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完璧姉と顔だけは良いずるい妹、 おためし期間をおいて、二人と仮婚約して気に入ったほうを本当の婚約者にするよと軽く王太子が言い放った。その結末は?

作者: りあな

 私は完璧といわれる令嬢、スカーレットですわ。

 私は公爵の長女、すべてにおいて完璧といわれる私に阿呆な妹が一人おりますの。


 いつもずるいずるいといって、人のものを盗るおバカでしたわ。

 でもバカは放置で放っておいたんですが、この馬鹿が甘え上手でいつもいつも私の好きな人を盗っていくのです。


 ああ。どうしてご面相だけがよいあのバカに殿方は騙されるのでしょう。


 私と妹は一歳しか違いません。私たちが適齢期となったある時、こんなバカな提案を王太子殿下がなされたのですわ。


「どちらも素晴らしい令嬢で、僕はどちらと婚約したらいいか迷っている。お試し期間を半年ほどおいて仮の婚約者としてどちらが僕の婚約者にふさわしいか見定めたいんだ」


 いや、さすがにこうくるかと思いました。

 候補は数人いましたが、私たちが筆頭でしたもの。


 妹が嫌な顔でこちらを見てますわ。それは嫌でしょうね、お試しって……私もいやですわ。


「どうやってそれを決めるのですか?」


 私が聞いてみると、僕が決めるとにこやかに殿下が宣言され、妹が何か言いかけ黙りましたわ。


 そして私たちのお試し期間、仮婚約者としての立場がはじまったのですけど。

 あんなことになるなんて本当に思ってもみませんでしたわ。

 それは……。



 私はこの国一番の美しい令嬢といわれるミリアです。

 私には口うるさいばあやのような姉が一人います。


 ご面相がいまいちですが、頭がいいと知識をひけらかす口うるさい人です。

 いつもお説教をされます。あなたが馬鹿だからとよく言いますが、さすがに妹を馬鹿というのはだめだとと思います。確かにお勉強はできませんが……。


 いつもお姉さまは私の恋人を好きになるらしいのです。何かいつもじいっと私の恋人を見てるんですけど、しかも物欲しそうに……はっきりいって気持ち悪いです。

 好きならアピールすればいいのに、それもせずにただ見ているだけ。

 私は社交界のマナーを学び、女性らしく美しい所作、それにこの姿かたちに相応しいように美容も心掛けてきました。ぶくぶくと家で本ばかり読んで運動すらしないお姉さまと違い、適度に運動し、食事制限もして、体形も保っています。

 女性としての一通りのことを身に着ける私を馬鹿がまた何かしていると軽蔑のまなざしで見るお姉さま。

 頭が良いだけでは公爵令嬢とは言えませんのよ。


 私がダンスやドレス、それに自分の美しさを保つためにしていることを馬鹿がすることと切り捨てるお姉さま。

 まあ馬鹿にされているのがわかっていて仲良くできるはずもないですが、結婚すれば離れられると思っていました。けれど……。


「どちらも素晴らしい令嬢で、僕はどちらと婚約したらいいか迷っている。お試し期間を半年ほどおいて仮の婚約者としてどちらが僕の婚約者にふさわしいか見定めたいんだ」


 適齢期になって、王太子殿下の婚約者に選ばれたとき、こう殿下が宣言されたのです。

 いえ、別に殿下の婚約者に選ばれなくてもいいのです。できたらお姉さまから離れたい……。


「どうやってそれを決めるのですか?」


 お姉さまが聞きます。やる気満々みたいです。お姉さまにお譲りしたい。

 闘争心丸出しのお姉さまと争うのは何か嫌でした。


 すると自分が決めると殿下が宣言され、私とお姉さまの仮婚約者としての日々がはじまったのですが。

 さすがにあんなことになるとは思ってみませんでしたわ。

 それは……。




「妹を選ぶってどういうことですか!」


 何か吠えてるようだけど、姉のようだね。

 実際、二人を足して二で割れば理想だったんだけど、頭がよく魔法力の高い姉と、国一番の美貌で知られ、社交界の華の妹。でもどうしたって足して二で割れないなら、ましなほうと婚約しようとしただけ。


「……お姉さま落ち着いてください」


 窘める妹、まあ顔だけが取り柄っていわれてるけど話してみた限り馬鹿ではないらしい。

 なので、教育次第で姉には及ばないが、知性が身に着けられると判断した。

 姉は社交界のなんたるかもしらないようだし、どうしてもこれは王太子妃には向かないと思っただけなんだけど。

 すごく婚約を破棄しますと宣言すると吠えて怒っていて怖い……。


 妹のほうは婚約者になれなくていいですからと言ってくるし、でもあの姉と婚約はまっぴらだ。

 どうしようかなと思って妹を見ると、お願いだから宣言を取り消してと小声で頼んでくるし。


 とりあえずあの煩いのを黙らせるために……なだめてみるか。

 そして……。



「私はあなたに負けたのではなく、弟殿下に相応しいとされたのですわ!」


「そうですわねお姉さま」



 お姉さまは王太子殿下の弟君の横で満足そうに笑います。

 堅物と評判の第二王子は勉強が好きで本好き、お姉さまとよく議論して楽しそうですしよかったです。


 しかし……お姉さま対策まで思いつくなんて王太子殿下って軽そうに見えて実は策士? そんなことを思いながら私は横で眠そうにあくびをする殿下を見たのでありました。策士の婚約者として私はこれからを過ごすんですのね。心安らぐ日々がなさそうに思えます。

お姉さまのように勉学をしてこなかったツケがきたようですわね。

でもお姉さまはこれから社交の場で苦労することになりますでしょうし、私もお姉さまも努力が足りませんでしたわね。私はこれまでの振る舞いを後悔したのでありました。

お読みくださりありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 人の視点が違うとこうも事実が変わるんですね、面白いです。 結局のところ、バランスが大事なんですね。
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