲げない中国を何らかの手段でロシアと分断する必要がある。

今回のドローン攻撃、ウクライナから遠く離れた戦略航空基地を標的として世界を驚かせたが、実際に攻撃が成功した四基地の外、失敗に終わった五番目、ウクラインカ基地も目標となっていた。

攻撃に成功した内の一つ、ベラヤ基地は、まぁ、分からなくもない。ウクライナから5,000kmも離れた東シベリアではあるが、ギリで中央軍管区に属しており、所属航空機のウクライナ戦線転用もあるだろう。

しかし、ウクラインカ基地は東部軍管区に属する極東最前線です。ウクライナからは6,000km離れており、日本・アメリカそして中国を睨む、ある意味で国家戦略上ウクライナ戦線より重要な位置を占めており、ウクライナ戦争には直接的には関与しない。

戦略航空基地への攻撃であれば、ウクラインカ以外にも狙い易く狙う価値のある目標が外にも有るし、攻撃に成功した四基地に特化していても悪くは無かったでしょう。

ウクラインカへの攻撃の意図を戦略的な目で見た場合、他国、特に中国からロシアへ流入する物資に対するサボタージュ、即ち妨害工作といった側面が考えられる。

中国は、あくまで民間レベルではあるがロシアとの貿易を急拡大させており、このため中露の国境警備・検問はザル以下となっている。まぁ、元からザルだった上にウクライナ戦争に人手を取られて国境線は機能していないとも言われてはいましたが、今回、中国など第三国経由でドローンが運び込まれ、無視し得ない被害が生じた事から対応を変えざるを得ない。

これまで殆ど目を向ける事のなかった国境への配意、流入する物資へのチェックなどはロシアにとって馬鹿にならない負担となるだろう。


戦略航空戦力へのドローン攻撃は戦術的なものではなく、ウクライナが抱える三つの危機感に対する一石三鳥の戦略的アプローチと考えて良いだろう。

無論、この攻撃により短期的に戦争が好転するものではない。

特に中国の問題は、おそらく単発では大きな効果は望めない。しかし、サボタージュはドローン攻撃の様な目に見えるものは極一部に過ぎない。SBUが「ウクライナの諜報機関」として機能してきたなら今後も打つべき手は幾らでもあるし、既に打たれた手も有ると考えていい。


正直、SBUは諜報機関として致命的なほど信の置けない組織と評価していたのですが、今回のドローン攻撃の様な秘匿性の高い作戦を任され遂行した事で大きく見方を変える必要があると言えます。

今回、五箇所のロシア国内戦略航空基地への攻撃は資材の搬入及び潜入、実行と非常に大胆な活動を秘密裏に遂行している。

直接的にドローン操縦に関わった者だけでも百数十人。中国など第三国を経由しての作戦行動としてはクルスクへの越境攻撃にも劣らぬ秘匿性が求められた事だろう。

特に、今年に入ってからはトランプ政権下のCIAが信用できず、非常に困難な作戦であったのは間違いない。

当初、大規模ドローン攻撃の報に触れ、無人システム軍による作戦と思ったらまさかのSBU。

まぁ、他国経由の潜入作戦なのでSBUの管轄と言えばその通りなのですが、、、

SBUが公開したドローン攻撃の映像・詳細は驚愕に値する、正に現代のトロイの木馬とも言うべき大胆な内容で、思わず

SUGEEEEEEE!!!!!!

って声出ちゃったよ。


これまで散々ディスってごめんな

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