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台湾選挙

台湾選挙


選挙イヤーの今年、台湾の元首である中華民国総統を選出する台湾総統選が行われました。


選挙は住民が候補者を指名する直接選挙により行われ、結果として民主進歩党(民進党)の頼清徳が勝利し、4年間の台湾執政を託される事となります。これで、民進党は、二期8年を務めた蔡英文から引き続き三期にわたり政権を握る。


今回の選挙の構図は、中国が肩入れしている国民党と中国が独立勢力と警戒する民進党の二大政党による一騎打ち、、、ではありません。

第三の政党である台湾民衆党、或いは、この第三極が参戦していなければ、総統選の結果は違ったものとなっていたという意見もあります。


当然ですが、中国は台湾総統選に強い関心を持っており、露骨なまでの選挙介入を行ってくるのですが、台湾人は香港の姿に一国二制度の虚構を垣間見ているのでしょう。

現状、台湾の選択は「現状維持」。

スキャンダル(中国のハニトラ)や物価高などで民進党への支持は揺らいでいるものの、中国に擦り寄る国民党は危うい、台湾民衆党はそういった想いの受け皿となった感があります。


中国への拒否反応を見るに台湾民衆党が総統選に出馬していなかったとしても、国民党が勝利していたかは疑問の残るところですが、総統選と同日に実施された立法委員選では国民党が過半数を押さえる事は出来なかったものの立法院第一党となりました。

民進党は少数与党に転落し、立法院のキャスティングボートを台湾民衆党が握る形になります。


立法院でも過半数を民進党が押さえていた蔡政権下と異なり、頼政権では台湾民衆党の協力を得なければ予算などが成立しません。

国民党が過半数を握るまでは行っていないので、ねじれとまでは言えませんが、大きく制限が掛かるのは確かです。


今回の選挙、意外に思ったのは各政党支持率の分布です。

ざっくり言うと、これまで台湾は北部が国民党、南部が民進党支持が強い傾向にありました。

詳報が出ていないので正確では無いかも知れませんが、投票結果からは南北ではなく台湾の東西、東側で国民党、西側で民進党支持の傾向が見受けられました。

台湾海峡に面した西側では中国の軍事演習を目の当たりにする事も多く、東側より危機感が強い、という風にも取れますが、分析が必要かと思います。


さて、問題は民進党頼氏の勝利を受け、中国がどの様に対応するか、です。

言うまでもないでしょうが、頼政権の任期が終わる2028年まで中国が大人しくしているなんて事はあり得ません。

習近平の三期目は2027年には終わってしまう。それまでに台湾統一を成し遂げなければ、習近平と言えど終身皇帝の座を追われるでしょう。


私は、総統選で民進党が勝利するにせよ国民党が勝利していたにせよ、中国が軍事的オプションを行使する事なく台湾統一に踏み切る事は無いと思っています。

中国は認知戦などを駆使して宥和という形で比較的穏健に台湾統一に及ぶのではないか、とする意見もありますが、制度的にハードルが高すぎてほぼほぼ不可能です。それは、台湾総統が国民党であっても変わりません。

想定される中国の軍事的オプションを極単純に言えば、ロシアが2022年にウクライナに侵攻したのと同様、ロシアがキーウを目指しゼレンスキー政権を排除しようとした様に、中国は軍事力を以って時の台湾政府を排除し、中国共産党が唯一の政体と宣言する。それだけです。

では、民進党でも国民党でも同じか、といえばそうでもない。民進党は中国の武力行使に備えた動きを明確に示している。

台湾の抵抗如何によって、中国はロシアの轍を踏む事態に陥りかねず、仮に勝てるとしても看過し得ないリスクを孕む。

中国の理想的展開は、台湾攻撃に対し台湾政府が速やかに降伏し、中国共産党の支配を唯々諾々と受け入れる事です。

そのためには国民党の方が都合が良い。中国共産党なら、台湾総統などより魅力的なポストを用意する事もできる。そういう方向に持って行きたかったハズ。

それはもう一々挙げるのが困難なほど中国の選挙介入は多岐にわたり、露骨な飴と鞭からスキャンダルのリーク、フェイクニュースなどなどなど、よーやるよ全く、とはいえ凄まじいまでのキャンペーンは台湾住民の警戒心も刺激したであろう事は容易に想像できます。

おそらく、我々が想像する以上のリソースを投入したであろう中国の選挙介入ですが、結果として国民党は敗れ、頼政権が誕生する。

まぁ、悔し紛れでしょう、中国は早速選挙結果にイチャモンつけてきましたが、結果が覆る訳でもない。

台湾立法院には総統罷免動議の権限がありますが、罷免のハードルが高い上に総統を罷免しても副総統が自動的に総統に就任するため現実的ではありません。

今後は、民進党に対して硬軟織り交ぜた懐柔を仕掛け、陥れる策動も引き続き行われるでしょう。

習近平も正念場なので生半可なものになるハズがない。

正直、立法院のバックアップも無い中で、中国の目の敵にされる民進党から総統になるなど、コレって罰ゲームでは?とすら思います。

そして、中国の台湾侵攻は「何時起きるか」の問題でしかない。

選挙イヤーの今年はタイミング的に「ありそう」なのですが、色々カオスな状況が重なって全く予想がつかない。ただ、まぁ、起きるには幾つかの前兆が認められるハズです。そいつを見逃さないよう注意しなければならない。


松の内も終わろうとしているのにウクライナ・中東・台湾の何れも片付く気配が無い。

2024カオス、まじカオス。

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