ポリティカルディバイドその1
ポリティカルディバイドその1
ポリティカルディバイド、即ち、政治的分断です。
ポリティカルディバイドについてはウクライナの前から時間をかけてやっていたので、改めてやるつもりは無かったんですが、昨今の状況を見るに触れない訳にもいかんかな、というところです(?)。
全方位戦争で風呂敷広げたまま新たに「その1」とか風呂敷広げるのはどうか、とも思うんですが、、、
カオス過ぎる2024がいつのまにか半分過ぎてて、忙しいと嘆きつつも
「だけどくしゃみが出ちゃう 花粉症だもん」
とか暢気なこと言ってられた春先が遠く感じる。
ここらで少し振り返りもやっとかんと、、、
非常に取り留めのない話で恐縮ですが、先ずは幾つかの選挙結果についての評価から行きます。
インド
インドはモディ首相率いる与党が第1党を維持したものの過半数を握れず、与党連合での政権運営となります。
単独過半数を取れなかったことで取り回しは多少悪くなりますが、政策などに大きな変化はないでしょう。
インドのスタンスは
「グローバルサウスの中心となり、中国と対峙(敵対ではない)する」
「得意の全方位外交で独自の地位を築き、引き続き経済発展を遂げる」
というもの。ロシアとの外交もコレに沿ったものです。
ロシアの窮状はインドにとって経済的チャンスに他ならないし、ロシアが中国の属国となる事態は絶対に避けねばならない。
中露関係が中国優位に突き進む現状には危機感を持たざるを得ず、インドはロシアに接近する選択肢しかない、と言えるでしょう。
そこまでは仕方ないとしか言いようがない。
しかし、ロシアの窮状が度を越せばインドにもデメリットが大きくなると理解できるハズです。
その時、ロシアにブレーキをかける一助となってほしい。
イギリス
完全にスナクの自爆。
勝てると思って解散したとは考えにくいが、、、
結果として労働党が大勝して過半数の議席を確保しています。
安全保障を含めたウクライナ戦争への対応は労働党やスターマー党首は従来の路線を踏襲すると見られていたので、そこら辺は心配してなかったのですが、保守党が変に善戦して妙なとこにキャスティングボートを握られたらヤヴァいなぁ、、、とか思ってました。
結果として労働党が大勝したので政権運営に支障も出ない。ウクライナに関してはイギリスの選挙は政治的リスクを大幅に低下させたと評価して良いでしょう。
正直、スターマーにどこまで期待できるか分かりませんが、現状、政権が安定しているだけで御の字と言えます。EUとも足並みを揃える意向を示しているのも評価ポイントかも知れません。
イラン
改革派のペゼシュキアンが新大統領に選出されています。
イランで言う改革派は、規制を緩めないと人権問題で大変だし、孤立すると経済やらなんやら辛いから嫌いな国とも上手く折り合って現実を見てやって行こうぜ、って政治的方針のグループです。
反対に、イスラエルもアメリカもタヒね!スンニ派は悔い改めろ!というのが保守強硬派。保守は即ちイランの国是に沿ってる訳ですから、大統領は大体保守派から選ばれます。
ハタミ元大統領の様にたまに改革派から出てくる大統領もいるんですが、トップは変わらず保守なのでイランの政治が大きく変わる事はない。
今回のペゼシュキアン選出もトップであるハメネイ師の意向から外れたものではないのです。
改革派からの大統領選出は少なからぬ驚きを以って受け止められましたが、そもそもイランではハメネイ師の了承が無ければ大統領選に出馬すらできない。というか、今回の大統領選ではハメネイ師は明らかにペゼシュキアン推しの姿勢を見せていました。
これは、ハマスによる大攻勢以来の動きを考えれば意外な事態ではありません。要人の稿でも触れた様に、今、イランはイスラエルやアメリカと事を構える意思は全くありません。
そういうメッセージを発信し続けており、ペゼシュキアンというより「改革派の大統領」選出はこの流れに沿ったものと言えます。
尤も、ハメネイ師にイランの在り方を変える気がある訳ではなく、ペゼシュキアンが後継者候補に登ったものでもない。
当然、イスラエルやアメリカと仲良くしようなんて話じゃない。おそらくは、サウジアラビアとの関係を一時的でも改善するための改革派大統領なのではないか、と考えます。
ただ、、、これでイランそのものが安定するか、というと疑問に思います。まぁ、その辺は暫く様子を見てみないとなんとも言えません。
フランス
欧州議会の極右伸長を受けてマクロンがフランス議会を解散したのは、かなりの博打であったと言えます。
極右勢力は拡大傾向にあり、引き延ばしは危険との判断は間違いでは無いが、それでも随分と分のわるい賭けでした。
結果から言えばマクロンは賭けに勝ちました。現地フランスの空気は評価できませんが、劣勢と見られていた左派連合が勝利した背景には、急激な右傾化には危機感というより恐怖感が強かったのではないか、と思います。
パリ・オリンピックを控えて、自由・平等・博愛を掲げるフランスが、排他的な極右に傾いているとされるのを忌避した面もある様にも思える。
ともあれ、今夏最大の懸念であったフランスの政治的リスクは落ち着きます。
が、ポリティカルディバイドという意味では、より深刻化していると見るべきです。アメリカ大統領選でバイデンが勝利した時に想定されるポリティカルディバイドがもたらす危機、アメリカほどの規模ではないにせよフランスは同じ状況にある。
、、、あ〜、、、、、、バイデン、、、バイデンの年齢は今年の政治的リスクの中でも大きなものではあったんですが、最悪のタイミングで顕在化してしまった。
言うまでもなく、このままバイデン対トランプの選挙戦になればトランプの勝ち。
バイデンが勝利するシナリオはちょっと想像がつかない。民主党候補を変えるにしても、変わりになる候補がいるなら最初からこんな事態にはなってない。
目も当てらんない。
都知事選?
結果はほぼ決まっていた選挙です。
R4氏の誤算は石丸候補でも何でもなく、自民党の不人気を自身の人気と勘違いしているところ。アンチ小池より自分がせっせと稼いでいるヘイトの方が大きいと理解出来ないセンスの無さが小池に勝てない理由です。
都知事選で注目すべきは、その結果でも石丸候補の得票でもなく、ポリティカルディバイドの兆候が顕著に認められたところにあります。
随所に見られたこの兆候は、まず間違いなく都知事選に留まらない。
日本は既に危機的状況にある。そう認識すべきです。




