表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
178/197

30日間の停戦

30日間の停戦




は や く に ん げ ん に な り た い !


、、、アウストラロピテクスどころか、もはや霊長目人科ですらない。

「ウガンダー!」とか丸っきり通じなくてジェネレーションギャップを感じましたが、10年くらい前に実写でリメイクされてなかったっけ?誰も観てないの?まぁ、私も観てない。

3月はマジ地獄だったよ(3月で終わりとは言ってない)。

疲労困憊であちこち辛いんだけど特に目と腰がやゔぁい。それもこれも全部某国大統領が悪いんや!(他責思考)


——————————以上、泣き言——————————


不可視の戦域における機能喪失が現実となりました。

ゼレンスキーとトランプの会談が決裂して程なくシャットダウン。

トランプは、ロシアに対し関税などの経済制裁を加えるとしていますが、ロシアへのダメージは無きに等しい。

アメリカ人にはロシア(ソ連)嫌いが多く「ウクライナに金を注ぎ込むのには不満もあるが、ロシアが勝つのも業腹だ」と考えるトランプ支持者も少なくない。

ロシアへの経済制裁はそういった層に対するポーズに過ぎない。


対して、ウクライナへの支援停止、中でも不可視の戦域における機能喪失はクリティカルだ。

トランプ政権はゼレンスキーに詫びを入れさせ、マウントを取った上で「情報提供を再開した」としているが、、、哨戒活動などは低下或いは停止したままの可能性が高い。

哨戒活動低下は黒海方面でのウクライナ優位を覆しかねない。これまでも言及してきたように黒海はウクライナにとって生命線であり、ロシアにおいても世界戦略の重要な位置にある。

イギリスなどが哨戒能力をある程度代替する事も可能だが、トルコがダーダネルス・ボスポラス両海峡の軍用艦艇航行を一律に禁止している現状、アメリカが離脱すると負担が大きい。

ウクライナの穀物輸出と関連する停戦交渉への影響は避けられないだろう。


その中で、驚きではないが少々意外に思ったのはマスクがスターリンクを情報遮断の対象とせず、交渉の材料ともしないと「強烈に」明言した点だ。

これは、トランプ政権のスタンスと明らかに異なる。実際、政権スタッフからはウクライナへの脅しとしか取りようのない形でスターリンクの提供停止が大っぴらに言及されていた。

既にウクライナの戦略に組み込まれたスターリンクの存在は、トランプ政権の対ウクライナ交渉材料として極めて重要な切り札となるハズ。この、政権とマスクのズレは何なのか?

、、、まぁ「驚きではない」とした様に、マスクが政権と異なるスタンスを示すのは充分過ぎる理由がある。

その辺は、別稿にするとして本論に戻ろう。


不可視の戦域において、元よりブラックボックスである諜報系統のヒューミントはトランプ政権側で情報の取捨選択が思いのまま。これは、ウクライナがアメリカに疑心暗鬼となる拙い状況だ。

戦争中であっても、否、戦時であるからこそ相手国を信じられるか否かは、極めて極めて極めて重要な課題と言える。ウクライナが頑強にロシアへ対抗するのは、何もプーチンだけが信じられないからではない。ウクライナに限った話ではないが、ソ連を含めたロシアという国家・民族が歴史的に信用出来ないのだ。

今、アメリカは日々驚愕のスピードでロシア・中国を上回る「信用出来ない国」へと変貌している(←私がえらい目に遭ってる最大の原因)。これは、安全保障に留まらず、経済、治安、貧困・格差、教育・文化、宗教、歴史観、その外様々なものが流動的になり、リスクが世界的に増大・顕在化している。


トランプの手法をマッドマンセオリー、即ち狂人理論と評する向きも多い。

それを間違っていると言うつもりはないが、個人的には若干引っかかる表現に感じる。

マッドマンセオリーは「イカれたフリをして相手を混乱させる」という文脈で使われる。

トランプの言動がイカれて見えるのであれば、それはフリなどではない。トランプは、常人とは完全に異質という意味で、イカれたモンスターと認識すべき相手だ。

トランプの手法を表現するに最もしっくりくるのはマフィアンセオリー、即ち「ヤクザの手口」だろう。

トランプが掲げた関税(率)に世界は驚愕し、その税率の根拠に疑問符を付けているが、繰り返し述べてきた様に、トランプの論拠を理解することは事実上不可能だし、理解しようとする事には全く意味がない。トランプに「事実関係をしっかりと説明して理解してもらおう」などとする論調も多いが、トランプの取扱いとして完全に間違っている。

偉きゃ黒でも白になるとの信念を持ってる王様が「カラスは白い」と言っているのに「王様、カラスは白ではなく黒いのです」などとどれだけ言葉を尽くしても、王様はそれを忠臣などではなく、王の権威を害する者、屈服させるべき「敵」としか思わない。

それはゼレンスキー、ウクライナの現状を見るまでもなく明らかだ。


トランプへの対応として、概ね三通りが考えられる。

一つ、平身低頭し、どの様な無理難題にも奴隷・家畜の如く唯々諾々と従うか

二つ、断固として対立し、アメリカとのデカップリングを厭わず独自の経済・安全保障圏を築き上げるか

三つ、トランプに「理解してもらう」ではなく、トランプのイカれた言動に理解を「示し」てトランプが求める選択肢とは異なる「もっと魅力的な提案」で己の利益となる方向へ誘導するか

ほとんどの国は一つ目から三つ目までを状況或いは分野毎に使い分け、ミックスしながら立ち回る事になる。日本政府は、トランプに理解してもらう的な言い回しをしているのが気になるけど、国内向けのポーズだよね?ねぇ、、、

三つ目の対応オンリーで最も成果を挙げているのがロシアとなっている。これは、まぁ、チンピラ皇帝と俺様王が似たような精神構造をしており、どちらもマフィアンセオリーの体現者である事から、むしろ当然の事とも言える。


先月、トランプはウクライナ戦争の30日間の暫定的な停戦を提案した。

この暫定的停戦を恒久的な戦争終結に繋げたいとトランプ政権側は考えているが、戦争終結どころか30日間の停戦すらロシアは飲まない。仮にトランプの面子を立てて停戦に合意したとしても、イスラエルと同様、実際に合意が守られる事はないだろう。

チンピラ皇帝が、この戦争に勝利し、そして何より戦争後においても安泰であると自信を深めているからだ。

理由は言うまでもない。アメリカがロシア側に付いた、そう断じざるを得ない状況がチンピラ皇帝を増長させている。

トランプが掲げた関税からロシアは除外されている。これは、脅しの材料にもならないと断じたロシアへの経済制裁からも後退している。


正確に言おう。


これは後退なんて緩いものではない。驚愕に値する、ロシアへの援助とすら言うべきものだ。


私は、例えトランプが大統領となりウクライナ戦争にロシアが勝利したとしても、ロシアの衰亡は不可避であると考えていた。端的に言うと、トランプは安く買うことはあっても高く買うディールはしないからだ。

しかし、トランプ関税はコストを支払うことなくチンピラ皇帝に莫大な利益を供与することに繋がる。

中国、習近平はトランプに対し前記二つ目の対応を取ることが想定される。習近平とトランプの報復関税という殴り合いがどこまでエスカレートするかは分からないが双方容易には引けない。

米中関係は事実上デカップリングの事態に陥いる可能性は高い。

その場合、過剰生産に苦しむ中国からロシアへ生産財の振り分ける量は拡大し、これによりロシアはインフレ抑制に繋がる。

また、ウクライナ戦争の停戦合意(言うまでもなく実効性は無い)がなされ、アメリカからの経済制裁が解除されれば中国は元より関税に苦しむ国々からの迂回先としてロシアは急浮上するだろう。

関税の迂回を大っぴらにやると問題になるが「ある程度は看過される」。

ロシア全体を豊かにするまでの規模にはならないだろうが、少なくともチンピラ皇帝とその子分達がこの世の春を謳歌できるだけの富は容易に捻出できると考えられる。その手のオペレーションはオリガルヒにはお手の物だ。大きな北朝鮮という言葉の通り、ロシア全体としては衰亡しつつも一部の権力者はウクライナ戦争の前よりブラックマネーで潤うこととなる。

さらには、中国とロシアの交流が盛んとなり中国人が非正規にロシア軍へと参加する事すら起き得る。


中露の力関係が大きく変化するのは間違いない。

このリスクが顕在化すればウクライナ戦争に深刻レベルから致命的レベルの範囲で影響を及ぼす。

トランプ関税では世界的に見ても完全なるロシアの独り勝ちとなるだろう。中国のダメージは元より、EU、自爆したアメリカの方も深刻だ。ここまで酷いと「トランプはアメリカと自由主義圏を破壊するためにロシアから送り込まれた工作員だ」とか言われても「まぁ、そうかもね」としか返せんわ。マジで。

チンピラ皇帝にとって、これ程の好機は二度とは望めないだろう。勝ち筋の見えた勝負から降りるなどあり得ない。

トランプ政権側は停戦合意をロシアに促しているが、ポーズでしかないのは事実が雄弁に物語っている。


30日間の停戦は実現しないか実効性を伴わないものとなる。

チンピラ皇帝は完全に自信を取り戻した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ