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事態を駆動せしめるパワー

事態を駆動せしめるパワー


ウクライナ軍によるロシア領クルスク州への越境攻撃は、依然としてウクライナ軍がクルスク州の一部を占拠し続けている。

ロシア軍としては、チンピラ皇帝の威信にかけてウクライナ軍を叩かなければならない所だが、ウクライナも易々と引き下がる様子はなく、河川を防衛線とすべく複数の橋梁破壊を行い陣地構築を進めている。

現状、ロシア軍の動きは、ウクライナ軍を攻撃するというより、一歩引いた位置に塹壕を配して被占領地拡大を阻止する消極策に止まっている。

ロシア軍の動きが鈍いのは、被占領地奪還に足るだけの人員を集められていないのだと考えられます。


ロシア軍は未だウクライナ東部での攻勢を続けており、クルスク州への転戦組は充分な数となっておらず、クルスクでウクライナ軍と対峙しているのは徴集組が大半のようです。

これは、まぁ、チンピラ皇帝の指示なのでしょう。

「クルスクはきっちりケジメ付けさせろ、しかし、東部攻撃を疎かにする事は許さない」

こんなところでしょうか。あくまで妄想ですが、まぁ、ほぼ図星かと思います。


クルスク方面でのウクライナ軍は攻勢を垣間見せながら防備も固めており、非常に柔軟に運用している様子が見てとれます。

練度ある部隊が河川という極めて防衛力の高い地形を盾に戦うのです。その数1万人超、ロシア軍がコレを攻略するには少なくとも5万人の兵士が無ければ話にならない。

クレムリンにふんぞり返ってご無体な命令を下すだけの簡単なお仕事のチンピラ皇帝ですが、流石に兵士が足りてない事は理解しているようで、わざわざチェチェンまで出向いてカディロフに兵士を融通するよう要請しています。

これは、相当な兵員不足の証左と言える。

カディロフは青びょうたんと並ぶチンピラ皇帝の犬ですが、その私兵集団カディロフツィを構成するチェチェン人はロシアとは全く反りが合わない。歴史的経緯や宗教などを考えればウクライナ人よりチェチェン人の方がロシア人を憎悪していると言っても過言ではない。

実際問題、ウクライナ戦争ではロシア軍とカディロフツィが度々問題を起こしており、戦争遂行上の支障となっている。

そのカディロフツィに徴集組、僅かな転戦組でクルスクからウクライナ軍を排除しようというのは舐めプに過ぎる。


これも事ある毎に言ってきたことですが、陸戦では熟練の下士官が作戦成否の鍵を握ります。後ろから銃で脅して突撃させる人数任せの平押しならまだしも、渡河作戦を含む高難度オペレーションを素人メインの寄せ集めでクリアしろとか、無理ゲーもいい所。

現時点において、ロシアがクルスクからウクライナ軍を排除するのは通常の手段では不可能に近い。

当面、ロシア軍はウクライナ軍の更なる侵攻を防ぐための防衛力強化・陣地構築に努めるでしょう。

しかし、残念ながら、この状況がいつまでも続く訳では無い。

どこかのタイミングでロシア軍はウクライナ軍排除に大きく動く。その時、ウクライナ軍が対抗できるかは難しいところで、何より、その時アメリカの政治リスクがダウンサイドに振れている可能性は高く、ウクライナとNATO諸国が耐えられるかと言えば悲観的にならざるを得ない。


やはり、残念ながらアメリカの支援が無ければウクライナは厳しい。

バイデンは、この越境攻撃について知らなかった、としていますが、まぁ、これは事実とは思えない。

アメリカはロシアだけでなくウクライナの動きもウォッチしています。1万人規模の作戦を秘密裏に進めようとするなら3ヶ月以上の慎重な準備が必要です。その行動をアメリカの軍情報部や諜報機関が把握できないなどありえないし、何より、越境攻撃の作戦立案やカウンターインテリジェンスはアメリカの協力抜きに出来る事ではない。

ウクライナの諜報機関がカウンターインテリジェンスどころかお漏らししかねない組織である事はこれまでにも言ってきたとおり。

それでもバイデンがしらを切るのは、この期に及んでもエスカレーションを避けるためです。


この越境攻撃はウクライナ乾坤一擲の一撃。

ある意味、バイデンら煮え切らない支援国首脳陣の腹を括らせるためのものでもあります。

これが事態を駆動せしめるパワーとなるかは、正直微妙なところです。


やはり、もう一手か二手が必要。

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