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ウクライナ支援予算成立

ウクライナ支援予算成立


20日、米下院議会はウクライナへの軍事支援を実行するための600億ドルの予算を可決しました。

この後は上院での議決と大統領のサインを以て執行されます。上院は民主党が優越しており、実質的に下院議会の可決がアメリカの意思決定となります。

後は事務手続きに近いので、既に支援再開に向けた諸々の活動が活発化しています。アメリカのロジスティクスは非常に強力ですが議決等の手続きから弾薬類がウクライナの前線に届くまでには2ヶ月程は要するでしょう。

6月には食い込むという事です。しかし、アメリカの支援再開が事実上決定したため、留保していた弾薬類も補給を前提に使用が可能となります。ウクライナ軍は新たな防衛プランに沿って活動するでしょう。

これで、ロシアによる大規模攻勢が囁かれていた6月にギリギリ間に合う。


米下院議会がウクライナ支援予算を通したのは、一つにはウクライナ向け予算を含む一連の予算を民主党・バイデン政権が譲歩し共和党議員を切り崩しできたという面があります。一連の予算を見るに予算案提出の形式や付帯条件などからは政権スタッフの苦労が偲ばれる。

もう一つ、トランプの変化も大きい。トランプは「ウクライナの存続も大事だよ」と発言し、これまでの「ウクライナの戦争なんぞさっさと終わらせちまえ」というスタンスから微妙に軌道修正してきました。これは、即時停戦・戦争終結=ウクライナの敗北=ロシアの勝利を容認或いは支持している、と取られる事が選挙戦にマイナスだと嗅ぎ取ったのでしょう。まぁ、戦争の勝敗には言及しない辺りトランプらしいと言えますが、これで共和党議員もウクライナ支援予算に賛成し易くなったのは間違いない。

結果として、自由議連と一部割りを食った共和党議員を除き賛成多数で下院を通す事ができた。

これは大きい。

アメリカ大統領選がどう転ぶかは何とも言えないが、少なくとも600億ドル(ウクライナ支援の包括的予算のため直接的な軍事支援額は370億ドル程度)の支援が回れば、ウクライナは防戦から攻勢に転ずることが充分に可能、というか攻勢に転じなければ政治的リスクが許容範囲を超える。バイデンは武器弾薬の供与を果断に執行すべきだ。躊躇っていられるフェーズはとっくに過ぎ去っている。

チェコを始めとする欧州各国が「アメリカに頼りきりはマズい」と危機感を持ち、独自ルートでのウクライナ支援に動き出したのも怪我の功名と言える。榴弾も必要だがATACMSなどの長距離攻撃手段、なによりF16を投入する必要がある。

現在のロシアの攻勢は何処かで必ず息切れを起こす。その機を逃さず一気呵成に反転攻勢に出なければならない。何時でも攻勢に出られる準備を整えておくべきだ。時を置けばロシアは再び防御陣地を構築し、攻勢の大きな障害となるだろう。昨年の反転攻勢の轍を踏む事は許されない。


バイデンには可及的速やかな弾薬類の供与と決断が求められている。

予算可決は素晴らしい成果だが、出来ることなら裏技を使ってでもウクライナ支援を続けていて欲しかった。後退した前線を回復するには少なからぬ血を必要とするからだ。バイデンはウクライナに先月3億ドルほどの軍事支援を執行している。これも、裏技の一つであるが、この時の資金は執行差額を流用したものだ。一時凌ぎにしても充分とは言えない。

結局、奥の手とも言える米軍装備の用途廃止には踏み切らなかった。平たく言うと「コレもう要らないからあげるね」ってやり方。既に米軍が使用している装備は予算上執行済のもので、取り扱いは執権者である大統領が決める事ができる。もう要らない、と言ってタダであげちゃう事もできる。

しかし、コレをやると代替装備の予算措置が無ければ米軍の弱体化に繋がるし、予算という手綱を振り払った行為なので議会とも亀裂を生む。裏技というか荒技なのでやりたくない気持ちは理解できなくもない。


民主主義の手続きを重視するバイデン、と評価できなくもないが、ことは急を要する。繰り返しになるが速やかに果断に支援を執行してもらいたい。

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