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これもまたヤバ過ぎる周辺事態

これもまたヤバ過ぎる周辺事態


連日ニュースとなっている様に、イスラエル国に対しハマスが大規模な攻撃を仕掛けました。

イスラエル国は完全に虚を突かれる形となり、多くの犠牲者が出ています。


イスラエル国はユダヤ人により建国された国です。

ハマスはパレスチナ国ガザ地区を実効支配しているイスラム教原理主義者の集団です。

イスラエル国のある土地は、三千年位前に神がユダヤ人に与えたとされる土地、即ち約束の地カナーンとしてイスラエル王国が存在した場所です。本稿では便宜上パレスチナ地方と呼称します。

イスラエル王国は「油を注がれた者」サウル王やダビデ王、ソロモン王などが治めた古代王国です。

イスラエル王国は三百年ほどで滅亡しますが、パレスチナ地方は聖地エルサレムを擁し、宗教・政治・文化の坩堝の様な変遷を経て第一次世界大戦期にはオスマン帝国の支配下にありました。

オスマン帝国はトルコ人の国家ですが、パレスチナ地方に住んでいた多くはアラブ人でした。

そこでエゲレス(イギリス)は独立を餌にアラブ人の大戦での協力を得ます、、、、、、まぁ、そこまでは良いとしても、エゲレスは資金協力を得るためにユダヤ人に対してもパレスチナ地方への居住を認め、支援を約束します。

これで、大戦後オスマン帝国が解体され、エゲレス統治領になると世界中のユダヤ人がパレスチナ地方に集まって来る事となりました。当然、元から住んでいたアラブ人は猛反発します。

ユダヤ人とアラブ人の軋轢は多数の死者を生み、エゲレスは調停に動きましたが、到底(或いは当然)手に負える事態ではなく、エゲレスは統治を放棄します。

エゲレスの約束は、精々「ユダヤ人はパレスチナ地方に住んでも良いよ」というレベルのものでしたが、世界中から集まったユダヤ人は彼の地で組織化し、エゲレスの統治放棄と(ほぼ)同時にイスラエル国建国を宣言します。

イスラエル国建国の翌日、パレスチナ地方を追われたアラブ人を支援するため、アラブ諸国はパレスチナ地方に軍を進め、以後、断続的に中東戦争が繰り返される事となります。

結果として、イスラエルは全ての戦争にほぼ勝利し、エルサレムを含むパレスチナ地方の多くを現在に至るまで占拠し続けています。


エゲレスに居住を認められたとはいえイスラエルの行為は、先に住んでたアラブ人を追い出して「ここは俺の国だ」と占拠している訳です。

イスラエルが国土と主張する土地の多く、特に問題となるエルサレムは国連において国土とは認められていません。


なんだかロシアとウクライナの関係に一部が重なるように思うかも知れません。

というか、私的にウクライナ戦争の方が中東戦争の鏡写しの様に感じていたくらいです。

謂わば、パレスチナ国はアメリカの支援を得られなかったウクライナ、イスラエル国はアメリカを味方につけたロシア。


中東戦争後50年、片隅に追いやられ、徐々にパレスチナ地方から排除され続けているアラブ人は恨み骨髄に達し、イスラエル国の破壊を至上命題に掲げるハマスがガザ地区を実効支配しています。

煮え沸る憎悪がハマスの原動力となり、断続的にイスラエル国を攻撃してきましたが、今回、世界が驚く程の大規模攻撃に至った。

これが第五次中東戦争の始まりか。そういった声も聞こえてきます。


まず、大前提としてハマス単独では戦争と言えるものには成り得ません。

戦争遂行能力で言えば、ウクライナ戦争開戦初期、ロシアとウクライナの間に有った戦力差以上の差がイスラエルとハマスの間にはあります。

今回、これ程大規模な攻撃を、CIAに比肩するとも言われるモサドを擁すイスラエルが察知できていなかったのは、イスラエルにハマス軽視の風潮が有ったのではないかとも察せられます。

今回の攻撃が大規模というのも比較上の話で、イスラエルが揺らぐものではありません(ネタニヤフの首は飛ぶかも知れませんが)。


対して、イスラエルによる報復攻撃は倍返しでは済まない。

イスラエルという国はやられたら何十倍にもして返す国です。今回の攻撃でハマスが消滅する程激烈な報復が行われ、ガザ地区そのものが破壊し尽くされる可能性すらある。

パレスチナ国に同情的な国家も、民間人を殺傷し人質に取る様な真似には眉を顰めるでしょう。

アラブ諸国でも相当なイスラム国家でなければハマスを強く支援するのは国際的立場から難しいハズです。

それが出来るのは例えばイラン。

レバノンのヒズボラ。


イスラエル国はハマスから攻撃を受けるや透かさずシリアを攻撃しています。

これは、シリアというよりイランを牽制し、北部方面からの支援を断ち切るため、結節点となるシリア北部の空港を叩いたものです。

怖ろしく果断で速い。戦闘モードに入ったイスラエル国にハマスが付け入る隙は有りません。

イスラエル国対ハマスは一方的なものとなるでしょう。そこまでは、もうどうしようもない。

問題は、最早避けられない地上戦で少なからず民間人の犠牲者が出る、という事。


イスラエル国はロシアと違ってあからさまに民間人を殺傷する様な真似は滅多にしません。

しかし、今回、ハマスだけ掃討するのは不可能。そして民間人犠牲者が増えれば、アラブ諸国も黙ってはいられないでしょう。

そうなった時、機能不全に陥っている国連では第五次中東戦争化を止める事は出来ない。


今回のハマスによる大規模攻撃にはイラン、ロシアの使嗾が有ったのではないか。そういう意見があります。

イランが関与(支援)していない、というのはハマスの能力的に見てほぼ有り得ない。

当然と言っていい程ロシアの関与も有るでしょう。中東戦争はウクライナ戦争から世界の目を逸らし、イスラエル国寄りのアメリカをウクライナから引き剥がす非常に有効な手段と言えるからです。

しかし、ハマスがイスラエル国を攻撃する事自体は遅かれ早かれロシアの関与が無くとも起きていた、避けようの無い必然、とも言うべきものです。

中東戦争化も独力でイスラエル国に対抗し得ないハマスにとっては望むところ。

これは民族と宗教、アラブ人とユダヤ人、イスラム教とユダヤ教が、その存亡と教義をかけた対立。平和的解決などエゲレスがパレスチナ地方にユダヤ人入植を認めた時点で有り得ない。


イスラエル国による報復が報復で終わるのか、第五次中東戦争にまで拡大するのかは、イスラエル国が自制できるか、にかかっています。

常識的に考えれば、ハマスが消滅し比較的穏健なPLOが実権を握っても、後顧の憂いが無くなる事など有り得ない、むしろ泥沼化するに決まっていると判断できると思いますが、こういう報復攻撃は往々にして常識的判断が失われがちになります。


これを機に面倒なガザ地区を消し去って後顧の憂いを無くしてしまえ、とならなければ良いのですが、、、

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