これはひどい
これはひどい
結局のところ、この茶番劇は何だったのか。
プリゴジンの叛乱(?)は、ルカシェンコの仲介でワグネルを引かせ、プリゴジン自身はベラルーシに出国する事で矛を収める形となっています。
出来レースとしか思えない。
これが、プリゴジン一人で起こした騒ぎであるなら、プリゴジンは何れ何処かで死を迎えることになります。
ベラルーシに行こうが西側に亡命しようがプーチンは裏切り者は生かしておきません。況してやプリゴジンは、プーチンの政治活動初期から裏面に関わってきたとされる悪仲間です。
今更スキャンダルごときでプーチンが揺らぐ訳ではありませんが、マフィアのボスは小悪党時代のシノギをバラされるのは不快でしょうし、後ろ暗い話も一つや二つではないハズ。
一度でも自分に武器を向けた悪仲間を、旧ソ連国とは言え他国に置いて安閑としている様なプーチンではありません。そして、そんな事はプリゴジンが誰よりも能く知っている。
ルカシェンコの取り成しなど何の保障にもならない。というか昨年11月に亡くなったベラルーシの外相は「西側寄り」とされていた事からFSBによる暗殺説もあります。
これはひどい茶番ですね。
この騒ぎはプーチンが事前に了承していなければ成り立たない(少なくとも、プリゴジンには出来レースであると思わせておかなければ成立しません)。
そして、なんちゃってクーデターですらない。
ヘルソン撤退の三文芝居、その再演に見えます。
昨年11月、ロシア軍はヘルソンから撤退するに当たり、事前にコアとなる兵を民間人に紛れて撤退させ(憶測)、その後何食わぬ顔で撤退宣言しています。
これにより、ヘルソン州併合の裏で進められていた主力の撤退を隠し、撤退の責は撤退宣言した当時のスロヴィキン総司令に負わせる、というロシア国民を欺くための三文芝居をやっていました。
この騒ぎも全く同じ構造に見えます。
ロシア軍はウクライナの大反攻を受け、保たなくなっている。前線に近いプリゴジンはその現実が肌で感じられているハズ、、、まぁ、ゲラシモフだって理解はしていると思いますがね。
このままでは、ワグネルがロシア軍の道連れとなるのは避けられないし、プリゴジンは「バフムート解放の英雄」から1ヶ月程しか経ってないのに「バフムートを失った指揮官」へと格下げになる訳です。
これをパトルシェフ辺りがプーチンを巻き込んで利用したんじゃないかなぁ(妄想)。
プリゴジンは、この戦争の責任はショイグやゲラシモフに在ると糾弾しています。チンピラ皇帝は騙されたのだ、と。
ロシアが戦争に勝てるなら、責任なんてものは問題になりませんが、負けが見えてくると誰に責任を取らせるかが問題となる。
今年の1月にゲラシモフが総司令となった時、責任を取らされるだけの貧乏くじだと思いましたが、敗戦の責任だけじゃなく、戦争をおっ始めた責任まで国防省サークルが負わされる流れになってます。
これはひどい。
開戦の責任も敗戦の責任もチンピラ皇帝が負うべきもので、戦争犯罪も同様です。
まぁ、FSBもその次くらいには責任があります。お花畑な報告した連中は既にえらい目に遭わされている様ですが、プーチンに戦争を使嗾したのはショイグではなくパトルシェフであるとイギリスは見ています。
ショイグもゲラシモフもこの戦争の被害に見合った罰を受けるべきですが、チンピラ皇帝は吊るされた位じゃ責任なんざ取れないし、イギリスの見たてが事実ならパトルシェフも同罪でいい。
それが何時の間にか話がすり替えられようとしている。
アメリカは、この騒ぎの前兆を事前に察知しており、騒ぎの前日にはバイデンにも報告しているとされています。
叛乱の芽を摘むことが主要な任務の一つであるFSBが、ワグネルという万単位の兵員を要する武装組織を放置しているハズがなく、アメリカが察知していた動きを見逃すなど考え難い(というかアメリカはFSBなどの内部情報から察知している可能性が高い)。
FSBは最初からグルだと考える方が自然です。
そしてワグネル2万5千人(自称)の兵士。
不明なところも多いのですが「正義の行進」に参加した兵士は「野営地」に戻る、としており、ウクライナ戦争に復帰するという話では無い様です。
ロシア政府系発表の「ワグネルの中でも行進に参加しなかった兵士は国軍と契約を結ぶ」との表現も2万5千人について言及していません。
事実だけ見れば、ワグネルのコアな部分はモスクワに向かった、というよりウクライナの東部戦線から離脱しただけです。
それも武装解除すらされずに?あり得ない。
プリゴジンは「バフムート解放の英雄」のまま、ワグネルの主力を温存してフェードアウト。バフムートから逃げ出した、となればプリゴジンもワグネルも非難を免れられないところ「正義の行進」だって言うんだから旧日本軍の「転進」もビックリの巧言令色。
プーチンには、戦争の責任を一切合切ショイグにおっ被せられる流れが出来ました。
そしてパトルシェフ(FSB)。チンピラ皇帝使嗾の罪はすり替えられ、なんちゃってクーデターによる政情不安でモスクワは一時、半ば戒厳令下の状態となり、総動員令を求める声まで聞こえてくる。笑いの止まらない展開でしょう。
今、プリゴジンは消息が分からない状態のようです。
まぁ、騙されて暗殺されているのなら、まだマシな方かも。
問題は、ルカシェンコという超食わせ者の所に汚れ役のプリゴジンが居るかも知れない事。
しかも、、、今のベラルーシには戦術核まで在るって、、、、、、
いずれにせよ、今回の騒ぎでロシアが不安定化している様に見えるとしても、それが、この戦争でウクライナに利するとは限りません。
むしろ警戒すべきはこれからかも。