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言いたいことも言えないこんな世の中は

言いたいことも言えないこんな世の中は


君らは何でサイコパスとかソシオパスみたいなワードに食いつく訳?

私的には、そういう反応されるから、50を超えたオッサンが厨二っぽい発言してるとか思われるのが嫌で使いたくないワードになるんやけど、、、


器質的なサイコパスについて存命の、しかも大統領候補を名指しで言及するのは憚られるけど、某大統領候補がサイコパスであるのは言わずもがなの話。


サイコパスが反社会性人格障害と訳されるのは、顕著な特長として「共感性の欠如」が認められるところにあります。

共感性は、群れを作り社会を形成する動物が進化の過程で獲得した性質と考えればよいでしょう。

社会の構成者を害する要因を抑止する機能、とも言えます。

この共感性は生得的な部分と後天的に教育や社会生活などで助長或いは鈍麻された結果として現れます。


先天的に共感性が欠如した者をサイコパス、後天的に共感性が鈍麻した者をソシオパスと称するのですが、先天的という事は器質的なもので、訓練や教育、治療で共感性を獲得することはありません。少なくとも私の理解ではサイコパスの矯正・治療に成功したという事例は存在しません。


ただし、共感性とは「有り」「無し」の二元的なものではなく、多様なレベル感があり状況によりグラデーションの様に変化するものです。

私見ではありますが、共感性が欠如しているサイコパスでも共感性が完全に存在しない者は居ないのではないかと思います。共感性は他者だけではなく、自己保全の本能にも密接に関係するもので、完全なる喪失は社会性以前に自身の生命維持すら困難でしょう。

病質であるサイコパスと健常者の共感性には明確な差異がありますが、誤解を恐れず極論するなら、それは程度問題でしかない。

平均的には、100人のグループが有ればサイコパスが1人は混じっています。これは稀有という程稀少な存在ではありません。


共感性は社会に必要な性状ではありますが、強すぎれば自身を損ないます。

世界には仏教で言うところの四苦八苦が溢れていて、他者の苦しみや悲しみに引き摺られていては生活できません。

私達は大なり小なり共感性を鈍麻或いは眠らせて生きている訳です。

病質としてのソシオパスは、生来の器質として一定程度の共感性を有しているが、生育過程において生じた問題により共感性が発達しなかった者です。厳密に言えば、私的に呼称している体育会系ソシオパスは病質としてのソシオパスとは異なります。


例えば、宗教は一つのコミュニティ・社会であり、同一宗教内でどれほど隣人愛や善性を説いていても、一度宗教間の争いが生じれば、他宗教・異教徒を「同じ人と思ってはならない」「神の敵・悪魔」などと断じ、共感性やプリミティブな正義心を打ち消すことに注力する。

共感性は自身の生存にも関わる重要な本能ですが、戦争や宗教、卑近な例で言えばイジメなどを見れば分かる様に、容易く失われ眠ってしまうものなのです。


体育会系ソシオパスや宗教的ソシオパスなどは身内や同一コミュニティ内では普通に共感性を示す場合が多い。戦争では、敵国の市民に至るまで殺害を躊躇わない軍人であっても戦友の死には涙する事もあります。

逆を言えば、社会の分断、ポリティカルディバイドは大量の政治的ソシオパスを生む懸念がある。陽気で気さくな普通のオッサンが、自身と異なる政治的信条の者に対する共感性を失い、不寛容の域を超える暴挙に及ぶ、そんな事態が危惧される。


サイコパスとソシオパスには共感性の欠如、それに伴う反社会性という行動上の共通点がありますが、その性状が全く異なる点も多い。

某大統領候補が襲撃された時、耳を削がれ生命が助かったのは奇跡的とすら呼べる事態、安全の確保すら定かでないというのに拳を突き上げる真似が出来るのは尋常ではない。

「あの」写真を見た時、私は安堵すると共に「コイツぁ相当なアレだわ」と驚愕しました。

自身の生命に関わるリスクを軽々と飛び越えられるのは、ソシオパスには真似出来ません。完全に天性・先天的なものです。


なお、体育会系ソシオパスの傾向が極めて強いと評価した某県元知事がサイコパスの可能性は?

という問いには答えを差し控えさせていただきますのでお察しください。


さて、しょうもない話をダラダラとしてきましたが、ここからが本題です。


何故、トランプが支持されるのか?


この問いの根底には、トランプの非常識のレベルを超えた言動に対し熱狂する支持者の姿が私達には奇異に映る、そういう一面があります。

即ち、トランプの言ってる事は誹謗中傷の類いだよね?ちょっと考えれば嘘だって分かるのに何で皆んな「USA!USA!」しちゃってる(?)の???という疑問。


結論から言ってしまえば、トランプ支持者の多くは別段トランプを「正しい」人物だという理由で支持している訳ではない。むしろ逆。


アメリカは民主党と共和党による二大政党体制とされ、リベラルとコンサバティブに分けられているように見えますが、実のところ、それ程極端な違いがある訳でもなく、どちらが政権を握っても「アメリカはアメリカ」という状態が長く続いていました。

その中で浸透してきた「政治的に正しい」とされる考え方、即ちポリティカルコレクトネスは、ある種の国是であるかの様に進められてきました。

アメリカ人にも「開明的」「自由の象徴」として比較的抵抗無く受け入れられてきた面もあります。

しかし、誰かの自由は外の誰かの不自由、というゼロサム的な側面があるのは事実で、それまで普通に許されていた事がポリコレに反するという理由で禁じられ、ポリコレに反する一言が元で職を追われるなどの域に達すると、反発し、不快・不自由に思う層が形成されるのは当然の事態ではあるのです。


日本でも「不適切にもほどがある」というドラマがちょっとしたヒットとなった(私は観てる暇も無かったけどな!)のは、現在のポリコレが行き過ぎていると感じる方が多いのもあるでしょう。

私もポリコレ棒で袋叩きにされたくはないので、言動には注意しているつもり(注意してる様には見えないとか言うのは無しでお願いします)ですが、窮屈に思うところが有るのは事実です。

これまでの常識が非常識に変わるのは恐ろしくドラスティックで大変なことなのに加え、反感を買う最大の要因が、経済的な被害を受ける、少なくともそう感じる層がアメリカには多いところにあります。

学校・職場にはなんちゃら人枠があり、移民が安い給与で働く事で仕事が奪われ、給与が上がらない。それに抗議をすると解雇。

政治的に「正しい」事が生活を直撃しているのです。


アメリカの二大政党には極端な違いはない、と言いましたが、それは投票行動にも現れていました。

リベラルな人が共和党に投票することも有れば、コンサバな人が民主党に投票することも有り、アメリカ社会としてリベラル・コンサバの分断の無い、ある意味で民主主義として機能し易い社会が形成されていたのですが、、、

ポリコレという考え方が、社会を、政治的に「正しい」人、「正しくない」人に分断してしまった。


トランプは政治的に「正しくない」人の代表として2016年、大統領に当選したのです。

当然、アメリカが推進していたポリコレは全て見直し。

その外にも、それまでアメリカが「正しい」として推進していた地球温暖化対策などアメリカの負担となる政策は軒並み見直しとなりました。

結果はアメリカ社会に劇的といえる変化をもたらしています。

政治的分極化現象とも呼ばれるリベラル・コンサバの二極化です。


それまでは、民主党であっても伝統的なアメリカの姿に配慮していたし、共和党であっても開明的なアメリカを支持していた面が少なからずあった。

しかし、もはや、どちらが勝っても「アメリカはアメリカ」とは言えないだろう。

「アメリカは民主党・ハリス」となるか「アメリカはトランプ」となるか、だ。


この様な分断の原因はポリティカルコレクトネス・政治的正しさを強制した性急さにあると私は思います。

モンスターでありプレデターであるサイコパスはそれを利用し、決定的なものにしたに過ぎない。

謂わば「言いたいことも言えないこんな世の中」が「こんな世の中」を破壊するモンスターを求め、政治的に「正しい」人を喰らうプレデターを求める結果を招いた。


言いたいことをズケズケ言っちゃうサイコパスに、そこにシビれる!あこがれるゥ!しちゃうのはどうかと思うが、その心情は理解出来なくもない。


ポリティカルコレクトネスを否定するつもりは更々無い。必要な面もあると思っている。

しかし、言いたいことも言えないこんな世の中は何か歪であると私は思う。

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