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補足

補足


ロシアのマクロ経済に対する質問に答えています。

先ず、トランプが再選されたらどうなるか?

まぁ、そこは気になるわな。

結論から言うとトレンドとしては大きく変わる事はない。

前提となるトランプが勝つかどうかは分からない。歴史的に民主党・共和党のどちらに付くかほぼ確定している州も有りますが、今回の選挙はセオリーが通用しない可能性も高い。

鉄板のトランプ支持者、、、と言うか、コレもう信者だよね、、、は堅固ですが、やはりトランプにはトラブルが多過ぎる。長丁場の選挙戦ですが最後まで何が起こるか気が抜けません。

ロシアのマクロ経済に話を戻しますが、前稿で挙げた三つの要因は何れもチンピラ皇帝の自爆です。トランプがプーチンに手を差し伸べたとしても救いようがない。

石油などの禁輸や価格制限をアメリカが撤廃しても大消費地である欧州の需要減は変わりません。そもそも、根っからの商売人であるトランプは、安く買うことはしてもプーチンのために高く買ってやる様な真似はしません。

軍事費に関しては、アメリカは完全にウクライナを切り捨てる事になるかも知れませんが、ウクライナの反応を見る限り、トランプが公言する様に1日で戦争を終わらせるのは無理筋です。軍事費が拡大する事は有っても縮小する方法は、少なくともトランプには存在しません。

自由経済に関しては、トランプにより経済制裁があっさり解除される可能性は高いでしょう。それにより半導体などは入手が容易となり、武器製造のための機械工具や部品も手に入ることから、ロシアは格段に戦争がし易くなります。或いは屈辱的な北朝鮮からの支援を必要としなくなるかも知れません。しかし、それはあくまでも戦争遂行能力が改善するだけの事です。アングラで入手していたものが大っぴらに買える様になり、入手コストが低下するのは確かでしょうが、最も重視すべき民間投資がハイリスクのロシアに戻って来ない。マクドナルドは帰って来ないのです。

トランプ再選がウクライナ戦争におけるロシア軍の軍事活動に資する事は間違いない。しかし、ロシア経済を、ロシアそのものを救う事は出来ない。


疑問:ロシア経済の悪化を主張しているが、報道などを見るとロシア人は普段通りの生活をしていて不景気で困窮している様には見えない。

マスクヴァなどの都市部では人材不足で失業率が0に近くなっており、それだけ見ると景気の悪化とは結びつかない様に思うかも知れない。しかし、企業側から見ると高コスト化と同義であり、これを吸収できずに倒産件数が増加している。

ナビウリナ総裁は頑張って通貨防衛に努めているが、ルーブル安で輸入コストは増大している。加えて、事実上の戦時経済で軍需物資が優先されていることから、ソ連末期に見られたような物不足が顕在化してきている。

これは、インフレーションというより、ハイパーインフレーションの兆候で、国民は物不足などのインフレーションの兆候を感じると貯蓄より消費に走る。消費がさらに物不足を加速する悪循環に陥ると手が付けられなくなるが、そこまで行かずともパッと見は消費意欲の旺盛な「普段通りの生活」に「見えなくもない」。

ナビウリナは通貨の堕落、即ちインフレーションを抑え込むため様々な手を尽くしていますが、それでも年間のインフレ率は20%に達している。

インフレを抑える手段の一つが利上げであり、ウクライナ戦争に突入しルーブルが暴落した2022年2月にはナビウリナは政策金利を一時的に20%にまで引き上げました。ちなみに、マイナス金利が解除された日銀の政策金利が0.1%、、、

利上げは金利負担増により企業倒産も増加するため、その後政策金利は順次引き下げられ、2022年9月には7.5%まで落ち着きましたが、インフレの動きに合わせて再び上昇し、現在は16%となっています。

ロシア企業は人材不足、物不足、高金利の三重苦に喘いでおり、それが悪化こそすれ改善される兆候はない。そして、追い討ちをかけるように増税がほぼ間違いなく来る。このロシアに投資しようとするのは逆張りが過ぎるというものです。

というか、一部の上澄みを見て(見せられて)ロシアは大丈夫とか判断するのは、肥え太った北の将軍様やお嬢様を見て「北朝鮮で餓死者なんかいるわけない」と言うようなもの。

マクロ経済について上っ面の話をするのは止めた方がいい(自戒)。


ロシアの大規模テロは偽旗作戦と考えていいのか?

偽旗作戦と言ったので誤解を招いてしまったかも知れないが、テロを実行したのはタジキスタンに本拠を置くイスラミックステート(IS)の一派である事に違いはなく、ロシアがテロを実行したわけではないし、計画に関与した可能性もそれほど高くはないと思っている。

ISは国際社会から「イラクとシリアで活動するイスラム国」=ISISと呼称されている様にシリアなどでテロ行為を続けているスンニ派のイスラム教過激派組織です。

シリアではスンニ派が主流を占めています(8割くらい?)が、アサドはイスラム教の中でも珍しいアラウィ派に属しており、スンニ派は少数派であるアラウィ派に支配される形で、それを良しとしない反体制組織との内戦が10年以上続いて未だ終わりを見せていません。ISはアサド政権とも反体制組織とも対立し、三つ巴の状態でしたが、クルド人までISとの戦いに参戦したことで袋叩きの目に遭い、事実上、シリアにおいては対抗勢力と呼べるだけの力も支配地域も失って、タジキスタンなどのIS勢力下に身を潜め、散発的にテロを起こしています。

少数派に属するアサドがシリアを独裁下に置ける背景にはロシアによる軍事支援があります。だからと言ってコンサートホールに集まった市民を無差別に殺害しても、選挙も終わったプーチンは元よりロシアには何のダメージも有りません。

ISの目的は、端的に言うとスポンサー集めにあるかと思います。

ISは既にイラクに於いても支配地域を失いイスラム「国」と呼べるだけの影響力を有していません。この様なテロ組織は埋没してしまうと資金も構成員も失って終わりです。

これを避けるため、力を失ったテロ組織や組織拡大を図る組織が無差別なテロを起こす事がままあります。不謹慎な言い方になりますがテロリストによる営業活動の様なものだと考えれば理解し易いかも知れません。

謂わばテロのためのテロで、世間の耳目を集めて支援者を募り、資金を集めて構成員をリクルートする、組織の活性化を図るためのデモンストレーションです。昨年のハマスによる大規模攻撃も性格的にはこれに近い。

そういう意味でISがロシアをテロの目標とする事は意外でも何でもなく、ごく自然な流れと言えます。言い方はアレですが紛争慣れしたイラクやシリアでは警戒も厳しく、例え成功しても大して注目も集まりません。対して、ロシアは形だけは大国でシリアの親分です。シリアなどに比べればテロ対策など無いようなもの。実際、今回のテロは多くの犠牲者を出し、世界中の注目を集めました。

さて、本題です。テロ対策が無いようなものと言いましたが、ロシアの秘密警察・治安機関であるFSBは何故このテロを防げなかったのでしょうか?

テロの警告はアメリカなど複数のチャンネルから寄せられており、FSB独自のルートからも情報を得ていた可能性が高いでしょう。情報の精度とタイミングを考えればFSBが今回のテロを阻止できた可能性は高かったと思いますが、少なくとも阻止に向けた動きらしい動きは見て取れません。

何故か、と言えば簡単な話で、FSBはロシア国民を守るためのものではないからです。

ソ連・ロシアの秘密警察は支配者を「国民から」守るためのもので、プーチンにテロを阻止しようとする意思が無ければ動く理由がない。少なくとも、チンピラ皇帝にはテロを阻止する事にFSBや国家親衛隊を動員するコストに見合うメリットが見いだせなかった、そういう事です。テロのタイミングが選挙後というのも許容し易い要因でしょう。

そして、その後のロシア側がウクライナに責任をなすり付けている現実に鑑みれば、このテロは最初からプーチンに都合の良いテロだったのだろうと察せられます。

テロを実行したのはISであるにせよ、それを利用するプーチンやFSBによる事実上の偽旗作戦と言えるでしょう。

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