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続き

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懲罰部隊とは何だったのか、、、

いや、まぁ、すみません。

ナワリヌイ氏収監の話から刑務所に繋げて懲罰部隊に流れを持って行く予定だったのです(コイツ予定ばっかだな、とか言うのは無しでお願いします)。


前にもちょこっと触れましたがロシアの刑務所内には囚人などの間に独自のヒエラルキーが存在します。

まぁ、日本の刑務所内にもそういった面が無い訳ではありませんが、ロシアのソレは日本などの比ではない。

独自のルールが働いており、人権?何ソレ喰ったこと無いって世界です。

囚人の中でも最下層になると人権も意思も顧みられることは無く、尊厳なんてものは存在しません。

ヒエラルキーを決するルールは刑務所によって異なったりもしますが、暴力や財力、コネクションや民族、収監された罪状など、結局のところ力関係に行き着くのは何処の国でも似たようなものかも知れません。開戦によりウクライナ人の囚ヒエラルキーが低下したであろう事は想像に難くない。

ナワリヌイ氏の様に政治的・思想的な理由で収監された場合は下層に位置付けられるか隔離されることとなります。

おそらくはウクライナ戦争でロシアに連れ去られたウクライナ人の一定数は政治犯の様な扱いで収監されているハズです。

ロシア軍では、こういう敵国の民間人や捕虜を選別し、収監するといった「作業」をシステマチックに実行するための訓練さえやっています。まぁ、この辺はロシアというよりソ連からの伝統ではあります。

ロシア軍はプリゴジンの手法を踏襲して囚人を懲罰部隊の形で利用しています。

おそらく、ヒエラルキー最下層の囚人は徴募に応じる意思の有無に関わらず強制的に徴兵されているでしょう。懲罰部隊に一定数のウクライナ人が含まれていることは間違いありません。

言うまでもない事かも知れませんが、敵国の民間人を自国に連れ去ること自体、戦争法に違反していますし、占領地域で徴兵することも同様です。


ウクライナ人や反プーチンを掲げている人達を兵士として使おうとしても、当然ながら無理があります。

この様に士気が低い、というかマイナスな兵士を戦場で運用するには反抗や脱走、許可の無い投降に対する備えが必要です。

通常の部隊でも戦場における抗命や敵前逃亡などには上官に処罰を科す権限を持たせますが、服従が基本である通常部隊の人員では懲罰部隊の統制をとるのは中々難しい面があります。

そのため、コレを専門とする部隊が督戦隊です。

逃げ出す兵士を背後から撃つ簡単なお仕事、、、と思われるかも知れませんが、効率的に懲罰部隊を運用しようとするのであれば、それなりのノウハウが必要になります。

ソ連は、独ソ戦で千を超えるピナルバタリオン(懲罰大隊)を編成していますが、曲がりなりにも近代化を果たした現在のロシア軍では、懲罰部隊運用の一種独特なノウハウは持ち合わせていないでしょう。

では、どうするかと言えば、、、まぁ、当たり前ですがノウハウを持ってる奴にやらせるのです。即ち、ワグネルを使う。

プリゴジン亡き後のワグネルは再編され、先月、正式に国家親衛隊に編入されました。

国家親衛隊とは、つまりチンピラ皇帝の私兵という事です。プリゴジンがバフムートを落として一躍英雄となったように、チンピラ皇帝もドンバスを国家親衛隊(ワグネル)を使って落とそうと考えているのでしょう。

ワグネルはアフリカなどで実践経験を積んでおり、軍事指導として素人を調練して使う術を心得ています。何より、囚人などを懲罰部隊として用いる実績は折り紙付き、コレを使わない手はない。


ご存知のとおり、アウディーウカはロシアが制圧しました。ロシア軍の榴弾や滑空爆弾の猛射にさらされたウクライナ軍の被害は大きいが、損害度外視のロシア軍の被害はもっと深刻な数になっていると推計されます。

視覚情報から得られる装備の損害も異常値と言っていい増加率を示しています。

早期警戒管制機A-50の撃墜は最たるもの(これまで撃墜された事が無いものが撃墜されたってのはえらいことなんです)ですが、支援戦闘機の撃墜数が跳ね上がっている。

支援戦闘機撃墜の増加はペトリオットの積極運用による処もありますが、ロシア軍の戦術の転換が強く影響している。

ロシア軍は開戦直後を除き、航空機による航空支援が極めて限定的でした。

まぁ、航空優勢が得られない状況下では当然レベルの話で、損失上等のロシアと言えど高価な航空機、なによりパイロットを湯水の様に注ぎ込む事は自殺行為に近い。

ドローンが有力な戦力となった現在でも、まともな戦争をやろうと思うなら航空機は絶対不可欠。

そして、航空機を飛ばすにはパイロットが必要なのは言うまでもない話ですが、パイロットは基礎的な能力から教育課程を含め貴重な人材です。

ロシア航空宇宙軍(空軍)パイロットはNATO諸国らと比較して年間飛行時間が短く質が低い、即ち金をかけていない、と評価されていますが、それでも一から育てるには莫大なコストと調練に数年を要するパイロットの補充は容易ではない。

ロシア空軍総司令でもあるスロヴィキンとしては無軌道な航空戦力の消耗は容認出来なかったのでしょう。

スロヴィキンが更迭され、チンピラ皇帝の下命に抵抗出来なくなった結果が相次ぐロシア航空戦力撃墜に現れています。

貴重な航空戦力ですらコレなのですから、厄介払いも兼ねた懲罰部隊の損害が非常識レベルとなるのも当然です。

懲罰部隊は、狭義てば軍規違反者などを集めたものを指しますが、ロシアの場合、返還された捕虜や任務に失敗した兵士、囚人や占領地で徴兵した民間人なども含まれています。

近代式軍隊では帰ってきた捕虜は一定期間休養の後、原隊復帰などが行われるものですが、ロシア軍でそんな扱いが受けられるのは、まぁ、稀です。大抵の場合は交換要員の算にも入らず、数合わせで帰還出来たとしても扱いは脱走兵と同列で、懲罰部隊に送られ擦り潰される結末しかありません。

撃墜されたパイロットなども、命からがら脱出に成功しても捕虜になれば扱いは懲罰部隊と同様です。

危険な任務に就かされ、或いは、、、イリューシン76で戦場上空を飛行させられるかも知れませんね。


そんな懲罰部隊や懲罰部隊に等しい扱いを受けて、ウクライナ東部では万単位の死者、倍する負傷者が出ています。


こんなのの何処が偉大な勝利と言うのかねぇ?

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