クラスター弾
クラスター弾
アメリカからウクライナにクラスター弾が供与されています。
私個人の意見として、ウクライナが望むのであれば供与してやれば良い、そう考えています。
劣化ウラン弾の時にも少しお話ししましたが、ロシアが好き放題使っているものをウクライナに使うなと言うのは酷な話であり、最悪、供与しない事が元で戦闘が長引いたり敗勢となっては全く意味が無い。
ましてやロシアが供与を非難するなどちゃんちゃら可笑しいわ。
言うまでもなく、この戦争の最初から現在に至るまで、ロシア軍はクラスター弾も劣化ウラン弾も平気で撃っています。
この戦争が長引けば長引くだけ使用される量は増えていく、先ずはロシア軍を叩き出す事を優先すべきです。
戦争で弾薬を使うのは当たり前の話、では、通常の弾薬とクラスター弾や劣化ウラン弾は何が違うのか?
まず、クラスター(爆)弾は砲弾や爆弾などの炸薬に代わり小型の爆弾を詰め込んだものと考えればいい。
その目的は「効率化」に在り、通常弾と比べ、重量当たりの制圧面積が広い。言ってみれば強力な兵器というだけです。
クラスター弾が「非人道的」と称されるのは、よく言われる様に、不発弾が生じることにより、意図した攻撃対象でない民間人に被害が生じるところに理由があります。
また、劣化ウラン弾は、戦車砲の砲弾に使用されており、名前の通り砲弾の弾芯に劣化ウラン、即ち、純度99.8%のウラン238を使用したものです。ちなみに、残る0.2%はウラン235。
戦車が戦車の装甲を撃ち抜くためには、マッハ5を超える弾速と比重の大きい重元素の弾芯を必要とすることから、重元素弾芯の素材として劣化ウランが採用されています。
劣化ウラン弾の悪影響には反論もありますが、ウラン238が放射性物質であり、毒性を有することは事実です。
クラスター弾と劣化ウラン弾では忌避される理由が異なっている様に、CCWなどの様々な条約で禁止される兵器には、個々に理由が異なっています、、、と言うか本来、兵器は敵兵を、敵国を害するための装備に外ならない。ジャマーの様に通信妨害による無力化を図る兵器もありますが、それすらGPSなど民間の重要インフラを麻痺させ得る。
本来、殺傷・破壊を目的とする兵器を忌避・禁止する絶対的な基準など存在しない。
兵器を忌避する方々の想いを貶める意図はありませんが、個々の兵器が禁止されるのは、その国の都合でしかありません。
スナク英首相はアメリカのクラスター弾供与に否定的な反応を示していますが、それはイギリスがクラスター弾の禁止条約に加盟しているからです。
「非人道的兵器」である事を理由に加盟している以上、供与に対して沈黙するか反対するかでなければ格好が付かないだけの事。
イギリスはウクライナにクラスター弾は供与しませんが、劣化ウラン弾は供与しています。この違いは単に「イギリスの都合」に過ぎません。
クラスター弾が非人道的とされるのは「意図した攻撃対象でない民間人に被害が生じる」ことに在り、当然ながら不発弾が生じること自体が非人道的なのではありません。
無数の対人・対戦車地雷が埋まってる戦場で、ロシア軍はクラスター弾をぶっ放しているというのに、ウクライナ軍がクラスター弾を使用しないことに意味はありません。
そもそも、ロシア軍は「意図的に」民間人を攻撃対象としてクラスター弾も使っています。
そして、ロシア軍が使用するクラスター弾の不発率は20〜40%と推定されます。非常に高い比率ですが、ロシア製兵器としては平常運転と言えるので違和感はありません。
対して、アメリカが供与するクラスター弾は不発率1%と主張していますが、実際には1%では収まらない様に思われます。
まぁ、ざっくりウクライナ軍とロシア軍が同数の撃ち合いをしたなら、不発弾の数はウクライナ軍の10倍は生じると考えておけばいい。
いいようにロシア軍にクラスター弾を撃たせて不発弾を無制限にばら撒かれるより、クラスター弾で砲撃戦に勝利し、ロシア軍を後退させる方が不発弾は間違いなく少ないでしょう。
クラスター弾と通常の榴弾では、非装甲の砲撃戦はクラスター弾が圧倒的に有利です。
これまで、平地における砲撃戦でロシア軍が優位にあったのは、榴弾砲の数的優位によるものもありましたが、クラスター弾に制限が無いことも理由として大きい。
繰り返しになりますが、ウクライナが望むのであればクラスター弾を供与してやれば良い。
その方がよっぽど「人道的」です。




