プーチン「俺に逆らう奴はナチス」
プーチン「俺に逆らう奴はナチス」
アゾフ大隊が投降しました。
これで、要衝マリウポリは完全陥落となります。
これが一ヶ月、少なくとも三週間早ければ、或いはプーチンが逃げきっていたかもしれません。最終的なロシアの敗北は動かないとしても、です。
ネオナチと呼ばれるアゾフ大隊の確保も、事実上戦局の確定した現在では、プーチンとしても扱いに悩むところでしょう。ネオナチ扱いしている以上、単なる捕虜交換材料にするのでは示しが付かないし、ここまで目立つ存在を苛烈に扱うと戦後の報復も懸念される、、、といったところでしょう。
アゾフ大隊の方も、抵抗の限界ではあったでしょうが、情勢を見て充分抵抗の目的を果たしたと判断したのだと考えられます。
さて、標題です。
俺に逆らう奴はナチス。
まぁ、さすがにここまでストレートには言いませんが、プーチンの言ってる事はこういうことです。
所詮、ソ連時代から続くダブルシンク(キッチンの話ではありません)的発言ではありますが、この戦争を考える上でナチスという存在を思考から排除するのは適当ではない。と思いますので、少しばかり書いていきます。
余談の部類で恐縮ですが、個人的に私が関わりたく無いものの双璧が宗教問題と民族問題です。
何故かと言えば、ファクトではなくマスト。事実がどうかより「かくあれかし」が優先され易い問題だから、です。
ナチスの問題は、正しく民族と宗教が絡む上、オカルトまで加わるので、もはやカオスと言っていい存在です。
本稿でも第3部と同様にディフォルメして記述していきますのでご承知おきください。
まず、定義から行きましょう。狭義のナチ或いはナチスとはヒトラーが率いた民族社会主義ドイツ労働者党の党員を指します。
民族(National)に相当する頭の部分ナツィオネールを縮めた呼称ですが、正式な略称ではなく、当時においても蔑称に近いものでした。
思想・主義的には極右政党ですが、言うまでもなくホロコーストを引き起こした反ユダヤ主義であることが世界に膾炙し尽くしているでしょう。
では、ナチズムとは?
これは、解釈に依るところが多く、一律に定義するのは適当でない面もありますが、概ね、極右思想に基づく全体主義、と捉えれば間違いでは無いと思います。
その特徴はナチスドイツ時代の国是「一つの民族、一つのライヒ、一人の指導者」に端的に現れています。
民族とは即ちゲルマン民族です。ライヒはドイツを指し、指導者が総統ヒトラーになります。
これが、単一民族からなる国家を指導者が統べる。くらいの意味なら問題無かったのですが、
ゲルマン民族はアーリア人の流れを汲む優生人種!
ゲルマン民族以外は支配されるべき劣等民族だから征服してやった方が幸せだ!
特にユダヤ人は存在そのものが悪!
ゲルマン民族は神聖ローマ帝国、帝政ドイツに続く第三のライヒの担い手として頑張るぞ!
総統ヒトラーに従って世界征服だ!
誇張でも何でもなく、ほぼこんな感じ、、、、、、どうしてこんな振り切っちゃったのか、、、第一次世界大戦の敗北で相当鬱屈したものが有ったんだろうと思います。
ちなみに、第三のライヒ。は、ナチスドイツの正式な名称です(色々あって後に引っ込めますが)。日本では第三帝国とする訳が定着していますが、ライヒ自体の意味は帝国ではなく「ドイツ全域を支配する国家」と解釈すべき言葉になります。
はっちゃけたナチスドイツは「ゲルマン民族が必要とする土地は全て差し出せ」と現代人には理解不能な要求を周辺国に突き付け、当然のように拒否されると武力侵攻を行い、アッという間に平らげてしまいました。
ドイツは第一次世界大戦敗戦後、軍備も資金も無い状態から驚きの躍進を遂げたことになります。
その要因に挙げられるモノとして「ドイツの科学は世界一ィィイイィィィ!!」だとか色々言われていますが、結局のところナチスドイツ躍進に繋がる軍事力を支えたのはお金です。
戦費調達などで一般的に使われる国債は各国が注視しており、敗戦国のドイツは軍備もままならいハズでした。
しかし、ナチスドイツは軍備を整えるため手形を使います。これは、民間の商取引に偽装するために設立したペーパーカンパニー「冶金研究協会」の略称MeFoから、メフォ手形と呼ばれていました。
メフォ手形により、最終的にナチスドイツの軍事費は3倍に膨れ上がります(単年度で見ればそれ以上と考えられます)。これを使って秘密裏に再軍備を行ったのです。
ナチスドイツのソ連に対するスタンスは、
スラブ人(ロシア人やウクライナ人などは主にスラブ系)は劣等民族だからユダヤ人に支配されているのだ!
共産主義を撃ち破れ!ゲルマン民族の土地を拡大せよ!
というコレまたアレな感じです(コレでもまだ控えめな表現に抑えてますけど)。
スターリンはユダヤ人ではないので、ユダヤ人に支配、とは共産主義の元になったマルクス(マルクスは無神論者ですが両親がユダヤ人)やロシア革命に多くのユダヤ人が参加したことを指しているものと思われます。
まぁ、こんなことを公言していたので、1939年に独ソ不可侵条約が締結されたとき、世界中が驚愕します(そりゃそうだ)。
この条約の実態は不可侵条項の先、独ソでヨーロッパを分け合おうぜ!的内容の秘密議定書にありました。
実のところ、ナチスドイツもソ連も座ってる席が右側か左側かの違いだけでやってる事は恐ろしく似通っています。同床異夢の典型とも言える両国の関係は、ポーランドを始め欧州でやりたい放題やりまくった挙句、2年と保たずナチスドイツによるソ連へのDVで終焉を迎えます。
両者の性格からすれば、何時・どちらが仕掛けるか、の違いしか無かった破局ですが、泥沼の独ソ戦は4年に及び、民間人・捕虜を含め直接・間接的に双方で千万単位の死者が生じています。
特に、ソ連の被害は歴史上類を見ない規模となりました。
それ故にソ連は第二次世界大戦の功労国として国連常任理事国入りし、ナチスドイツへの反攻の過程で制圧した国家を傘下に置くことができた。これらの国家からは民主主義は排除され、共産党が支配する社会主義国家となっていきます。
結果として、独ソが分け合うとした欧州は、全てが全体主義に陥る事態にこそなりませんでしたが、東西に分断され、対立するイデオロギーの戦場、即ち冷戦の場となる訳です。
ナチスドイツは敗戦により消滅し、国土も分割されます。
では、これでナチズムの終焉か、と言われればそうでもない訳で、現代においてもナチズムやネオナチといった言葉が取り沙汰されることとなるのです。
少しばかり、と言いつつ簡単には終わらないので分割します。
 




