「不正でもなければハリスが勝てる訳がない」
「不正でもなければハリスが勝てる訳がない」
はぁ、、、アメリカ大統領選については前稿までに留める積もりだったんですが、、、
標記の様な「意見」もあるし、著名人が100%トランプだとか言ってるらしいし、私も前稿でハリスを強い候補でないと言ってるのを揚げ足取られた形になったんで、めんどくせぇし馬鹿馬鹿しいし意味もないと思うが補足します。
まず、ハリスが「強い」候補でないというのは、評価としては変わりません。
バックボーン、行動、何より実績として強みを感じさせる要素は少ない。
しかし、それが「今回の」選挙で勝てない決定打とはならない。
今回の大統領選の対立軸は多岐にわたるが、見逃せない要素として「包摂」(厳密には対立軸ではないしオーソライズされた表現でもないが)を民主党・ハリスは強く意識していると考えられる。
トランプによるポリティカルディバイドを由、或いは必要悪とする層がいる一方で、分断を憂慮する層も同じように存在している。
この二つの層へのトランプとハリスのスタンスは指名された副大統領候補に現れている。
トランプは自身の縮小コピー版ヴァンスを選んだ。これはトランプの俺様路線では訴求できない層、即ち、分断を憂慮する層へのアプローチをほぼ切り捨てた選択といえる。
対して、ハリスが指名したのはミネソタ州知事のウォルツ氏。
この選択は選挙人10名を擁するミネソタ州を獲得するという以上に、どちらかと言うと黒人の女性エリート的な立ち位置で、白人男性から一定の反発は免れ得ないハリスを補完し、白人男性は元より一部の共和党支持者に対してもアプローチしうる田舎の気の良いオッサン(大層失礼)的な人物を選んだもので、トランプとは真逆の包摂策といえる。
当初、ハリスが指名する副大統領候補は激戦州で選挙人19名を擁するペンシルベニア州知事のシャピロ氏となる、と私は予想していました。ペンシルベニアでの人気が高く、知名度も全国区で、政策は民主党のそれに合致しており、ハリスとして文句なしの副大統領候補と言えます。
それを敢えてウォルツを指名したのは、今回の選挙に勝つには、オラついているトランプとは異なるアプローチが必要であり、民主主義の要諦とも言える包摂こそが鍵を握ると判断したのだと思います。
ハリスが今回の選挙で口にしている「違う意見も大事にすると約束するよ」というのは、その現れです。
、、、まぁ、その包摂策をバイデンが「トランプ信者はゴミ」とか言っちゃってアレしちゃったんですけどね、、、
ともあれ、ハリスが必ずしも強い候補でないことが、今回の大統領選でプラスに働いている面は大きい。政治家は当然ながら聖人君子ではないので、大抵の場合、人気のある政治家ほど極端に嫌悪する層も多い。
しかし、ハリスの場合、実績がないからこそトランプが付け込む粗が少なくなる。これが仮に、ある意味で強い政治家と言えるヒラリー・クリントンであれば、トランプとの選挙選はオラつき合戦(?)となり、ロシアなどのフェイクニュースの格好の標的となって泥試合の末に沈んで行った可能性が高い。
対トランプに限っては、強い候補である必要はない。
簡単かつ端折ってはいますが、これが前稿のフォローです。
では、トランプについても簡単に評価をしておきます。
実のところトランプを強い・弱い「政治家」と評価するのは適切ではない。
トランプの選挙活動は政治家というよりアジテーターのそれです。政治家に煽動者的側面があることを否定はしないが、本来似て非なるもの。
それでも敢えて評価するなら、少なくともトランプ自身や支持者が思っているほどの圧倒的強者には程遠い、でしょう。
事実だけを挙げていきます。
2016年、トランプはヒラリーとの大統領選に勝利しましたが、総得票数ではヒラリーを下回っていました。つまり、支持した有権者の数で言えばトランプは負けていた訳です。
事実として2016年の大統領選には、今は亡きプリゴジンが「俺はやってたぜ!」と自慢するほどの選挙介入が行われており、散々にヒラリーを扱き下ろす活動があっての上記結果です。
付け加えるなら、ヒラリーはその時「選挙が盗まれた」などと喚いたりはしませんでした。オバマからの政権移行も平穏無事に終わり、トランプは満面の笑みで、就任を祝うアメリカ国民の数が最大規模だと言いましたが、集まったのは公表より明らかに少ない数でした。
就任後の実績については、主観が混じらざるを得ないのでここでは置いておきましょう。
2020年の選挙ではご存知のとおりバイデンに負けました。
現職の大統領が負けるのは相当なことです。
トランプは「選挙が盗まれた」と喚き、負けを認めず数十件の訴訟を起こしましたが結果を覆えすような不正などは認められませんでした。
そもそも、当時はトランプ・共和党政権下にあり司法もトランプ寄り、投票所の立ち合い人は歴史的に共和党支持者が多い中で行われた選挙です。それでも証拠は出てこなかった。
大統領選とは別に中間選挙でトランプが推薦した候補が次々と惨敗したのも事実です。
事実だけを見れば、正直、不正でもなければハリスが勝てる訳がない、とか、はぁ?というレベルです。
トランプ勝利を疑わない層は「隠れトランプ支持者」の存在を根拠としています。
私も、それを否定する気はさらさら無い。トランプ圧勝も無いとは言いません。
しかし、隠れているのはトランプ支持者に限らない。保守的な地域などで周りがトランプに熱狂している中で声を上げられない層は、特に女性などに多いと考えられています。
いずれにせよ、本稿を上げる頃にはある程度の傾向が示されているでしょう。
そしておそらくはトランプ優位、のハズです。
しかし、これは期日前投票の投票者が共和党に多いという統計上明確な差異によるものです。
正直なところ、ハリスが逆転するという展開は混乱の素なので勘弁してほしいのですが、、、
今暫く推移を注視していきましょう。




