政治家プーチンのお葬式では?
政治家プーチンのお葬式では?
5月9日、世界が固唾を呑んで注目していた独ソ戦勝利記念日、プーチンは戦争宣言をしませんでした。
戦争宣言予測がロシア側の欺瞞情報によるものだったのか、秘密裏に進めるべき宣言が先に公開されたことにより中止されたのかは不明ですが、結果として宣言はなされなかった。
ウクライナにおける「特別軍事作戦」についても、欧米諸国が悪い、ゼレンスキー政権のナチズムと戦わなければならなかった、といった言い訳じみた泣きごとばかりで、今後の「作戦成功は目前だ!ウラー!ロシア!」的な展望は示しませんでした。
もちろん、現状を鑑みれば誰も勝てると思っていないとしても、そこで大言壮語するのがロシア流なのに、これでは事実上、プーチンの敗北宣言です。最後の最後で取って付けたように「勝利のために!」と言っていましたが、せいぜい「負け戦だけど、もうちょっと頑張って」程度の意味合いしかありません。
白けかえった列席者を前にした行進は、パレードと言うよりフューネラルマーチでした。もはや政治家としては死亡したプーチンを送る葬列。
戦争宣言予測については欺瞞情報か否か不明としましたが、先月末から取り沙汰されている「プーチンが癌手術」とする報道は欺瞞情報だと考えています。
色々と都合の悪くなった政治家が入院する。よくある事です。
癌手術報道もアメリカでレンドリース法が可決した後、降って湧いたように出てきました。
プーチンは殺されることは無いでしょう(知らんけど)が、政治家としてはそのままフェードアウトするでしょう。
政治家としてのプーチンは、欧米諸国の政治エリートたる各国首脳に対して、ある種のアドバンテージがありました。政治エリートには理解不能なマフィア的行動規範、分かり易く言えば企業を喰い物にするインテリヤクザの振る舞い(え?分かり難い?)です。おそらく、プーチンのやり口を感覚的に理解できるのはトランプやドゥテルテのような一部(念のため申し添えますが、良い意味では言っていません)トップだけでしょう。
政治エリートを煙に巻き、翻弄したロシアンマフィアも、結局のところチンピラでしかなかった。
ソ連崩壊後の経済危機から立ち直らせたかの様に喧伝しているが、プーチンの功績などではなく、石油価格上昇の産物でしかない。
幾つかの戦争で勝利をおさめ、強いロシアの面目を施したのも、所詮弱い者虐め、正しくチンピラの所業に過ぎない。
格下と侮ったウクライナ・ゼレンスキーから反抗を受け、プーチンは政治生命を失った。
この戦争の敗北はアメリカが肩入れしたからであって、ロシアがウクライナに負けた訳でも、プーチンがゼレンスキーに負けた訳でもない、なんて言い訳にもならない。
劣勢のウクライナを鼓舞して反抗したゼレンスキーと自ら望んで裸の王様となりハリボテの軍隊を嗾しかけたプーチン。戦争当時国トップとしての力量を問うまでも無い。
まだ戦争は終わっても無いのに、と思われるかも知れませんが、プーチンの敗因を二つ挙げておきます。
一つ目は言わずもがな。
アメリカの逆鱗に触れた事。
ロシア産の石油取引をルーブル建とする大統領令へのサインは、自身の政治生命に対する死刑執行書へのサインとなりました。
二つ目がブチャなどに見られる戦争犯罪の数々です。
プーチンはウクライナ解体を「民主主義国家ウクライナ」の解体に留めるべきでした。
「民族としてのウクライナ」を破壊する暴挙に出たことにより、ゼレンスキーは譲歩する余地を無くしました。
ロシア兵は、戦車で道に迷い、半ベソかきながらウクライナ人からパンを恵んでもらう間抜けなロシア人であるべきだった。
そうであればロシア人はプーチンに騙された愚かな連中、で済む余地があった。
しかし、ネオナチのレッテルを貼り、民族浄化闘争に踏み込ませたことにより、ウクライナ人・ロシア人双方に決定的な亀裂を生じさせました。
特に、ホロドモールから百年と経たぬうちに民族浄化を仕掛けられたウクライナ人は恨み骨髄に達したでしょう。
これはもう、プーチンが消えたところでどうにもならない。
ロシア兵が、セミョーンではなく、イワンであれば、プーチンとしての勝利の目も充分に有った。
勝利の目を摘んだのはプーチン自身。