ポリティカルディバイド、、、の最後にしたい
ポリティカルディバイド、、、の最後にしたい
失職した斎藤氏が再選されましたね。
正直に言えば斎藤氏が勝つとは思っていませんでしたが、勝った事に驚きもありません。
東京都知事選で、ポリティカルディバイドは既に日本においても危機的状況にある、と言ったように選挙という民主主義の根幹に深刻な不具合が認められているからです。
はぁ、、、、、、こんな話をしているとSNSの勝利だとか言う連中が色々とめんどくせぇし、果てには兵庫県民を馬鹿にしている!と怒り出す方が大勢いる様なので、正直、時間もかかるし嫌で嫌で仕方ないんですが、最後だと思って諦めます。
少しでも不快に思われるなら、怒り出す前に閉じていただく事を推奨します。
ポリティカルディバイドと斎藤氏再選にどう関係があるか。
ポリティカルディバイドがもたらす民主主義の機能不全については、これまでにも実例を示してきたところですが、主に「聞く耳を持たなくなる」「ブレーキが効かなくなる」という形をとる。
トランプの強烈な実例でも証明された様に、ポリティカルディバイドが深刻なレベルに陥いると対立する意見が全く届かなくなる。
フィルターバブルやエコーチャンバーなどと呼ばれますが、そんな小洒落た言い回しをせずとも、往古の賢人から小物の詐欺師に至るまで異口同音に言っている。
人は見たいものしか見ないし、信じたいものしか信じない
これは、私の自戒の言葉でもあります。
この状態では、まともでない奴ほど圧倒的に有利となる。
トランプは再選を果たしましたが、その一期目は偉大なアメリカと言えたのでしょうか?コロナそのものはトランプに責任は無く全くの不運でしかありませんが、トランプは明らかに初期対応を誤った。
コロナを「単なる風邪」と言ってのけ、ワクチンを投資対象程度にしか見なさなかった。
これはかなり後々、というか現在も影響を及ぼしており、ワクチン接種率の伸び悩みもトランプの言動に影響された面が少なからず有ると考えられ、何より、経済に大きく影響を与えた。
コロナ禍により生じた受給ギャップはインフレの直接的要因となり、後手に回ったコロナ対策のため急激に膨張した財政支出による財政赤字は過去最大の3兆ドルを突破し、一時減少していた貿易赤字も増加した。
財政と貿易の所謂双子の赤字は国を揺るがせかねないインフレ圧力となり、債務増大に伴う利払い費の増加と合わせてバイデン政権を苦しめた。
後を引き継いだバイデンが満点の対応を取ったとは言わない。しかし、トランプが続けていたなら移民抑制策や関税強化などインフレ要素満載のトランプ政策では、ほぼ間違いなくバイデンよりインフレは悪化していただろう。
というか、自分の尻拭いをさせておいて「4年前と比べて良くなったか?」とか言うのどうかと思うわ。
しかし、ポリティカルディバイドの状況下では「言ったもん勝ち」で「アメリカを再び偉大な国にする」と言うトランプを、出来っこないなどと論理的に批難してもほとんど意味はない。
出来るか出来ないか、を論点にすると自身の政策も「出来る事」しか主張できなくなるのが有る意味「まともな奴」で、嘘でも何でも言ったもん勝ちの「まともでない奴」に対抗するのは非常に難しい。
バイデン政権下では経済は成長したが、苦しい思いをした層も多かったのは事実なのだから、ハリスは「バイデンの時は副大統領として申し訳なく思うよ。けど大丈夫!私が大統領になったら本領発揮!あんな政策やこんな政策で君らの生活爆上がり!私に全部任しときなさい」くらい言えば訴えるものもあったでしょうに、人が良いというかバイデンに遠慮したのか、ひどく真っ当なことしか言えなかった。
それではトランプが次々と繰り出す「有権者が求めるナラティブ」を崩せなかったという事なのでしょう。
斎藤氏の事例で言えば「パワハラやおねだりは捏造で、改革を進めようとした斎藤氏はハメられた」というナラティブがまるで事実の様に語られ、少しでも反する言論には「兵庫県民を馬鹿にしている!」と激烈な反応が返ってくる。
はっきりと言ってしまえば、馬鹿にしているという言葉自体がポリティカルディバイドの証左の様なもので、これに同調し不思議とも思わない状況が深刻さを物語っています。
「SNSに騙されてんじゃね?」という疑問は馬鹿にするためのものではありません(いや、まぁ、馬鹿にして使う奴がいないとは言えませんが、、、)
馬鹿だから騙されるのではない。例えば「ご家族が事故で重態です直ぐに病院に向かってください」と電話があり慌てて病院に駆け付けたが事故などなく、家を空けた隙に盗難被害に遭っていたとして、騙した方が騙された方より頭が良いとは言えないでしょう。ほんの数分確認の電話をしていれば防げた被害かもしれませんが、騙されたのは馬鹿だと責められるでしょうか。
そして、自分は騙されないと思ってる人は大体騙される。杉良太郎もそう言っている。
正直に言いますが「テレビが斎藤氏を袋叩きにしているのは陰謀によるものだ」などとする言説は私的には噴飯物としか言いようがない。
マスメディアが斎藤氏の疑惑を執拗に報道するのは視聴率が取れ、売れるからです。勿論、マスメディアによる世論操作は実在し、陰謀論という程のものでもない。しかし、斎藤氏の事例は時系列を精査する限りその可能性は低い。疑惑の追及の仕方がマスゴミと評されるのは仕方のない話かとは思いますが、自分達で注目しておきながら「メディアが一斉に斎藤氏を袋叩きにしているのは何かおかしい、闇の陰謀うんぬんかんぬんなんたらかんたら」とか言い出すのは、自身の影を怪物と思い込むようなものです。
それが誰かに誘導されたものであってもね。
「兵庫県民を馬鹿にするな!」と激昂される方は、今回の選挙で稲村氏に投票した97万人をマスゴミに騙された馬鹿だと思っているのでしょうか?それとも闇の勢力のまわし者?いずれにせよ大層失礼な話で、それらの方々を兵庫県民ではないとでも言うのでしょうか?
もっと言うなら、斎藤氏が勝利したのは自民党などが候補者を絞りきれず票が割れたのも非常に大きい。謂わば敵失です。斎藤氏は前回選挙より得票数は伸ばしたものの、得票率では微減となっており、過半数を握ってはいない。
マスメディアは圧勝と報じましたが、自民党が支持した稲村氏との差は14万票弱、自民党と維新が支持した清水氏の得票数26万票弱が流れていれば、逆転していた可能性は充分にある。
というか、自民党の中からも斎藤氏支持に回るのも出ていて3分裂状態。こんな御立派な闇の勢力に「圧勝」できて「兵庫県民」はさぞかし鼻が高い事でしょう。
ゆるい皮肉はさておき、この一連の騒動で一番馬鹿を見たのは維新だと私は思います。
斎藤氏の疑惑が噴出し、不信任決議を県議会にかけるとなった当初、維新は「事実関係をもうちょっとハッキリさせてからでええんちゃう?」と、まぁ、斎藤氏を推薦した立場もあったとはいえ言ってることは有る意味真っ当でしたが、こちらも袋叩きの目に遭って賛成に回らざるをえず、全会一致で不信任決議となったのは存じの通りかと思います。
しかし、知事選の蓋を開けて見れば、維新として推薦した清水氏は自民党の全面的な支持を得られないどころか一部の手のひらを返した自民議員が斎藤氏を支持する始末で、再選した斎藤氏との隙間風は避けられないでしょう。
まさに踏んだり蹴ったり。
今回、少しくらいはっちゃけても良い、とお墨付きを貰っている(責任逃れ)ので言いたい事を言わせてもらいますが、マスゴミに騙されなかった賢明な兵庫県民の皆様は、なぜ維新が不信任決議に抵抗している時に声を挙げなかったんですか?
維新の抵抗を激烈に批難したのは、マスメディアではなくSNSと兵庫県民であったと私は記憶しています。
報道内容として多少批難じみたニュアンスはありましたが、コメンテーターなどからも口汚い言葉などは出ていません。
対して、SNS上に飛び交う言説は、自殺者がお二方出ているというのもあって「人◯しを庇うのか」くらいは大人しい方で、批難というより罵詈雑言としか言いようのないものも多く見られ、維新に理解を示したり、斎藤氏はハメられたなんてのは極々ごくごくごくごく一部にすぎなかった、、、と思っているのは私だけなのですか???
賢明な111万兵庫県民の皆様はあの時なにしてたん?マジで。
SNSの勝利だなどと盛り上がる狂熱があの時にあれば、維新は不信任決議に反対したでしょうし、外の会派から離反者も出て不信任が否決された可能性は充分以上にあります。選挙にかかった費用22億円の幾分かは無駄にならずに済んだでしょう。
なぜそうならなかったかは、私の記憶が確かなら考えるまでもありません。
SNSも兵庫県民もマスメディアと一緒になって斎藤氏を袋叩きにしていたからです。おお!賢い兵庫県民よ!居眠りこいてたんですか?
涙目の斎藤氏を「泣きたいのは兵庫県民」とか言ってたのはSNSではなかったのだろうか。
まぁ、こんな話を延々続けても意味はないので、私の斎藤氏に対する評価を事実に基づき示していきます。
以前の評価「権力を握らせてはならないタイプ」については霞ヶ関の稿で示した通り。
賢明な兵庫県民は「斎藤氏の実績・改革に対する県民のために働きたいという姿勢で選んだ」そうなんですが、改革というのは経費削減とか知事の給与とか退職金をカットとかの話なんでしょうね。
ただし、これは別に斎藤氏の専売特許でもなんでもなく斎藤氏を推薦した維新の「身を切る改革」の二番煎じに過ぎない。
まぁ、それはいいとして私個人は身を切るなどと言って給与をカットするとかはどうなんだろう、という思いの方が強い。資料等を見ると斎藤氏は給与を30%カットとなっている。
金額にすると削減額800万円?くらい?精々その程度でしょう。
決して小さな金額ではないし、血税を1円たりとも疎かにしないというのであれば尊い話です。
しかし、考えてもみて欲しい。県知事は地方公務員ですが、県民の健康から教育、産業振興から防災、その他諸々に責任を負い、場合によっては知事個人に損害賠償が課せられる事すらある。数千億円から兆円単位の予算を差配しなければならない極めて重大な職務に就いており、しかも任期は4年で選挙には数千万円はかかる。
知事に限らず公務員もそうなんですが、職責に比べて給与が安過ぎる、そんなんだから天下りが前提であったり、おねだりが罷り通る、何とも不健全で歪な社会になっていると思うのは私だけでしょうか?
改革については、姿勢なんてものは一顧だに値しない。
チンピラ皇帝ですら「ロシアのため国民のため」と臆面もなく言ってのけると言うのに、選挙で「県民のために働きたい」などという言葉に価値を見出す方がおかしい。
常々言っている事ですが「言ってる事ではなく、やってる事で判断・評価」するべきです。
幸い(?)なことに斎藤氏は任期の3/4を経過しているので実績ベースで評価ができます。おまけに斎藤氏は公約達成率について言及しており、ファクトチェックまで入っている。
簡単じゃんwww
そんなふうに考えていた時期が私にもありました
まず、斎藤氏の発言の部分をファクトチェックの原文のままに抜き出すと
「選挙時に掲げさせていただいた公約が、全体で173項目ございます。そのうち、一定達成、着手した状況は171項目、98.8%という形になります」
この時点で??????????
一定達成の一定とは「ある程度」という事で「達成したとは言ってない」と幾らでも言い逃れのできる表現です。
さらには、着手したものまで含めていると言っており、やってなくても「手は付けた」と言い張ろうと思えば言い張れる。
それで約99%?斎藤氏のこの発言一つ取っても信に値しない人物であると私なら判断しますし、私が兵庫県民であったなら「ふざけんな!」と怒るところです。
賢明な兵庫県民の皆様は、あなた方の子供が夏休みの3/4を過ぎて「課題の約99%は一定達成・着手済みだよ」などと言っていたらどうすんの?
私なら危機感を覚えますし、めんどくせぇけど斎藤氏の公約についても精査することとしました。
そこでファクトチェックのとこにも記述がありますが、公約が173項目という数すら根拠が不明。
斎藤氏の公式サイトからは公約集が削除されているので、ファクトチェックの方で復元した公約集で見ると137項目となっている。
う〜〜〜〜〜ん、、、選挙公報の方も再掲してるとか項目の上の中項目、大項目もカウントしてるとか???
色々数字を探ってみましたが全く分からん。
斎藤氏の公式サイトに掲載されている2021年6月10日時点の政策は公約集の要約版で内容は大きく変わるところは無いし、街頭演説などで言ってるやつとかだとどうしようもない。とりあえず公報と公約集を精査するだけでええか、、、というかね、これ殆ど無駄骨じゃね?
賢明な兵庫県民の皆様、あなた方は3年前に斎藤氏が掲げた公約を見たのでしょうか。選挙公報では、まず何よりもコロナ対策に全力を注ぐとある。まぁ、それは良い。当たり前だ、とすら言える。
その次「コロナ被害ゼロを目指し、最先端の健康医療政策等あらゆる手段をためらわずに実行していきます」
この辺から胡散臭くなってくる。被害ゼロとか不可能であることなど確定的に明らかだというのにコレか?
「最初から被害が出ることを前提にしてどうする」という意見も勿論あるでしょう。しかし、それは斎藤氏に限った話ではない。
被害を出さずに済むならそれに越した事はない、そう為政者なら誰しも思う。斎藤氏がやる前から最先端の健康医療政策など当たり前に日本中でやっているし兵庫県でも同じだ。
それでも被害はゼロになどできない。
本気で、全力で、コロナ被害をゼロにしようとするなら、習近平の様に経済度外視でやるだけの覚悟を持って臨まなければ、口先だけの全力などポーズでしかない。では斎藤氏は何をやると言っていたのか。
選挙公報ではコロナ被害ゼロに向けた「ひょうご4つのゼロ」作戦とある。これは公約集に具体策があり
1.ワクチン接種待機ゼロ
2.コロナ倒産・失業・生活困窮者ゼロ
3.学生の孤立ゼロ
4.高齢者の孤立ゼロ
となっている。正直、驚いた。
2.3.4.は健康医療政策ではなく経済・福祉の分野だ。コロナ関連ではあるものの、コロナそのものへの対応となるゼロ作戦は1.のワクチン接種待機ゼロしかない。
接種待機ゼロて、、、通常、待機は時間経過でゼロに収束していくべきもの、、、それを「目指す」のレベル?
その具体策の一つとして「全ての医療機関で接種可能にする」となっているが、事実上不可能だし廃棄せざるを得ないワクチンが多くなるなど余りにも効率が悪過ぎるし本気で言っているなら現実を見る目が無いとしか評しようがない。
しかも具体策の別項目としてエッセンシャルワーカーへの「優先接種」とある。この時点で一般人は待機が前提じゃないか。
斎藤氏の言う「最先端の」健康医療政策とは一体、、、うごごご
ゼロ作戦以外のコロナそのものへの対応については、選挙公報で重症病床を倍増、とある。これも一見して「ホンマかいな」と目を疑うような公約だ。
前回兵庫県知事選が実施された2021年7月と言えば、既に日本はコロナ第4波を経験し、各自治体は懸命の努力により医療体制を整えている。その中で重症病床を倍増させるなど、それまでの担当者が居眠りでもこいて病床を確保していなかったとでも言うのだろうか?
一方で、公約集に目を向けると「感染症病床を増床します」にトーンが変わっている。まぁ、このくらいなら1床でも増やせば達成となる訳で、しかし、ゼロ被害を目指す「最先端の健康医療政策」にしては随分と緩い政策目標に見える。
重症病床倍増と病床増床の何れにせよ、斎藤氏に言わせれば、少なくとも着手はしているのだから一定達成・着手済みとして98.8%に算入している、と大きな顔をしていられる訳だ。いっそ100%としない辺りにあざとさを感じる。
こんなんで納得させられる、と思ってる方がよっぽど兵庫県民を馬鹿にしていると思うけどね。
この検証作業には、既にして私個人には意味がない。私が想定していた斎藤氏の人物像「アレ」を覆す要素は見当たらず、むしろ「相当なアレ」である要素が補強されるばかり、長ったらしくなるので、検証の具体例は後述することとして、先に選挙公報・公約集の項目を一読して得た斎藤氏の評価を列挙しましょう。
・自分を誇大に見せる技術には長けている。
・掲げる政策の多くは既存のものばかり。
・改革と言える内容も維新の二番煎じ。
・ボトムアップ型を標榜しているがトップダウン型。
・課題解決能力には疑問符が付く。
・総じて言葉に信を置くべきでない人物。
で、検証にもどりますが、コロナに関しては公約集に
「コロナ収束後に、今回の兵庫県の新型コロナ対応について検証します。行政による自己評価ではなく、専門家を入れた第三者機関により客観的な検証を行い、新たな健康危機管理体制の構築につなげます」
としている。
一見すると事後の検証など当然の話で、およそやってない自治体の方が少ない、ほぼ無いと言って良いんじゃないかと思います。
しかし、この公約のキモは、公約集原文では強調表示されている「専門家を入れた第三者機関により客観的な検証」の部分で、或いは斎藤氏のコロナ対策に対する自信の現れ、とも思われるかも知れません。
残念ながら、この部分はその真逆、斎藤氏が公約など最初から守る気がない証左とも言える。
人が偉くなりたいのは、他者に号令するのは良いが自分は他人からあれこれ言われたくない、という面は大きいと思います。権力志向の強いアレなら尚更のこと。
それが、県政の頂点に立つ知事となった後で、コントロールの効きにくい第三者機関からの検証、即ち評価や批判を進んで、或いは甘んじて受けるハズがない。
斎藤氏が進んで第三者機関からの検証を受け入れる様な殊勝な人物であれば、公約を「自己評価」するなどという発想すらないだろう。
案の定、というか予想通り過ぎて溜め息しか出ないが、兵庫県のHPに掲載されていた検証プロジェクトチームの構成員は、リーダーの兵庫県危機管理部防災監以下県政スタッフばかりで、第三者機関の要素などない。
実際、中身は「行政による自己評価」としか評しようがなく、県民や専門家の意見を徴取してはいるものの、検証結果への反映はビックリするほどまろやかな表現に改められている。
しかし、まぁ、検証プロジェクトチームによる検証報告書は、少なくともファクトの部分に関しては虚構とする根拠もないので、公約検証のための一次資料として採用させてもらいましょうかね。
というかね、報告書の中身も予想通り過ぎて、賢明な兵庫県民の皆様が斎藤氏のコロナ対策の一体どこを評価して支持したのか理解に苦しむ。
勿論、支持する理由はコロナ対策だけではないだろう。しかし、コロナ対策は斎藤氏が全力を注ぐとした公約です。「兵庫県民よ、これが斎藤氏の全力だ」と見せられたら、私が兵庫県民なら失望しか感じません。
その斎藤氏の全力、まずは、重症病床数から見て行きましょう。就任前の136床が就任時の2021年8月には142床となり以後増えていない。就任直後に6床増えているのが斎藤氏の手腕によるものとも思えないので、事実上、斎藤氏が増床した重症病床数はゼロ。倍増の公約でゼロ回答とか斎藤氏の全力が凄すぎて、一定達成だとかそんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。
次に「すべての医療機関での接種を可能」とするのは最初から不可能だ。検証報告書には、そんな取り組みがあったという事すら記載がなく、
そんな公約は無かった。いいね?あっはい。
ほぼほぼこんな感じ、ワクチン接種に関しては県民アンケートの項目にすら上がっていない。エッセンシャルワーカーへの優先接種についても医療従事者への優先接種は最初期から実施されている事で、もっと言えば県ではなく国としての方針だ。
優先される者がいる以上、後回しにされる者がいるのも当然のこと。事実、検証報告書の新型コロナウイルスワクチンの接種体制の記載では、斎藤氏県政下の2021年12月20日から2023年5月7日の取組・対策に対する課題として「接種時期が集中し接種予約が困難」とされている。
結論として、ワクチン接種待機ゼロは時間経過により解消されたに過ぎない。
検証報告書の専門家からの意見を見ると「県は、大きな間違いがなく手堅い対応を行った」とある。
これは、まぁまぁ及第点くらいの意味でしかなく、しかも、その成果はほぼ斎藤氏就任前に整えられたレガシーによるもので「コロナ被害ゼロを目指し、最先端の健康医療政策等あらゆる手段をためらわずに実行していきます」とは何だったのか、少なくとも、検証報告書の内容を見る限り誇れる様なものは見当たらない。
専門家意見の中で「先進的な取組の事例」として挙げられていたのは、唯一「医療強化型の宿泊療養施設を設置・運営した」事例が他府県ではあまりない取組と評価されているが、それすらも井戸前兵庫県知事時代の医療提供体制確保計画により設置・運営されたもの。
また、専門家からは
「自宅療養者が医療にかかれないまま亡くなった事例、高齢者施設におけるクラスター発生、陰性後の転院先不足」などの実態に触れられておらず、現状把握が不十分で危機感が伝わってこない。
とする検証報告書そして間接的な兵庫県医療体制への否定的意見もある。
自宅待機中の死亡は、コロナ第3波まで井戸前知事が堅持していた自宅待機ゼロ政策(これはコロナ最初期を除き実現していた)をワクチン接種が進んだ事で第4波からは解除したところに起因しており、解除そのものは斎藤氏に責任は無いが、自宅待機ゼロを再度「目指す」くらいの事を何故しなかったのか?ワクチン接種待機ゼロを「目指す」よりよっぽど有効であったハズだ。
コロナそのものへの対策以外のゼロ作戦もほぼ既存の政策に過ぎない。というか、全部やるの阿呆らしいから先に言うけど、公約に斎藤オリジナルと言えるものは認められていない。
まぁ、そういう意味で他人の成果を横ど、、、受け継いだレガシーでないものは無いか、と公約集を見ると
「家計が急変した学生に対し、返済不要の県独自の奨学金(県内就職が要件)を創設します」とある。
???
家計急変世帯に対する支援は平時にも普通に存在する制度だし、コロナの初期からも行われているので「これも横ど、、、レガシーか」と思っていた公約ですが、独自・創設と言うからには何かあるのかも知れん、知らんけど。と色々探してみましたが、う〜ん、これ?かなぁ?と思われるのが「兵庫型奨学金返済支援制度」
これね、書いてある通り奨学金制度ではなく奨学金返済支援制度です。
新たに奨学金を貰える訳じゃなくて、奨学生が奨学金を返済するときに支援する制度、、、でもないのか。
制度の内容を見ると、、、ん?これ、何年か前の閣議決定で決まった地方就労支援の補助事業制度じゃね?
閣議決定された制度の名前は覚えてないのですが、IターンやJターン促進のための補助制度で、地方に就労する奨学生を「採用する企業」に対する「補助金」です。
地方就労支援としつつ介護職などでは東京都であっても活用できるう〜〜〜ん、、、な制度(?)であったため記憶に残っています。
この制度は、奨学金と呼ぶべきものではありません。また、兵庫型としていますが、兵庫県独自のものでもありません。東京都や近畿でも少なくとも京都府あたりは採用していたと記憶しています。
この制度を奨学生が奨学金返済に使いたい、と言っても企業側が要件を満たし一部を負担しなければ使えません。奨学金返済の1/3を企業側が負担し、残る2/3を地方自治体が負担する制度であって、完全に補助金でしかなく、実態は不人気企業の採用支援補助事業、、、というのが制度に対する失礼極まり無い評価です。
いや、まぁ、人気企業でも要件を満たして申請すれば活用できるので、そこんとこはご留意ください。
そんな検証作業を二日もかけてやってたんだけど、公約の中身は大体こんな感じ。
驚くほどサプライズ無し。予想通り過ぎて作業序盤からやる気を無くしてたけど最後まで変わる事は無かった。
公約集には記載が無かったが、斎藤氏が取り組んでいるとする高校や大学の無償化も国の制度の沿ったものか維新の二番煎じ、というか劣化版と言うべきだろう。兵庫県のHPには「大阪府と同じように無償化できないのか」とする意見が寄せられていたが、兵庫県は兵庫県で頑張ってるみたいな回答。
実際に兵庫県で暮らし、子供を持ってる親なら斎藤氏の言葉に違和感を感じないのだろうか?ぶっちゃけ、私は斎藤氏が言う「やめないでほしい、という高校生からの手紙で出馬を決意」とか全く信じてないんだけど、、、
繰り返しになるけど、騙されていると言われて激昂するのは既に正常な判断ではない。
考えても見てほしい。大前提として、あなた方は言葉巧みに「(マスメディアに)騙されている」と囁かれたのではないのだろうか?何故その時は素直に受け入れたのだろうか?思考を停止しないでほしい。考えない思考は物凄く楽で、ある種の快感すらあるだろう。
しかし、それは政治的ソシオパス化の始まりと言える。ぶっちゃけ、斎藤氏が勝とうが負けようが私には心底どうでもいい事です。散々アレだの何だの言っておいて恐縮ですが、私は民主主義というものに多少なりともリスペクトがあるので、兵庫県民が斎藤氏を選ぶことに良いも悪いも無いと考えているし、私の斎藤氏への評価が正しく兵庫県民の評価が間違っているなどと幻想は抱いていない。
そもそも、パワハラ上司もアレな政治家も珍しい存在ではない。
しかし、ソシオパス化した有権者は民主主義そのものを機能不全に陥らせかねない。
そして、それは兵庫県に留まらないだろう。というか兵庫県はむしろ飛び火してきた拡大先と言った方が正確だと思う。
今回の兵庫県知事選では「ブレーキが効かなくなる」方々を何度も見かけることとなったし、最初からブレーキの効きが悪い人が煽りまくるものだから歯止めなど効くハズもない。
選挙は基本的に一発勝負だ。
ネガティヴキャンペーンに足を掬われたり、選挙妨害行為に遭ったとしても、一度確定した選挙結果が覆る可能性は極めて低い。
「無名より悪名で食ってく」典型の某候補者が、事実上斎藤氏と2馬力で選挙戦を繰り広げたのは、仮に違法行為でなかったとしても公職選挙法の潜脱行為と断じざるを得ない。
斎藤氏は2度選挙に挑み、さらには自治省を統合し公選法を所管する総務省の官僚であったし、地方自治体での勤務も経験しているのだから、某候補者の行為が潜脱行為と理解していただろう。理解していたからこそ、某候補者とは連携していないとしらを切っている、少なくともそう取られても仕方ない。
これが某候補者が勝手にやった事だとするなら制止すべきだ。そうでなければ、禍根を残す。
潜脱行為が後で違法と規定されても今回の選挙結果は変わらない。
この「やったもん勝ち」が罷り通るようになると民主主義は機能不全状態に近づいて行く。
人を動かすには論理・感情・信頼が必要とする思想がある。アリストテレスもそう言っている。
しかし、昨今の現象として論理や信頼より感情による行動の支配が極めて強い傾向にあるように思えてならない。
事故と偽って病院に誘き出す例の様に、冷静に考えればおかしな状況や見知らぬ人物からの電話に騙されるのは、家族を想う情動を揺さぶられるからです。オレオレ詐欺や闇バイトも根っこは同じ。
それが政治においても世界規模で似た様な状況になりつつある。
理由として社会不安の増大や既存の権威に対する不信感が挙げられる。社会の信頼という土台が根底から揺れ動いて不安定になっている。
代わりに顔を出すのがオカルトじみた連中。それで飯を食う連中が多いのも社会不安を助長する大きな要因となっている。
ポリティカルディバイドが再生産される悪循環に陥っている。そう感じています。
とりあえず、ポリティカルディバイドに関しては本稿までとします。しますったらします。
諸般の事情によりカットした部分も多いので、長ったらしい割に伝わっていないところも有るかと思いますが、何時ものことなのでご容赦いただきたい(開き直り)。
次稿から再びウクライナの状況に戻ります。




