表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
179/197

マスク

マスク


いまや世界一の富豪と呼ばれています。

ビジョナリー。即ち、独創的・先進的アイディアでビジネスや社会そのものを変える人物とも評されます。

テスラ社の株価は、マスクのある種のカリスマ性に基づく経営手腕、即ちマスクが示すビジョンへの期待に寄る部分も大きい。


マスクについては「不可視の戦域宇宙編」などで指摘している部分があるので補足して投稿します。

まず、マスクの示す「ビジョン」や「予定」には注意が必要です。

それは、技術的根拠や実績の裏付けに乏しい、かなり好意的に言ったとしてもマスクの理想や希望レベルのものだし、ぶっちゃけハッタリと言うべきものだし、正直に言えば詐欺だと思っている、からだ。


マスクの支持者はそういった面も込みでマスクを支持している。この辺はトランプの支持者と本質的には同じ。

両者に見られる「サイコパスのカリスマ性」とは「おれたちにできない事を平然とやってのけるッそこにシビれる!あこがれるゥ!」というヤツ(?)なんですが、彼らがソレを平然とやってのけられるのは、言動に伴う様々なリスクに対する「恐怖心」が無いからです。特に、中長期的リスクに対しては不感症というレベルで反応しません。

が、リスクを全く理解していない訳でない。


例えば、某県知事はおよそ実現不可能な公約を幾つも掲げて当選しましたが、彼は賢いので実現不可能な事など最初から分かっている。人によっては現実味の無い公約を掲げる彼を信用ならないと判断する事も想定の範囲内だろう。

それでも平然と出来もしない公約を掲げ、噴飯物の公約着手率約100%などとのたまうのは、その方が刺さる人が多いから。

彼に不信や反感を持つ者がどれだけ居ようと選挙では他候補より1票でも多く得たものが勝利する。至極当然の話ですが、コレを平然とやってのけ、リスクを冷厳に踏み抜けるのが常人との違いでしょう。


マスクとトランプには共通点がある。

端的に言えばダークトライアド、即ち、サイコパス・ナルシシズム・マキャベリズムという三つの「昏い」精神性を備えている部分。

サイコパスには誤解も多いが殺人鬼などとは全く異なる概念だ。平穏に暮らしている人も多い。冷厳に執刀できるので外科医などは向いているとも言える。

ナルシシズムも自己愛性人格障害レベルに至らなければ生きて行くのに必要な精神性でもある。

マキャベリズムは上手く扱われるなら清濁併せ呑む方向にももっていける。何より、相手がマキャベリズムの信奉者やルールを無視する輩ならマキャベリズム的に抗するしかない場合も多いのだ。

しかし、この三つが重なると精神性の「昏い」側面が確固たるものになる。

ナルシシズムは他責思考を加速する。他責思考はマキャベリズムと合わさり、不都合を他者や社会の所為にするに止まらずソレを変えようとするだろう。

そしてサイコパスは、ナルシシズムの肥大化する欲望とマキャベリズムの不道徳面を無制限に肯定する。


私は、性善説でも性悪説でもなく性弱説の考え方を支持しているので、人が罪を犯し、不道徳に陥り、嘘をついてしまうのは人が弱いからだと思っています。

しかし、「彼ら」は弱いから「そう」「なる」んじゃない。

強弱で評するのは適切ではありませんが、あえて言うなら、「彼ら」は異常に強いから「そう」「する」んです。

私見ですが、性弱説で言えば人間の定義から完全に外れます。ぶっちゃけモンスターとしか評しようがない。

ダークトライアドには「絶対に近づくな」これが鉄則です。判断の難しいサイコパスか否かが不明でも、ナルシシズム+マキャベリズムの傾向が強く認められた段階で距離をおくことが賢明でしょう。

しかし、、、ナルシシズムの要素が強いと往々にして欲望を原動力におっそろしくエネルギッシュで影響力も強い。こういうプレデター、即ち捕食者には気がついた時は既におすし、、、なパターンも多い。

プレデターに捕捉されたら、まず、何をおいても逃げるべきだ。脅しでも何でもなく普通に人死にに繋がるレベル。プレデター自身が手を下さなくても、です。


とは言え、残念ながら、マスクとトランプというダークトライアド2大巨頭が世界最強国家を牛耳っている現状をみるまでもなく、世の中とはままならないもの。

ダークトライアドを避けられない時の対処はケースバイケースだが、もう一つ、繰り返しになるが「理解を得ようとしてはならない」。

先日の白いカラスの例とは意味合いが異なるが、例えば、音楽や絵画、宗教やテレビのジャンルでもいい、全く興味がなく、良いとも悪いとも思わない事柄について「理解を得よう」「興味を持ってもらおう」「好きになってもらおう」と延々と話かけられたらどう思うだろうか?

言ってることには欠片ほどにも心が動かないというのに掛け替えのない時間が費やされるのです。

常人でも少なくとも内心は良く思いはしないでしょう。況してや、俺様第一のダークトライアドがどう反応するかは多くの実例がある。


マスクは典型的なダークトライアドだ。

DOGEや企業買収などでマスクが見せる後先考えない資金遮断や首斬りはマスク流マキャベリズムの一端だが、これもトランプの「先ず一発ガツンっと入れる」マフィアンセオリーと同様のやり口です。

マスクが容赦なく資金や首を斬り、トランプが乱暴極まり無い関税率を掲げるのには、主に二つの根源的理由がある。


一つには、彼らが長期的なリスク、アップサイド・ダウンサイド両面について軽視或いは無視している事です。

マスクの火星計画は長期的なビジョンではないかと思われるかも知れませんが、「彼ら」の計画にはそもそもリスクの概念が希薄だ。実験などの基礎研究から得られる知見の集積を軽視し、或いはどこからか「持ってこよう」とする。

それでいて得られる果実・成果の予想は失敗などの要素を無視した凡そ非現実レベルの代物。私に言わせれば、そんなものは計画ではなく画餅。絵に描いた餅です。

失敗を怖れずチャレンジを促す言葉としてサントリー創業者は「やってみなはれ」を口癖にしていたと聞きます。

一見、ダークトライアドも同じチャレンジャー精神を持っているかに思えますが、全く異なる精神性です。

「やってみなはれ」の言葉には「責任は俺が取る」という前提が無ければ機能しないが、ダークトライアドの「計画」には責任なんてものは最初から存在しない。

この辺の精神性を理解するのは非常に困難ですが、敢えて言葉にするなら「他の奴らが出来なくても俺なら出来る。出来なかったら周りの奴らが悪いんだ」といった感じでしょうか。

繰り返しになりますが、彼らはリスクを認識出来ない訳ではない。彼らは勝てない相手には喧嘩を売りませんが、勝てると思い込んだら、とりあえず一発かます。この「勝てる」の判断は極めて感覚的なもので、根拠には乏しく、おそらく気分的な面が強いでしょう。


もう一つには彼らのサイコパシーが強く影響しています。

即ち、他者に共感出来ない。

誤解して欲しくないので繰り返しますが、共感出来なくとも社会の中で普通に生活しているサイコパスも多くいます。しかし、自己愛が強く己れのために周囲を変えようとするダークトライアドは、周りを自身の崇拝者で固めた王国を造ろうとする傾向がある。

この時、他者に共感出来ない彼らは、王国の住人を彼ら個人個人の独特な感性で「選別」します。彼らの「先ず一発ガツンっと入れる」マフィアンセオリーは、トランプの場合ディールの一環と見做される事も多いが、本質的には通過儀礼や洗礼に近い。

一発殴ってマウントを取り、服従か死かの2択を押し付けるのです。ここで言う「死」とは生物学的なそれとイコールではない。王国の「住人」に相応しくないと判断されれば、その王国においては人として扱われなくなるという事。


ダークトライアドの王国は小は家族や知人関係レベルから、大は会社や宗教組織、最大のものが今まさに現実化している国家レベルと規模は様々だが、王国に王は一人しか存在し得ない。

マスクの王国とトランプの王国は重なる部分は有れど別物だ。当然、マスクはトランプ王国の住人ではない。

マスクもトランプも互いを王国の異物と認識しているが、それぞれがそれぞれの王国拡大のため互いを利用しあっている。


トランプにはマスクの選挙協力が必要だ。大統領就任時点でも支持率は低く、不支持率は歴史的に高かった。不支持率の高さは自身が煽ったポリティカルディバイドの当然の帰結ではあるが、現在は支持率低下が進んで不支持と逆転するレベルにある。

トランプが自身を歴代最高の大統領とどれだけ虚勢を張っても、来年の中間選挙で厳しい結果は避けられない。おそらく中間選挙に合わせて減税を打ち出すのは間違いないが、支持率も経済もそれだけでは回復しない。

他責思考の俺様キングは経済の不振を前任のバイデンや言う事をきかないパウエルの所為にするだろうが、当面、マスクの価値は高いままだ。俺様キングがどれだけ不快に思っていたとしても、ね。


対するマスクは俺様キングへの投資に係る収穫期に入っている。

まず第一に規制緩和。

マスクは、テスラ社で2025年中の自動運転レベル5を目指している、が、現行制度では100%不可能だ。技術的なレベルが全く届いていない。

現時点で自動運転に係る技術で先行しているのはグーグル系のなんちゃら(Waymo)社と中国。

なんちゃら社は実証を積み重ねて限定的に実用化・商用化しているが、テスラ社は実証の積み重ねも周回遅れの上にベースとなるハードウェアが必要とされる能力をカバー出来ていないだろう。

ハードもソフトも未成熟な中でロボットタクシーを公道に投入するなど正気とは思えない。それをテスラ社の技術革新を以て達成するのではなく、政治的圧力で成そうとしている。

実に、実にダークトライアドらしい所業で暗澹たる想いが晴れない。車という数百kg以上の物体を技術的裏付けも碌に無く公道を自動運転で走らせようと言うのだ。人の命に関わる、、、のを連邦政府の中で誰が止められるだろうか?

その外にも、テスラ社のフルセルフドライビングで発生した死亡事故を含む事故調査はアメリカの運輸省道路交通安全局が担っているが、、、厳正な調査は期待出来なくなった。マスクがロシアから資金提供を受けていた事についてNASAが調査すると声明を出していたが、それも有耶無耶になるだろう。

ぶっちゃけ、これだけで俺様キングへの投資は元を取るどころか途轍も無いリターンに繋がっている。


当然それだけではない。

テスラ社やスペースX社などには政府調達でも莫大な金が流れ込むだろう。

そして、最も危惧すべきはアメリカ連邦政府の金がマスクのポッケに入る事では無い。

アメリカ連邦政府の金の流れをマスクというプレデターが掴んでしまったことにある。

マスクの(と称しても異論はないだろう)DOGEは連邦政府が執行する金の流れにアクセスする権限を得た。これがどれほど安全保障上のリスクに繋がるか想像出来るだろうか?

軍事活動・諜報活動には資金の動きが伴う。平たく言うとスパイにも給料が払われなければならない、と言う事。

当然ながら、スパイに普通の給与明細などあり得ませんし、最終的な資金使途などは擬装もされているでしょう。

しかし、金というものは入り口が特定出来れば、出口まで辿る事は比較的容易になるし、追跡が困難であれば、それはそれで重要な情報となり得るのです。

もっと言えば、マスクが槍玉に挙げたアメリカの国際開発庁の予算には、間違いなく諜報活動関連の資金が紛れ込んでいますが、その金の流れを洗いざらい調べ上げられ、掴まれてしまった。


マスクとは何者だ?世界一の富豪?なんでそんな者に連邦政府支出に係るおっそろしくセンシティブな情報にアクセスを許すのか。その世界一の富豪にはロシアとの関係も取り沙汰されているというのに!

胡散臭いスノーデンなんぞ比較にならないリスクに繋がりかねない。この熱々のセンシティブ情報の価値は計り知れないが、これほどの宝の山を前にダークトライアドが守秘義務を遵守するなど有り得ない。

、、、、、、考えてみればロシア疑惑も守秘義務違反もトランプが先にやらかしてたな。今更か。


マスクは事実として世界一の富豪と言えます。そしてその評価を仮面としてプレデターの本性を溶け込ませているように見受けられます。また、マスクは人類の救世主を目指しているとの事、正直、外連味の強いマスクでも救世主の仮面はどうなのか、と思いますが刺さる人には刺さるのでしょう。

マスクはこういう様々な仮面・ペルソナで本性を覆っています。アスペルガー症候群と「告白」しているのもその一つでしょう。マスクにして見れば佯狂の積もりなのかも知れません。

この仮面プレデターは俺様キングほどの権力は有りませんが、タッグを組む事で洒落にならない程リスクが大きくなっている。


この仮面プレデターと俺様キングの極悪コンビ、一刻も早く解散となる事を祈ってます。マジで。



余談ですが、マスクはMusk(麝香)でMask(仮面)ではありません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ