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ノンシリーズ ミステリー短編

常連客が会計の際に、余分にお金を払ったのは何故か?

作者: 髙橋朔也

──西暦2021年3月某日

 俺はアルバイトで、ファミリーレストランの会計係をしている。会計係はレジに値段を打ち込むという単調な作業だから、楽だ。それ(ゆえ)に、客の顔を見る暇が作業中に存在する。

 本日の常連客・丸山さんの合計金額は273円。いつもの丸山さんならピッタリ273円払うけど、今日は珍しく百円玉三枚で300円を出してきた。意外に思いつつ、俺はおつりとして27円を渡す。

 丸山さんは几帳面(きちょうめん)な性格だから、今日みたいにおつりの発生する会計はしない。珍しいもんだな、とその時は首を()いた。

 その二日後の夜。眠れないから、頭では自然と『丸山さんが珍しくおつりの発生する会計をした』理由を考えていた。

 丸山さんがあの日は急いでいたから、百円玉三枚を払ったという可能性はある。けど、急いでいるようには見えなかったし、あの日の丸山さんもサイフを取り出さずに事前に手で握っていた百円玉三枚を出した。ということは、レジに来る前にサイフから百円玉三枚を取り出して握ったわけだ。

 なら何で、丸山さんはおつりの発生する会計をしたのか。小銭を崩したかったのか? いや、おつりは27円だけだから崩す意味はない。考えれば考えるほど、俺は不思議でたまらなくなった。

「わかるわけねぇよ!」

 天井に向かって、そう叫んだ。それから、眠りに就く。


 翌日、俺は親友とともに居酒屋へと足を運んだ。

「なあ、ちょ、値段が前より高くなってねえか?」

 俺のつぶやきに、親友は応じた。「それは総額表示だからじゃないかな?」

「総額表示? 何だそれ?」

「今までは税抜き価格で表記しても税込み価格で表記しても良かった。けど、今年の4月からは税込み価格の表記じゃないと駄目なんだ。だから、4月になる前に先駆けて税込み価格に表記を変えている店が多いんだ。見てみろ、値段の横に『(税込み)』ってあるだろ?」

「確かにあるな」

 その時、俺にある考えが浮かんだ。丸山さんはもしかして、税込み価格と税抜き価格を間違えたのではないか?

 273円は税込み価格だったけど、丸山さんはうっかり税抜き価格だと勘違いし、頭の中で消費税分の27円を足してしまった。だから、百円玉三枚を払ったんだ。

「何だ、そういうことか!」

 俺がつい口に出すと、そんなに総額表示が意外だったか、と親友は笑った。

 ニュースで総額表示を見ていたら思いついた、くだらない推理小説でした。すみません。

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― 新着の感想 ―
[一言] 簡単だけどなるほどなーと思えるいい作品でした!
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