25/31
025「牙に光る雫の結晶」
嗚呼
また
牙を
ちらつかせ
貴女は
咆哮を
あげて
威嚇を
恐れを
させて
もだえてる
皆が消え
恐怖が
渦巻く中
貴女は
一人
紅蓮の
翼を
広げて
ねえ
寂しくはない?
ねえ
真の姿?
私が
問いかけても
貴女は
牙を見せる
嗚呼
怖いわ
その姿
だけど
私が
もっと
怖いのは
貴女の
崩壊
ねえ
自分でも
分かってるでしょ?
崩壊
寸前
だという
ことを…
貴女に
同情
せずには
いられない
こんなに
正直で
輝いてた
貴女が
哀しさを
悲しさを
翼に溜め
一人の
寂しさに
身を
縮こませて
自ら
皆に
嫌われれば
一人ぼっち
の感情
紛らわそうと
ねえ
痛くはない?
心に
広がる
傷が
羽と同じ
色に散って
貴女が
崩壊して
しまうのでは
ないかと
私は
心配なの
どうか
どうか
戻ってきて
私の
知っている
優しい
明るい
貴女の
本当の
姿に