きんぺー詣で
きんぺー詣で
チンピラ皇帝は、その5期目の執政にあたり、そそくさと習近平に会いに行きました。
目的はこれまで散々触れてきた通りです。
チンピラ皇帝お供の面々を見れば、なんだかんだで顔の広いラブロフは当然として、ショイグら国防担当と第一副首相に昇格した貿易担当の閣僚やオリガルヒとなっており、このメンバーで戦争と経済頑張るからきんぺーさんよろしくお願いします、ってところ。
ロシアは、既に中国無くして戦争も経済も立ち行かなくなっている。幾らロシアにはお友達が多いと嘯いても、この難局を前に、当てにできる国など数えるほども存在しないとプーチン自身痛感している。遥かに格下の貧乏国家のボンボンに頭を下げなければならなかった屈辱は、到底忘れられるものではないでしょう。
戦時経済とすることで弾薬の生産量は平時の3倍程度までは増産が可能でしょうと言いましたが、現状は間違いなくその水準を超えている。
これは、中国を通じて、或いは中国製の工作機械や部品、材料がロシアに流入していると考えられます。事実、アメリカは中国に対し半導体や装薬の原料などで輸出量が増加している事を指摘しています。
物不足に陥りかけている市民生活も、中国の暴力的とすら言える過剰生産能力が助けとなっています。試算するまでもなく、中国の存在が無ければロシアのインフレーションは加速しているでしょう。
勿論、過剰生産能力を抱え、通貨の決裁拡大を図る中国にとってもWin-Winの関係ではありますが、窮状という意味でロシアとは比較にならない。
習近平とプーチンの会談などの様子を見ても両者の関係性は明らかです。例によって大人然とした習近平に対し、プーチンの阿る様な態度は、精一杯友好関係を演出しようとするのと相まって滑稽さすら感じさせる。プーチンに5期目、国家指導者としては後輩とも言える習近平に対する自負・自信などは微塵もありません。
台湾や処理水に関連して中国全肯定の発言とか見ても反発よりチンピラ皇帝の惨めさの方が際立っています。
縋り付かんばかりのプーチン君ですが、きんぺー君は冷ややか、というか従前のスタンスと変わるところが無い。美味しいとこだけいただいてロシアとは適度に距離を取る。
当然でしょう。ロシアが攻勢に出ているとは言え必勝には程遠い。プーチンが擦り寄って来ること自体が窮状の証し。この局面でロシアにベットするほど習近平の目は塞がってはいない。
ロシアがEUマーケットを失ったのは中国にとって奇貨とも言えますが、中国がEUマーケットそしてアメリカマーケットを失うことは、現状、中国経済自体に破滅を齎す。誰の目にも中国がロシアの戦争を支援している事が明らかであろうと日常的な貿易の範囲内だ、と強弁すれば、持ちつ持たれつのドイツなどは「だよね〜、これからもよろしく」と黙認するしかない。流石にアメリカなどはそこまで甘くありませんが、習近平としてもギリギリの線で圧力に抗している。この状況はアメリカ大統領選が決着するまで変わるとも思えません。
今回の訪中でロシアが得たものなど精々現状維持レベルの成果かと思います。それでもプーチンには頭を垂れて蹲うほど重要です。少なくとも、北朝鮮のデブに頭を下げるよりナンボかマシ、くらいに思っているでしょう。
対して、プーチン君がきんぺー君にどんだけ貢いだかは今一つはっきりしません。
共同声明を見ても、内容は多岐にわたっており事前に相当準備されたものと思われますが、大きく踏み込んだものがありません。
正直、予想よりだいぶ大人し目の内容で拍子抜けしたくらいです。
ロシア側にべったり抱きつかれても困るし、「仲間」ではなく「属国」に対する「節度ある」スタンス、という事なんだろうか?
また、今回の会談でウクライナ戦争に言及したものとして「政治的解決」という言葉が出ています。
要するに、ほどほどの所でお互い手打ちにしろよって話ですが、現状、勝ち逃げしたいロシア側に都合の良い話なわけで、ウクライナ側に何らかの政治的変動が無ければ早期に実現する可能性は無い。
「即時停戦」的な言い回しではない事から、単純にロシアの肩を持つ発言とも言い切れず、核使用などのエスカレーションに釘を刺すものとも取れるが、政治的意図が微妙にはっきりしない。
何というか、今回の訪中・会談は全般的に生煮え感があって、立ち昇るアトモスフィアを言葉にすると「様子見」が近いように思う。
プーチンが前のめりであるのに反し、習近平は実態的にも挨拶程度に済ませたのかも知れない。
意外だったのは、訪中に合わせて訪朝もあり得ると思っていたのですが、完全にスルー。
チンピラ皇帝は飛行機が嫌いなので、北京や平壌に何度も足を運ぶようなマネをするとも思えませんし、訪朝は昨年9月の将軍様訪露時に招請を受けたもので、訪中が先になるのは、まぁ仕方ないと不満を飲み込んだとしても、そのまま訪朝の流れとならなければ将軍様の面目は丸潰れです。
しかし、プーチンは北京訪問のあと、平壌を横目にハルビンに向かったのです。
これは、、、チンピラ皇帝らしい侮蔑的メッセージです。少なくとも北朝鮮側はそう取るでしょう、北朝鮮などよりハルビンの方が重要だと馬鹿にしている、と。まぁ、ぶっちゃけ北朝鮮よりハルビン市の方が経済規模で数倍になるので言うまでもなくハルビンのが重要なんですけどね。
とは言え、やはり弾薬の目処が立つまで北朝鮮は切れないハズなんですが、、、
昨年の将軍様訪露はボンボンの虚栄心を大いに満足させたでしょうが、プーチンにはさぞかし屈辱的だったに違いありません。いずれしっぺ返しを食らうのは確実でしたが、そのタイミングが思っていたより早い。
ロシアと北朝鮮が完全に切れたというレベルではありませんが、隙間風が酷い。
きんぺー詣では専制国家間の結束を示すものとはなりませんでした。




