汚れ役の使い道
汚れ役の使い道
プリゴジン、そしてワグネルの叛乱(?)から一週間余り。西側はこの騒ぎをどう評価すべきか決めかねています。
当然ではありますが、ロシア国内もザワつきが収まってはいません。
日々の報道も真偽の定かでないものが多い。特に、ロシア側から発信されるものは、政府系・反体制派の何れによるものであっても信憑性に欠ける。いや、まぁ、今に始まったこっちゃないけど。
戦争という巨大な国家事業が破綻する時、ロシア、そしてプーチンはウクライナの混乱を必要とします。
ロシアの戦線が何時破断してもおかしくない現在、ワグネルという汚れ役が、ウクライナに北接するベラルーシ、それも曲者ルカシェンコと結託して留まっている。
不安しかない。
ワグネルは地上戦力として見た場合、無視できる規模では有りませんが、例えばキーウ侵攻など起こしても成功などは覚束ない。
単純に兵員数・装備・能力面が全く足りていないからです。
兵員数は自称2万5千人ですが、現在の実数では精々その半分といったところでしょう。装備的にも装甲も不十分ですし、なんと言っても航空戦力が無い。
少なくともヘリや固定翼機がベラルーシ入りしている兆候は報告されていません。
能力的に見てもワグネルのコアメンバー以外は素人よりはマシ程度で、コアメンバーすら特殊部隊に対抗可能かは疑問に思うレベルです。
じゃあ、ワグネルは何のためにベラルーシに駐留しているのか。
常識的にはディバージョンでしかない、、、が、私は、この騒ぎの最初からベラルーシ駐留までが一連の計画された行動に思えて仕方ない。であるなら、これが単なる陽動であるとは考えられない。
やはり狙いはウクライナの「混乱」にあると想像しています。それもカホフカ破壊以上のインパクトによる混乱。
ゼレンスキーは、ロシアがザポリージャ原発破壊の準備を終えていると警告しています。
ロシアは原発「事故」を起こすつもりなのか?
或いは「ロシア軍ではない何者か」が核兵器を使用するのか?
ウクライナの大反攻は南東部でジリジリと進んでいます。時間がかかっている事に懸念を示す声もありますが、現時点で評価することに余り意味は有りません。
付け加えるなら、ウクライナ軍は堅実で果敢、そして西側のサポートも強力です。この大反攻の成否に関し、私はほとんど心配をしていない。
不安材料は大反攻とは別のところ。
プーチンが戦争で勝てないと判断したとき、プリゴジンやカディロフ、スロヴィキンといった汚れ役に何をさせるのか。
ルカシェンコは汚れ役になるようなタマではありませんが、この戦争の最終局面では、ベラルーシの位置が意味を持っています。
クリティカルな事態とならなければ良いのですが。




